明治安田生命第6節 FC東京vs清水エスパルス

1.スターティングメンバーとシステム

 

f:id:hirota-i:20190410081622p:plain

 

 清水のシステムは保持時、非保持時ともに1-4-4-2。開幕から連続してスタメン出場してきたCH河井に代えてフィジカルを生かした奪取力が特徴のヘナトアウグストを起用。その他のメンバーは前節と同じ。

 FC東京のシステムも同じく1-4-4-2。右SHに注目の久保建英。そしてチームを率いるのは長谷川健太監督。彼のチームとの対戦に特別な想いを抱く清水サポーターも多いだろう。

 両チームともに1-4-4-2でマッチアップは完全に噛み合っている。確実に勝ち点が欲しい清水が守備を意識してくることを考えれば固い試合展開が予想される。

 

2.どこのスペースを使うのか

 

 マッチアップが完全に噛み合うと言うことはシステム上は自分の周辺に常に相手がいてスペースが無い状態。ではどのようにスペースを生み出すか。そこに注目する。

 

(1)裏のスペース

 人の周りにスペースが無ければ、人のいない場所、つまり裏を使おうというのは1つの考え方。開始しばらくはお互いに奪ったらシンプルに裏を狙うという攻防になっていた。

 

 その狙いが強く見えていたのは清水エスパルス。今シーズンの清水は高い位置からのプレスを狙う試合が多かったが、この試合では守備ブロックをミドルゾーンにセットするような形で守備をしていた。奪いどころを下げることで相手を前に誘い裏のスペースを広げることができる。

 相手が後ろでボールを持つと、2トップの1枚が下がってボランチへのコースを塞ぎ、SHはまず相手のSBへのコースを消す立ち位置を取っていた。中央とサイドを塞ぎ、ハーフスペースへのコースくさびの縦パスへのコースに狙いを定める。そして奪ったら相手の帰陣より素早く2トップとSHが前に出てカウンター。奪取力とダイナミックな動きが持ち味のヘナトアウグストを起用したのはこのカウンター戦略に合わせた起用だったと思われる。 

 この清水の裏への飛び出しに対してFC東京はラインの押し上げのタイミングがずれ抜け出されてしまう場面が何度か見られた。清水の執拗な裏狙いはここのスカウティングもあったのかも知れない。

 

 (2)人が動いて噛み合わせをずらす。

 噛み合ってスペースがないなら、ポジションを変えれば嚙み合わせがずれる。FC東京は開始しばらく経つとCHがDFラインに降りる、SHの東が2トップの脇に、ディエゴオリベイラが2列目の間に顔を出すなど列の移動してボールを受けようとしていた。

 

f:id:hirota-i:20190410100534p:plain

 

 しかしポジションの流動性と不安定さは背中合わせ。移動中にボールを失えばFC東京は中盤にボランチが1枚だけになっていることが多く中盤のフィルターがかからない状態だ。

 FC東京が保持して攻撃を完結されるか、清水が断ち切って奪い切るかはこの試合の大きな勝負所だったと思われる。

 

 FC東京側から見たポイントは、配置で間で受ける役目になるのが久保とディエゴオリベイラであること。ボールを簡単に失わない2人が中継役になることがネガトラ対策になっている。

 

 清水側からのポイントはCHのヘナトアウグスト。間で受ける相手、またはポジション移動でできたギャップに入ってくる相手もヘナトが素早く反応しボールを奪い切る。彼の起用は清水のカウンター戦略の肝になっていた。

 

(3)質の優位ではがす。

 

 対面の相手を外してしまえばその選手はフリーになる。そこから噛み合せをずらしていけば芋づる式にスペースができていく(理屈上はね)。

 

  FC東京で言えば右SHの久保。対面の左SB松原はカットインからのシュートという最も危険なプレーは押さえ込んでいた。それでも縦に突破しローポストからクロスなど際どい場面を作り出し能力の高さを見せていた。また左SHの石毛と2人で対応すればサイドで右SB室屋がフリーに。久保へ対応させることで相手の守備にずれを作り彼の選択肢の多さを生かすというのはFC東京の大きな強味になっていた。

 

 逆に清水の優位性は松原、エウシーニョの両SB。

 松原は対面の久保を外せば右SB室屋と1対1。右SH石毛は中央に入り、テセ、北川とともにFC東京の2CBを攻撃する仕組み。

 エウシーニョは対面の左SH東を剥がしてハーフスペースから中央まで侵入し中盤で攻撃の起点になっていた。エウシーニョが中央に入り、相手の守備をずらすことで作り出すチャンスは清水にとって大きな攻撃の形となっていた。

 

3.清水の先制点と両者の攻守の形

 

 前半は両チームともチャンスを作り出すものの、守備でもお互い要所を締めて無得点での折り返し。

 しかし後半早々に清水が先制点を奪う。

 

 下の図が清水の得点が生まれた時の配置。

 

f:id:hirota-i:20190411190817p:plain

 

 清水の攻撃のスタートはエウシーニョエウシーニョが中央にボールを運ぶと金子はサイドのスペースに流れる。

 ゴール前にテセ、北川、石毛の3人。CHの竹内、ヘナトは相手のCHの位置を見ながらバイタルまで押し上げる。

 この形は清水が相手陣内に入った時のセオリー通りの配置だ。

 

 FC東京の純粋なゾーンでの守備。ボールサイドにブロックを圧縮。基本CBはゴール前を守り、サイドにSBが引っ張られたら中盤が降りてCB-SB間をカバーしていた。

 この場面でも清水のボールと人の動きに対して、おそらくこちらもセオリー通りに守備をしている。しかし北川の動きに引っ張られ、東と橋本、中盤2人がDFラインのカバーに入ったためバイタルでヘナトがフリーになってしまっていた。

 

 FC東京にとってはマイナス面が出てしまったが、両チームの組織の約束事が明確であることがわかる得点場面だった。

 

4.清水の失点について考える

 

 FC東京は60分に高萩、永井に代えてナサンホ、ジャエルを同時にピッチに送り出す。東がCHに、ナサンホが左SH。ジャエルはそのまま永井の位置に入った。

  左SHに入ったナサンホは東とは役割が違っていた。降りて組み立てに絡むことはほぼ無く、ディエゴオリベイラがボールを受けに動けば入れ替わってゴール前に入りシュートを狙う。単純に考えればストライカーが1人増えている。ディエゴオリベイラがボールを受けに降りたり、サイドに流れても中央に2人ストライカーがいる状態。

 1失点目はディエゴオリベイラがサイドに流れてナサンホが決めるというその形通りのゴールだった。

 

 2点目は中央を割られての失点だが、その前にも何度か中央に侵入されシュートを撃たれている。

 要因の1つ目として考えられるのが前線の守備。2失点目に繋がる東の縦パスは完全にフリーで出されている。前半ならそこは2トップの1枚がカバー、2トップが戻れていないならサイドハーフはフリーの東に出されないよう制限していたしていたはず。

 要因の2つ目がヘナトの守備。彼の守備範囲の広さは奪い切れればストロングポイントになるが、奪い切れないと動いた場所が穴になるというウィークポイントになってしまう。理由はやはり前からの限定が緩くなってきたこと、FC東京の前線の強度が増したこと、時間経過によるフィジカルの低下などだろうか。そこで奪い切れず中央のスペースを空け渡す場面が増えていた。

 個々の対応ミスはあったかもしれないが、FC東京の交代策により組織の問題からくる失点の予兆は出始めていた。

 

5.最後に

 

 FC東京はこれでリーグ2位。整った組織力、個々の力、また交代で出場する選手、いずれも高いの質を持っているチームだった。

 一方、清水は最下位に転落。ただ内容的に必然の負けだったかと言えばそうは思えない。FC東京が交代カードを切った後も清水は決定機を作り出していた。FC東京もリスクを覚悟した交代策だったはずで、結局決めるか決めないかの勝負で決められなかった清水が敗れたというのが僕の解釈だ。

 結果としては最悪な状態だが、開幕から比べれば間違いなく組織は整っている。大切なのはチームのやり方を信じてプレーをやり切ること。しかし信じるために勝利が必要とも言えるのでどんな形でも早く勝利が欲しいところだ。

 

明治安田生命J1リーグ第4節 ヴィッセル神戸vs清水エスパルス

1. スターティングメンバーと配置

f:id:hirota-i:20190320075435p:plain
 清水エスパルスは保持時、非保持時ともに1-4-4-2のシステム。エウシーニョ、チョンテセはベンチスタート。2トップの一角に2年目の若手滝を起用と機動力重視のメンバー構成だ。
 ヴィッセル神戸の保持時は1-4-2-1-3、または左のポドルスキーが中盤に降りる変則的な1-4-2-2-2のシステム。非保持時は1-4-2-3-1のような形。

2.  神戸の中盤を遮断する清水のハイプレス

 清水のFWは神戸のCBがボールを持つと高い位置からすかさず前に出てチェック。そして、そのままサイドに追いやるようなプレスのかけ方をしていた。それに連動するサイドハーフボランチの選手もマーカーをサイド側に押し込むようなプレスをしている。

f:id:hirota-i:20190320114304p:plain

 プレスを外された時は無理に追いかけず後ろのスペースを優先して埋める。中盤の選手が前に出て後ろで受け手がフリーになる時はFWが下がってカバー。サイドの高い位置に網を張り、そこからボールを逃がさないという明確な意図がうかがわれる。

 ミドルゾーンに運ばれ時は、コンパクトな4-4-2のブロックを形成。イニエスタが列を下げてボールを受けた時もボランチの河井や竹内が内側を切ってサイドに押し出すように常に強いプレスをかけていた。
 正面を向かせないないようプレスかけていけばイニエスタも外向きにしかパスを出すことができない。神戸はサイドを中心に攻めることになるが、もしサイドを運ばれてクロスを上げられても、神戸の前線に対しては立田とソッコの方が競り合いでは有利だ。

 ポドルスキーは、サイドに押し込んでくる清水のプレスに対して右から左へのサイドチェンジを多く見せていた。空いている逆サイドをアイソレーションで使うこと、守備ブロックを横に伸ばして中央を使うのが狙いか。しかし、この攻撃にも右サイドバックの飯田がスピードを生かして上手く対応できていた。

 また、神戸は後ろで詰まるとサイドから中央に戻してやり直すが、プレスを受けている上に選手間の距離が広がっているためパスがズレることが多かった。清水がそこに狙いを定めてインターセプトからショートカウンターという場面も何度も見られた。

 清水はこのようにボールと相手選手を中央のレーンから追い出し、相手にサイドのゾーンでのプレーを強いていた。清水のプレスは、高い位置で奪うというだけでなく、相手の強みを発揮するエリアを実質消してしまうという戦略上の目的があったのではないかと思われる。

3. ポジショニングでボールを前進させる清水の攻撃。

 神戸の守備は1-4-4-1-1のような1-4-2-3-1のような。中盤の守備位置はポドルスキーと古橋がやや高め。スペシャルな能力を持つ前線が低い位置にいたら彼らのいる意味が無くなってしまうからだろう。その代わり前線にコースだけは切らせて、中央に奪取力のある山口を置いて回収役にしている。しかし実際は中盤センターの山口、三田に守備の負担がかかってしまっていたのは否めないだろう。

 その神戸の守備に対して清水は図のような配置を取っていた。

f:id:hirota-i:20190320121632p:plain 

 イニエスタの脇に河井、竹内。山口、三田のボランチの脇に金子と中村。そして飯田と松原を高い位置に上げる。
 神戸の守備組織の間に配置して位置的優位を取っているとも見ることができるし、中盤の2センターと2CBの周囲にそれぞれ4枚で数的優位を作っているとも見ることができる。清水の前線の選手は流動的にポジションが入れ変わるが、ポジションは変わっても全体の配置は変わらない。例えば河井が前に出てくれば、金子がサイドに張って飯田が低めの位置に留まっている。

 ここからバイタルエリア周辺で2トップと両サイドハーフの4枚でのコンビネーション。このコンビネーションパターンは昨年もよく見られた形。

 また飯田が神戸のサイドバック初瀬を引き付けてそのセンターバックとのギャップに金子が抜ける形。金子に三田が付いていくとセンターハーフが1枚消えるので中央にスペース。付いていかなければローポストからクロスという形だ。

f:id:hirota-i:20190320122041p:plain

 清水はポゼッション率は相手に譲ったが、カウンターだけでなくポジショナルな攻撃からシュートに結びつけることができていた。

4. 後半の神戸は変化したのか。

 神戸は前半に比べるとサイドでの前進を狙っているように見えた。サイドに誘導されるなら、そのままサイドを崩す方法を考えましょうと言うことだろうか。

 48分の神戸の得点は、ビジャが左の大外、古橋がハーフスペース侵入がスタートの形。そこから初瀬、イニエスタが絡み左サイドからハーフスペースでぐるっとポジションを回して清水の守備を動かしている。最後はエンドラインまでイニエスタが切り崩して右から入ってきたポドルスキーのゴール。

 守備に関しては、先制後からはしっかりセットするようになったかなという気もするが、はっきりとはわからない。同じく先制後に古橋とポドルスキーを左右入れ換えていたのは、松原を牽制するためだろうか。右サイドに入った古橋はサイドライン沿いでのプレーすることが多かった。

5. 90分の試合をどう組み立てるか。

 神戸は80分に古橋に代えてサンペール。サンペールが入ると神戸は下の図のような配置を取りボールを循環させる。

f:id:hirota-i:20190321180547p:plain

 複数の菱形を作り清水の選手を囲うような配置だ。サンペールが中央でプレスを回避してボールを循環させることで清水はプレスがかからずボールを奪えない。リードしている神戸はボールを保持して試合落ち着かせて、そのままをクローズさせようとする。しかし神戸のクリアミスもあり、エウシーニョのアシストからテセがゴール。1-1の同点で試合は終了した。

 試合開始から常にプレスをかけ続けて神戸に自由を与えないというのは清水のプランの柱の1つだったと言えるだろう。スタメンもこのプランをより遂行できる選手で構成したのだと推測される。
 そして得点の必要な場面では、両チームの体力ゲージが下がった時に、フレッシュな状態の大駒を投入する。エウシーニョとチョンテセだ。おそらく試合の状況に合わせて他のプランも用意していたのだろう。同点ゴールは神戸のクリアミスもあったがヤンヨンソン監督のプランによってもたらせらたと言ってもいいだろう。

6. 最後に

 神戸は、昨年対戦時よりかなり整理されてきている。しかし「神戸はこういう戦術ですよ」と一言で言い表すのは難しい。強いて言えば形ではなく彼らの考え方に基づいて状況に合わせたプレーをしようとしているというところか。

 清水は4-4-2で高い位置からにプレスとショートカウンターという昨年のサッカーをベースに戦っていた。さらにボールを保持した時のプレーは昨年よりも向上しており、後ろからゴール前までノッキングすることなくシュートに結び付けられていた。清水が今期最も良い内容を魅せることが出来たのは神戸のサッカーに対する相性の良さがあったのも理由の1つだろう。
 ここは僕の想像だが形は違えど清水も神戸と目指す考え方は近いものがあるのではないかと思う。形ではなく自分達の考えるサッカーに基づいて相手を見てどういう戦い方をするのか、ということだ。3バックといったシステムは形の1つだ。開幕からここまでの試合は繋がっている。この試合で自分達の考えるサッカーを確認できたはずだ。ここからさらにこれまでは相性の悪い、自分達のやり方だけでははまらない相手に対しても対応する姿を見せてくれることを期待したい。

明治安田生命J1リーグ第2節 清水エスパルスvsガンバ大阪

1. 基本システムとスターティングメンバー

 

f:id:hirota-i:20190307185457p:plain

 

 清水はシステムを前節の3-4-2-1から3-5-2に変更。3バックの並びも入れ替え右から立田、ソッコ、ヴァンデルソンの配置としてきた。

 スタメンではキャプテンの竹内が体調不良で欠場。代わってアンカーに入った六平は久々の公式戦出場。

  G大阪は4-4-2のシステム。センターハーフが高から今野に変更された以外は前節と同じスタメン。

  システムの噛み合わせはミスマッチとなるのでお互いそこにどう対応するかに注目だ。

 

2. 清水の守備局面とG大阪の攻撃局面

 

  清水の2トップはCBからの縦パスを塞ぐような立ち位置。サイドの深いエリアまでのプレスや後方へのプレスバックはあまり行っていなかった。六平を中盤の底に置いていたことも合わせると中央エリアを防護したかったという意図とも読み取れる。 

 しかし、2トップは2人とも献身的だが後ろのスペースを消すのが上手いタイプではない。ガンバは、CBと今野、またはSBでボールを動かし1列目を越える。清水は中盤の選手もあまり前に出してこないため2トップ裏で常に遠藤がフリーになっていた。

  ガンバのSBにボールが渡ると、清水はIHがスライドして対応。しかしガンバがSH(倉田、小野瀬、)を内側に絞らせる、FWのアデミウソンが降りてくる、さらにCHが前に出てくるなど中盤に数的優位を作るため他の中盤2枚が開いたスペースを埋めきれない。

 中盤で相手を規制できない清水は、遠藤の配球から2列目を越えられ第3レイヤー(2列目と3列目の間)までの進入を容易に許していた。

 アタッキングゾーンではファンウジョはあまり引かずにゴール前に張っている(不安定なポジショニングのヴァンデルソン周辺を狙っていた?)。またアデミウソンが中盤に降りて、空けたスペースに左SHの倉田が入ってフィニッシュを狙うのも1つの形だった。

 清水の守備は、後ろには5枚揃えていること、DFラインの前には六平を置いてあることでなんとか最後は凌いでいるという状態。

 ガンバの同点弾となる1点目は左サイドで繋いだことで、清水の中盤の逆サイドが無人になり、そこにSH小野瀬がゴール前に走り込んでのシュート。前節の試合同様、中盤が埋めきれないスペースを1列目や3列目がカバーしないことが多々ある。これは少々気になる動きだ。

 

3. 清水の攻撃局面とG大阪の守備局面

 

 序盤のガンバは配置を嚙み合わせて高い位置からプレスをかけてきた。プレスをかけられると清水はシンプルにCB-SB間に長いボールを出し、右は金子、左は中村や松原に狙わせる。

 ロングボールでプレスを回避されると徐々にハイプレスから4-4-2でセットして守る形に。

  ガンバがセットすると、六平、ソッコ、中盤から降ろした河井でボールを動かし左右に配球。

 

f:id:hirota-i:20190311184201p:plain

 

 清水は立田のポジションで倉田を動かし、WBの飯田を高い位置に上げる。これで飯田と藤春が1vs1。飯田は突破からのクロス、またはIHの金子が前に出て今野を押し下げると飯田がカットイン。藤春が飯田に付いて行けば大外を立田が上がってクロスという攻撃。

 右は中村、河井、松原のローテーション。松原がハーフスペースに入ることでCB三浦の前後にスペースを作る。裏に北川が侵入したり(34分のドリブルシュートとか)、中村が手前でポストに入ったり。

 16分の清水の先制点は、これら清水の狙いが見事に表れた得点だった。

 

3. 清水のポジトラ局面

 

 清水のポジトラ時の狙いは攻撃時に前に出てくる遠藤の裏のスペース。中村がそのスペースに入るとフリーで受けられることが多かった。またガンバは左SB藤春を高い位置に上げ、左SH倉田がゴール前に入っていく。ネガトラで守備がややぼやけるガンバの左に右WB飯田を走らせ中村からのサイドチェンジというのは1つの形だった。

 清水が守備時に2トップを下げなかったのはポジトラが起きた時にバイタル周辺に2トップを配置しておきたかったのかもしれない。

 ガンバにボールを保持にされることの多かった清水だが、カウンターを中心に決定的なシュートも放っていた。お互いに守備の薄いところを突いてチャンスを作り出していたという意味では、前半の展開は五分五分だったと言っていいだろう。

 

4. 後半の流れ

 

 後半に入ると清水はフリーにしていた遠藤にIHを当てるようになっていた。さらに3センターはボールサイドにスライドして中盤のスペースを消す。ボールと逆サイドにできるスペースは前線の中村または、北川がケアできるようなポジションを取るようになっていた。守備を修正し、ポジトラでは依然優位に立っているので後半に入ってしばらくは清水がペースを握る。

 しかし、58分に2点目、70分にフリーキックで3点目を奪われる。2失点目は対応したヴァンが滑ってしまうという不運なミス、3失点目は普通のフリーキックで飯田が外されたもの。非常にもったいない失点だった。その後、焦りからか守備のポジションが乱れ始め完全にガンバペースに。

 70分に飯田に代えてチョンテセを入れ4-4-2へシステム変更。4-4-2での守備はスライドの動きなどやり慣れている分スムーズさは感じられた。しかし、マッチアップが噛み合っている後方で無理に繋ごうとするなど、攻撃への意識が高まりリスクを管理できないプレーが目立つ。4失点目の前、松原が前に上がってパスコースを消してしまった動きも、無理に繋ごうとしたヴァンデルソンのプレーも判断ミスと言われても仕方ないだろう。

 

5. 最後に

 

 ガンバに関しては割りとシンプルだなという印象。4-4-2で選手をピッチにバランスよく配置。各選手が得意なプレーが出せるように組み合わせている。ただ攻撃局面でも守備局面でもボールサイドに寄りがちなこと、ネガトラ局面でバイタルがよく空くことは、対戦側としては狙い目には見えた。

 清水は4つの局面で言えば、守備の局面は上手くいっていなかったが、その他の局面はある程度狙いは実行できていた。特にポジトラでは相手の組織の薄い場所を叩き決定機は作れていたので、決めきれなかったのが悔やまれる。

 開幕から2試合見て、昨年との違いはシステムというよりも、相手を見てサッカーをしようとしているところだと感じている。システムもその手段の1つだろう。

 前節広島戦に比べれば配置や動きで相手の弱みを突くことができていた。しかし、相手に対応するための変化が逆に自分達の不安定さに繋がってしまっている。今後はそこのバランスをどう修正してくるかに注目したい。

2019年明治安田生命J1リーグ第1節 サンフレッチェ広島vs清水エスパルス

1. 基本システムとスターティングメンバー

 

 

 清水のシステムは1-3-4-2-1。左シャドウ中村と右HVヴァンデルソンは新加入。他は昨期から継続して起用されているメンバー構成。チームの大黒柱ドウグラス不整脈の発覚、右のワイドとして期待されたエウシ-ニョが内転筋の怪我によりそれぞれ欠場となっている。

 広島のシステムも1-3-4-2-1。川辺、松本の両センターハーフ、かつて清水でもプレーした野津田など昨期対戦時より若いメンバーに入れ替わった印象。過去散々苦しめられたFWパトリックはコンディション不良でベンチスタート。

 両チームともに昨年の4バックから今期は3バックに変更。ミラーゲームとなりマッチアップは完全にかみ合う形。相手をどう外してボールを前進させるかが1つの注目点だ。

 

2. 清水の守備局面と広島の攻撃局面

  清水は可能なら噛み合わせて前から奪いにいき、1列目を越えられたらミドルゾーンで1-5-4-1にセットと2段構えの守備。開始直後はミラーゲームということもあり、前線3枚(北川、中村、金子)が広島の3バックに合わせて積極的なプレスを行っていた。

 しかし、前から行こうとする前線と後ろでセットしようとするDFラインの動きが合わず中盤にスペースを空けてしまう。さらに3バックが引いて受ける相手を追撃しないためシャドウが中盤に降りるとほぼフリーに。そのシャドウからDFラインの裏を狙う選手に簡単に出され何度もピンチに晒されていた。

 15分程経つと修正が図られる。その時の守備の基準は下の図。

 

 

 前線は無理に前から行かずに相手ボランチへのコースを消しながらをサイドに誘導する。前線がプレスに行く時は、DFラインも前に出て対面の相手をしっかり追撃するようになっていた。

 さらに序盤にフリーなっていた相手のシャドウをボランチが明確にマーク。守備基準をはっきりさせることで相手にフリーマンを作らせず、さらにブロックをボールサイドに寄せてスペースを消すことで広島の前進を詰まらせていた。

 広島の攻撃は主に左サイドから。WBをサイドの高い位置に張らせ、シャドウとボランチがそこに絡むことでサイドを攻略しゴールを目指しているようだった。スペースを消されると3バックからも1枚上げてサイドで数的優位を作ろうと試みる。しかし、清水の守備が修正されると相手の守備ブロックを動かせず、ボールを回収されることが多くなっていた。

 

3. 清水のポジトラ、広島のネガトラ

  ボールを回収できるようになった清水はカウンターの機会を作れるようになった。広島はDFも1枚上げているので後ろにはスペースができている。ただ541で引いて守ってのカウンターなので前が人数不足。北川1枚、逆サイドのシャドウを上げても広島の後ろにはDF2枚とボランチの1枚がいるため最後は食い止められてしまうことが多かった。ただし、ボールの回収と陣地の回復はできるようになり徐々に清水のペースになっていた。

 

4. 清水の攻撃局面と広島の守備局面

  昨年見られた清水の攻撃の狙いは、まずなるべく効率よく相手ゴール近くにボールを運ぶ。ゴール前では2トップとSHのコンビネーションを使って相手の守備をずらしシュートを撃つためのスペースを作るというものだ。システムは変わってもここは変わっていない。

 昨年はターゲットのドウクラス、クリスランに直接入れるという方法をよく使っていたが、この試合はターゲットタイプの選手がいない。そのためゴール前に近く比較的プレッシャーの弱い場所=ハーフスペースにボールを入れることをビルドアップの目的にしていたようだ。

  広島はマンツーマンに近い守備で、全体を噛み合わせて高い位置からプレスをかけてきた。それに対して清水のプレス回避はGK六反をビルドアップに加えて、右のDFファンソッコをSBの位置に開かせフリーにする。ソッコにシャドウの野津田がついていけば竹内を間に降ろしていた。これらの動きから昨年よりも後ろで保持しようという意図が読み取れる。

 さらに特徴的なのが前線のポジションチェンジ。中村と竹内が入れ替わる、中村が外に張ってSB松原が内側に入ってくるなど。こうしてポジションをぐるっと回してハーフスペースの守備を動かしたら後ろから一気に入れるという前進方法だった。ハーフスペースに入れたら前3人でのコンビネーションというのは昨年同様の形。30分の先制点はそれらが綺麗に決まった得点だった。

 試合を通してポジションをローテーションしながら守備ブロックを動かしたいという狙いは見えたが、できたスペースを上手く使えず広島のマンツー気味の守備に食い止められる場面も目立っていた。

 それでも清水はアタッキングエリアまではボールを運ぶこともできており、15分過ぎから守備も安定したこともあり前半終了までは清水ペースと言っていい内容だった。

 

5. 後半の流れ

  後半、広島はシャドウの野津田と柴崎をポジションチェンジ。野津田が左に入ってから左サイドを崩されることが多くなった。この理由は明確にはわからない。マークについている河井を引き付けてWB柏の周辺にスペースを作ったこと、ワンタッチではたいたりWBの裏で受けると左足でそのままクロスを上げるなど、左サイドでのプレーがシンプルになったようには見えた。

 55分には渡に代えてパトリックを投入。パトリックは徹底してファンソッコと松原の間からDFラインの裏を狙っていた。これによりDFラインが押し下げられる。さらにライン間が空いたことで中盤センターの河井、竹内がそこをカバー。DFラインに吸収されることが多くなり2列目にスペースを作られていた。

 57分、2列目前のスペースから佐々木がパトリックを狙ってクロス。ソッコに跳ね返されるが中盤に開いてしまっているスペースに入ったサロモンソンがシュート。広島が同点に追いついた。

 清水は67分に石毛を投入。石毛を左のシャドウに入れ、中村を右のシャドウに回す。パス出しのできる石毛でより流れをスムーズにしたいということだったのだろうか。ただ石毛サイドより、どちらかといえばポジション取りが巧みな中村が入った右サイドの攻撃が活性化されていた。飯田のドリブル突破の回数が増えてチャンスを作るが決定機までは至らずだった。

 広島は終始変わらず左でのチャンスメイクからパトリックが裏狙い。スコアは動かず、そのまま1-1で試合は終了した。

 

6. 最後に

  広島はあまり全体の配置を動かさない方が4局面が安定しそう。必要な場所に人さえいれば個でも仕事ができる能力の高い選手は揃っている。人数をかけて攻め込むより、たとえ単調でもパトリックが裏を狙ってそこに早めに入れる攻撃をされた時の方が脅威だった。

  清水は選手の組み合わせ、システムが変わったが、やろうとしている目的は昨年と同じに見えた。

 攻撃ではポジションがローテーションした時の人の入り方やスペースの使い方がまだぎこちなく収支がプラスになっていたかは微妙。特に左SB松原が内側に入りすぎて前が渋滞気味なのが気になった。ただその整理は慣れが解決する部分もあると思われるので今後に期待したい。

 守備はハイプレスよりセットした方が安定すること、ボランチが奪いにいけるタイプでないので押し込まれるとべた引きになってしまうのも相変わらず。ここは攻撃局面とのトレードオフになるので、対戦相手のタイプに応じて人を代えるしかないだろう。

  この試合を見る限り、やろうとしていることは明確で、上積みできる部分もありそう。ドウグラスエウシーニョ、へナトアウグストという戦力を使わずに新たなトライをし、アウェイでの開幕で勝ち点1を得ることができたことは、シーズン全体を考えれば悪くない結果だったと思う。

 

全国高校サッカー選手権 浜松開誠館vs長崎総科大附属 観戦メモ

静岡代表浜松開誠館の試合です。興味を惹かれので見直してみます。見えたとこだけメモ。

まず両チームのシステム(チームオーガニゼーション)のかみ合わせ。
イメージ 2

浜松開誠館は4123、長崎総科大附属は4411。

 開誠館はCBが1枚とサイドバックがフリー。ということで開誠館はフリーのCBからSBへというルートで攻撃を開始。
 開誠館のSBにボールが渡るとボールサイドに強く寄せる長崎の守備。開誠館はその逆を取るようにSBからIHへ、または一気に逆サイドのWGへと斜め前方にボールを運ぶ。相手を寄せて斜めにレーンと列を越えることにより最終的に逆サイドのWGが前を向いてボールを持てる状態を作り出す。これが開誠館のビルドアップの目的だと思われる。
 WGにボールが渡ると突破力を生かしてカットインからのシュートまたは前3人のコンビネーションでフィニッシュを狙う形。小柄で俊敏、技巧派の3トップ。単純なクロスはほぼ無し。
WGのカットインから逆サイドのWGやIHがバックドアで相手DFの裏を取り、そこにスルーパスというプレーが何度か見られた。前半最大の決定機4番前田君のシュートはこの形から。これはチームとして狙ったプレーだろう。
 前半20分過ぎ辺りから長崎はトップ下の千葉くんとSHの選手で開誠館のSBに素早いプレスをかけるようになる。縦と横からコースを消され、斜めにレーンを横切るパスが出せなくなるとサイドを独力突破、またはCBからの縦パスが多くなる。直線的な攻撃はフィジカルの強い長崎のDFに潰されやすい。

 後半は監督から「IHがボールを受けろ」という指示がでたよう。IHが下がって後ろでのビルドアップで数的優位を作ろうという狙いだと思われる。数的優位を作っても相手をずらすようなボールの動かし方をしなければ相手の守備に阻まれる。IHが下がると3トップは前で孤立し、奪っても単発の攻撃になっていた。前半の途中から長崎が押し込むという状況が続いていた。

 長崎の攻撃は基本、ダイレクトなビルドアップ。後ろからトップに当てて、サイドハーフボランチの1枚が前に出て押し込んでいく。前に当てるとその横を抜けるように1枚裏を狙うような動きがよく見られた。これは1つの約束事だったかも知れない。
 
 開誠館のファーストディフェンスは積極的なプレッシングと言うより、コースを消すことを重視した守備。全体では433または451でブロックを作る形。長崎がDFのギャップを狙うように飛び出すとDFラインのスライドではなく中盤の選手がついていく。人を捕まえるようについていき空いたスペースは前が下がって埋める。
 長崎が攻勢に出ると全体が下がってカウンターが機能しなくなっていた。

 後半23分の失点場面はCBとSBの間のギャップを千葉くん(後半から右SHの鈴木くんとトップ下の千葉くんがポジションチェンジしていた)が抜けて右からのクロスをヘディングシュート。 開誠館はIHがギャップをカバー。
イメージ 1

両チームともお約束通りの動きだったがマークが遅れて決められてしまった。セカンドボールを拾われて何度も攻撃を繰り返されていたので厳しかったか。

 先制されると開誠館はCBが持ち上がることでボールを前進させられるようになる。ビハインドなのでリスクを負ってもということだと思うが、システム上CBの1枚はフリーだったのでCBを使うのはハイリスクではない。前半からこのプレーはやるべきだったと思う。
 さらに交代で前線に高さのある選手を投入し同点を狙うが、試合はそのまま終了し0-1の敗退となった。

・まとめ
 この試合のメモを書いたのはこれまでの静岡の代表チームをちょっと違うなと感じたからです。局面の打開を繋ぎ合わせていくのではなく、後ろからゴール前でのシュートまで攻撃の設計図が見えるチームは新鮮でした(高校サッカーをよく見るわけではないので僕が見えてなかっただけかも知れませんが)。弓場くんというエースはいましたが、良い意味で彼だけが目立つのではなく1つのチームとして機能していました。
 攻撃だけでなく守備ではDF陣を中心にしっかり競い合いもでき、組織的な攻撃を見せるチームにありがちなひ弱さを感じさせることもありませんでした。

 静岡代表としては、初戦敗退が続いているので静岡サッカーのレベルの低下を心配する声も聞かれました。しかし失点場面は少し押し込まれてたものの、決定的なチャンスも何度も作り出しており力の差はそれほど大きく開いているわけではなかったと思います。
 過去、栄華を誇った静岡のサッカーとは言ってみれば強力な「個」あっての強さだったのだと思います。今は全国どの地域にも育成のシステムが行きわたり、地域の優位性はありません。さらにJ1のユースが2チームもある静岡の土地で今の時代に個だけを追いかけるのは無理があると思います。
 しかし、浜松開誠館のような整理された組織が見えるチームが静岡代表になったということは今までとは違う流れが出てきたのかなと感じました。これからの静岡の高校サッカーに期待し楽しみにしていきたいと思います。
 


金子の守備とカウンター

 エスパルスのカウンターのイメージ。サイドからゴールの幅にグーっと入っていくような。ゴール前に3人にシューター入れて、3人の関係性でシュートみたいな。

イメージ 1

 カウンターでこの形を作るためにはどう守備をするか。

イメージ 2

 この辺りで奪えばいいと。ここで奪えば、プレスの方向が

イメージ 3

そのままカウンターの形になる。

 つまりエスパルスの守備はカウンターと一体になっている。

 エスパルスの3+1攻撃の時、石毛に比べれば前目の特徴を持つ金子が3人目のストライカーの役割を担うことが多い。ということで金子の守備も自然と前目でのプレスになる。

 金子が守備の時、後ろを取られるように見えるのは、こういうことなのではないかと思う。金子の守備が間違っていれば監督は修正するだろうし。そもそも金子はそんなに守備できない選手じゃないし、引いて守備しようねとなれば組織的にも右サイドもちゃんと守れている(と思う)。

 noteの方の書き方だと金子の守備が良くないみたいな書き方になったので、ちょっと気になって考えた。それだけ。

 
 

 






明治安田生命J1リーグ第29節 清水エスパルスvsジュビロ磐田 静岡ダービー メモ

開始しばらくはボールを持つと両チームともに早めに最前線に入れていた。ジュビロは川又に。エスパルスドウグラスに。

ジュビロは前の3枚でエスパルスのDFラインにプレスに来る。ボランチも1枚は前方に。高い位置からプレスをかけたいようだった。

しかし裏を狙う北川とドウグラスへの警戒もあって後ろは低めのライン。ブロックは縦に間延びしていた。そのスペースに入るエスパルスサイドハーフ

ジュビロエスパルスの前の2-2に対応できていない。特に金子が浮きがち。

エスパルスはハイプレスは行わない。ハーフウェイラインの少し前をプレスラインに設定して442をコンパクトに構えていた。

ジュビロの攻撃は川又の落としを中村俊輔ボランチに拾わせてラストパスを狙う。そのため俊輔、田口は高い位置に。大久保はゴール前。

エスパルスは中村へのマーク強め。ジュビロは川又が競り勝ってもチャンスに繋がらない。

後ろからのビルドアップに対しては通常より中央に絞って守備をしていた。金子や石毛は内側にプレスに行くことが多い。俊輔へのパスやボランチにボールが入るのを警戒していたのだろう。

先制点はボランチの上原からドウグラスが奪ってカウンター。ジュビロは攻撃時に右CBの高橋を前に上げる。ドウグラスから高橋の裏を突いた北川にパスが出てゴール。

エスパルスはこのゴールの他の場面でも高橋の裏を狙っていたように見える。

ジュビロは左のハーフゾーン(金子、立田サイド)にポジションする選手がいない(大久保はゴール前に入っていく)。よって左の攻撃は左WBエレンの単騎になることが多かった。

俊輔は徐々に下がってボランチの位置でボールを受けることが多くなる。
俊輔がブロックの外に出るので、ボランチや高橋が前に出ていく。ボランチの位置に俊輔、大外に桜内、ハーフスペースに高橋とか。全体が動きトランジション時のポジションがよりずれていく。

ジュビロは守備でエレンが金子を捕まえるようになる。空いたサイドのスペースに立田が上がっていく。

立田が上がっていくと、大久保がケア。前半途中からはジュビロは541の撤退守備に。大久保が完全に低い位置に押し込まれる。エスパルスは後ろで保持して遅攻。

大久保、俊輔が押し込まれ、奪っても前線に川又1人。30分過ぎからはカウンターの脅威もなくなり完全にエスパルスペースに。前半終了。

後半、ジュビロは大久保に代えて荒木。上原に代えて山本。ポジションは基本そのまま。

山本がDFラインに高橋を前に侵入させる。田口が2トップ裏。荒木は左のハーフゾーンで受けてゴールに運んでいく。エスパルスが苦手とする攻撃の形に変化するジュビロ

前に出る金子の裏。白崎と立田の間のスペースで受けてドリブルで運ぶ荒木。荒木が左のハーフゾーンで受けることでエレンの攻め上がりも効果的に。後半開始しばらく攻勢を強めるジュビロ

田口の得点はマークしていた白崎がついて行けば防げたような。エスパルスの選手は献身的だが一瞬のマークの緩さを見せる。

エスパルス3点目は完全に2トップバンザイ。

攻勢を強めるジュビロだがトランジション時のもろさは変わらず。縦一本で2トップとDFラインが直接対決する形が発生している。

4点目はフレイレがカットした時中盤が田口1人。俊輔のカバーが遅れて石毛が中央でドフリー。3バックの中央に入った山本の裏にスルーパスが出て北川のゴール。

エスパルスの交代は、北川→クリスラン、石毛→村田、金子→水谷。前の選手から代えてファーストディフェンスの強度を維持するヨンソン采配が最近の傾向。

ラストはアディショナルタイムに村田のゴール。5-1の完勝。


ジュビロの試合のプランは高い位置からの守備、前に人数をかけて攻撃的にという意図が垣間見えた。ジュビロは彼らの理想とは裏腹に撤退守備で飛び道具を生かした攻撃というのがストロングだと感じる。相手を押し込みたいというのは、おそらくダービーに対する意気込みだったのではないか。しかしそれが裏目に出た試合だったと思う。

2トップにやられたという名波監督のコメントはあながち間違いではない。正確に言えば、エスパルスの4222の攻撃に対する対策が曖昧だったため、強力2トップというエスパルスの強みを最大限に発揮させてしまった形だ。

逆にエスパルスはチームで相手の穴を見極めて、上手く自らの特徴を当てこんだのが勝因だったと思う。

1回見直しでざっと印象をメモったので違うとこがあるかもしれない。出来たらもう一回見てみたい。何か書くことがあればnoteにまとめます。(たぶんこれで終わりだけど。)