2020年明治安田生命J1リーグ第29節 横浜FCvs清水エスパルス レビュー【見えてきた形と相手の変化にどう対応するかの課題】

 大敗の札幌戦から中3日の日程。コンディション、メンタル面の影響も心配されたがスコアは3-1。完勝と言っていい結果となった。

 両チームのスタメンは下の図の通り。

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 清水のシステムはこれまで同様の1-4-4-2。しかしスタメンは連戦を考慮してか大幅に変更されている。

 横浜FCのシステムは保持時には図のような1-4-3-3。非保持時にはIHの武田がCHの位置に下がり、斉藤が前に出る1-4-4-2になっていた。

 

 開始早々、清水が立て続けのゴールで2点のリードを奪う。これらの得点には清水の狙いが上手く表れていたように思える。

  清水が後ろで保持した時はGKがCBの間に入る、またはCHが1枚下がって後ろを3枚にして横に広がる。そして横浜FCの2トップ脇にCHが1枚。またSBはあまり受けに下がらず横浜FCのSHをピン止めするようなポジションを取っている。

 FWの後藤とSHの金子、鈴木は前目で相手の間にポジション取り(DAZNの中継の音声では"間で駆け引きしろ"という平岡監督の声を拾っていた)。

 横浜FCは清水のビルドアップを前から制限したいようだったがこれが上手くはまらない。清水が上の配置を取るため横浜FCのFW2人で清水の3枚を見る形になっている。さらに2トップに中盤が連動できずプレスが外されやすい状態になっていた。

  2トップは前に出るが中盤の選手は近くの相手を気にするので横浜FCの守備は間延びする。先制点は横浜FCのプレスを外して出したGK大久保のパスを2トップ裏で竹内が受ける。そこから中央レーンの間に降りた後藤にパスが通る。後藤から左サイドの鈴木に渡り、鈴木の突破からのクロスを逆サイドから入ってきた金子がゴール前で合わせた。

 後ろでプレスを外したら間にできたスペースを使いスピーディにゴールに向かう形。少し擬似カウンターっぽさも感じる。これが平岡監督の攻撃の特徴だろうと思われる。

 

 2点目はその直後の6分。高い位置で奪ったボールをドゥトラが決めて2点目。この得点からは守備の狙いがうかがわれる。

 横浜FCの保持時は安永レオをアンカーにした1-4-3-3。清水の2トップはこのアンカーを消すようなそぶりを見せている。得点もアンカーへのプレスから奪取。ショートカウンターだ。

 アンカーを消された横浜FCは中盤の起点を作れずビルドアップが詰まり気味。そこに横浜FCの4バックに対して清水の2トップ+SHの同数をかみ合わせプレス。この形でボールを奪えていた。

 ここまで平岡監督になってからの試合を見ると守備ではおおむねSHを絞り気味の高めに配置している。そして中を消しながら前にプレスに出ていく傾向がある。また横浜FCはこれまでと違う形にチャレンジしていたらしい。なので横浜FCへの対策が上手くいっていた可能性もあるが、チャレンジがまだぎこちない横浜FCに対して清水の元々のやり方が上手くはまった可能性も考えられる。まあ上手くいったのでどちらでもいいのだけど。

 飲水タイム後、横浜FCはビルドアップを修正。IHの武田が清水の2トップ脇に降りてきてビルドアップの出口になる。武田がワンクッションになることでアンカーの安永もフリーになってボールを受ける機会を作れるようになってきた。そこからワイドに振って清水のDFラインを横に伸ばしてハーフスペースを広げてその裏を狙っていく。

 横浜FCがビルドアップの修正を行った後の清水はなかなかプレスではめ込むことができなくなっていった。

 しかし一方横浜FCの守備も前からいくとプレスがはまらないのはあまり変わっていなかった。

 38分。清水が後ろでボール回すとそれに対して前に出てプレスをかける横浜FCの守備。それを立田が外してボールを前に運ぶと、後は横浜FCが前に出てきたことで生まれているスペースを流れるように使っていき最後は竹内がシュートを決めた。やはり擬似カウンターっぽい。そしてとても美しいゴールだった。

 相手が流れを掴みかけた時間帯で追加点を奪い、前半はそのまま3-0と清水がリードして折り返すことになった。

  

 後半の開始から横浜FCは3枚替え。それと共にポジションも少し動かす。並びは下の図。 

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 ボールを保持した時は安永がCBの間に降りて瀬古がアンカーの1-3-1-4(SH+SB)-2のような形になる(図の矢印の動き)。

 清水は選手交代はなかったが鈴木と後藤のポジションを入れ替えたようだ。

 3-1-4-2の配置は4-4-2で守る清水に対してちょうど間にポジションを取っている状態になる。守備の基準をはっきりさせて球際激しくいく傾向の清水は基準がずれプレスがはまらなくなっていく。

 特に左右のCBとWB化したSBによってこちらのSHの守備があいまいになるのは4-4-2vs3バックではあるあるの現象だ。横浜FCがSBの選手を代えたのは、保持時に3バック化した時によりWBぽい仕事を求めたからだと推測する。

 55分。横浜FCの得点。3バックで清水のファーストディフェンスをかわしてワイドのマギーニョを経由してハーフスペースを裏に抜けた中山へ。ここまでの動きは配置のずれ通りにボールを動かされてブロックがべた下がりしてしまっている。大外から内側へと上がってきたマギーニョが受けて折り返したボールのこぼれを瀬古がゴールへと蹴り込み横浜FCが1点を返した。

 その後もプレスがはまらない清水。66分に後藤とドゥトラに代えて西澤と西村がイン。西澤がSH、西村は2トップの一角に入った。

 西村をFWに入れたのはわかりやすく前線からのプレスを強化するのが目的の1つだろう。全体的に噛み合わせのずれを守備の運動量でカバーするようにプレスが激しめになっている。

 さらにもう1つの目的として保持時にも求める役割があったのではないかと思う。今の清水の攻撃は上記したように後ろで相手を外した後はスピーディーにスペースを使ってゴールに向かう傾向がある。そのため前目の選手は間で受ける能力とある程度個人で運んでいける能力を持つ選手が求められそうだ。

 おそらく西村は平岡監督の中では後藤に近い役割をこなしながら加えてボールを運べる選手として認識されているような気がする。

 それは私のただの想像として、試合の方は清水のプレス強度がやや高まったもののやはり横浜FCやや優勢で進んでいく。それでもその後はゴールを許さずにそのまま3-1で試合を終了させた。

 少しやり方を変えた横浜FCのプレーが不安定だった時間帯にゴールを決めきり、途中からはやや劣勢になりながらも1失点で乗り切り勝利を収めてくれた。

 これで平岡監督就任してから4試合。当然シーズン途中の引継ぎなのでできていないことは多々あるだろう。しかしぼんやりとは新監督の志向するサッカーの傾向が見えてきたような気がする。

 今シーズン残り試合も少なくなってきたが、まだ様々なタイプのチームとの対戦が残っている。自分の興味としては相手がブロックを固めてきた時にどう攻略の糸口を見つけるのか、また相手がワイドを上手く使ってこちらの442をずらしにきた時どう対応するのかあたりに注目して見ていきたい。

2020年明治安田生命J1リーグ第27節 清水エスパルスvsセレッソ大阪 レビュー【濃くなる色、消えゆく色】

1.スターティングメンバーと配置

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・清水のシステムは1-4-4-2

 システム、メンバー共に前節と同じ

C大阪のシステムは1-4-4-2

 こちらもシステム、メンバー共に前節と同じ

2.C大阪の攻撃と清水の守備について

 前半、ボールを握ってチャンスを作っていたのはC大阪。清水は神戸戦のような積極的なプレスは見せず相手のボランチ周辺を抑えるような守備でした。

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セレッソの攻撃は

1)清水の2トップ周辺でフリーの選手を作る。

2)フリーの選手が対角線上のフィード。

3)サイドバック裏へのランニング

4)清水のディフェンスラインとボランチを押し下げてバイタル周辺のスペースを使ってシュートへ。

こんな感じの攻撃パターンが多かったです。

(清水の2トップ周辺でフリーを作っての対角線へのフィード)

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(ディフェンスラインとボランチを押し下げてバイタルにスペースを作る)

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  C大阪はボールを敵陣に運ぶとボランチも清水陣内まで押し上げてきます。かたや清水はボランチが下がってしまっているのでセカンドボールも拾いづらい状態になっていました。

3.清水の攻撃とC大阪の守備について

 C大阪は、清水が後ろでボールを持つとサイドの高い位置に追い込むようにプレスをかけてきました。

 清水はサイドバックまではボールが回ってもそこで詰まって竹内やヘナトが中盤で上手く絡めません。

 その結果、サイドの後方から前にポンと預けるようなボールが多くなっていました。

 ただ狙いは明確で、前節同様に相手のセンターバックの脇から裏を狙っているのが感じられます。

 しかし前半に関してはそれが単調であまりチャンスには結びついていませんでした。

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4.収支プラスとなった清水の選手交代

 清水は後半の頭から後藤と金子に代わって鈴木と中村がピッチに入ります。前にポンと預けるようなボールが多かったので、受けたボールを収めて運べる選手に代えたのではないかと思います。

 後半の早々にヘナトのスーパーゴールが決まります。これは采配関係なくヘナトが凄いとしか言いようがありません。しかし清水の先制ゴールで少し試合が慌ただしくなったように感じます。その意味ではその後の流れに影響を与えたゴールでした。

 後半もC大阪の守備の狙いは基本変わってないようでしたが、鈴木、中村が入ったため中盤でワンクッションだけボールが収まるようになりました。

(例. 鈴木を経由してCBの裏狙い)

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 中盤にボールが入るようになれば攻守の切り替えも中盤で起こります。ヘナトのゴール後、少しオープンだったことからヘナトが引っかけてカウンターの場面が増えてきました。

 C大阪は58分に柿谷とブルーノメンデスを投入。柿谷が左サイドに流れながら清武と共にチャンスを作り、右は坂元が浮いて仕掛けてくる形を見せてきます。

 67分にC大阪は右サイドを突破した坂元のクロスを清武が決めて同点。その前にも何度か右サイドを崩されていたようにサイドハーフに入った中村の守備対応がぼやけたのは交代後のマイナス面でした。

 しかし86分に中村の勝ち越しゴールが決まります。前目でボールを持って個人の技術とアイデアを発揮できる中村ならではのゴールでした。中村は自らの力で交代策の収支をプラスにした形です。

 最後はアディショナルタイム、前掛かりになったC大阪のボールを奪いカウンター。ティーラシンが粘って出したボールをカルリーニョスが決めて3-1で清水が勝利しました。

5.さいごに

 今節も平岡監督の采配で流れを引き寄せ勝利に繋げた形になりました。前半の内容を見ての適切でわかりやすい修正でした。

 狙いどころを明確にしてシンプルに早めに使っていくこと、ポジショニングに無理に制限を加えず選手がコンビを使いやすい距離感でプレーしていることなど、前節から1週間を経てより平岡監督になっての変化が表れていたように感じます。

 それが選手の力を引き出したと考えればこの勝利は運ではなく新体制で引き寄せたものだったのだろうと思います。

 

 

 

2020年明治安田生命J1リーグ第26節 清水エスパルスvsヴィッセル神戸【平岡新監督の修正について】

1.はじめに

 平岡新監督の初陣は3-1の快勝でした。クラモフスキー前監督が解任されてからわずか2日。短い練習時間ではありましたが見事にチームをまとめてくれました。

 基本は前監督のやり方を継続。修正があってもそれはほんのわずかなものだったと思います。それでもサッカーは面白いものでピッチには監督の色が十分に滲み出ていたように見えました。

 今回の記事はその見えた特徴について考えていきたいと思います。

2.スターティングメンバーと配置

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・清水のシステムは1-4-4-2

 前節からのメンバー変更はボランチが中村から竹内に変わったところだけ。各選手のポジションは前監督の起用とほぼ同じですが動きを見るとフォワードが横並びの1-4-4-2と解釈した方がよさそうです。

・神戸のシステムは1-4-4-2

 清水同様にシーズン中の監督交代があった神戸。前回対戦では3トップシステムでしたが今回は1-4-4-2。イニエスタは左のサイドハーフに入っています。

3.相手陣内に押し込む清水のプレス

 まず見えた変化は守備の動き。

 前線の守備は段差を作って少し引き込むようなクラモフスキー監督の守り方から、3ラインを意識しながら積極的に前に出ていくプレスに変化していました。誘導して奪うより相手陣内に押し込んでビルドアップを窒息させるような守備です。

 特にわかりやすいのがサイドハーフの動きで、2トップ(後藤、カルリーニョス)の脇にボールが出た時はサイドハーフが躊躇なく前に出て嚙み合わせています。サイドハーフはコースを切るより2度追い、3度追いで奪いにいくのは大きな特徴の変化でした。

 神戸の攻撃を見るとイニエスタが清水の2トップ脇に降りてきてボールを受ける動きをしています。これで金子やヘナトを引き付けたらボランチの脇でワンクッション入れてエウシーニョの裏にドウグラスを走らせてクロス。

 神戸はこのような攻撃パターンで幾つかチャンスを作っていましたがあまり厚みがなかったこと、ドウグラスがゴールから離れる動きが多いことからそれほど決定機は作れていません。

 しかし、サイドハーフが積極的に動くことで生まれるボランチ脇やサイドバック裏のスペースはこの守備のやり方で一つ注意が必要なポイントだと思います。

4.ハーフスペースから裏。早めにゴール前への動き

  ボールを持ったときは前節柏戦に近い動きでしたが、それがよりシンプルになった印象です。

 ポジションのローテーションなど前監督時に見られた動きもありますがそこまで細かい繋ぎにはこだわっていなそうです。早めにハーフスペースにポジションする金子や西澤にボールを入れて、2トップがセンターバックの脇から裏を狙う。そのような前進が多く見られます。また清水はクリアをする時もセンターバック脇に向けて蹴っています。ここは保持した時にかなり意識していたポイントだと思われます。

 そしてサイドハーフがワイドより早めにゴール前を狙って入ってくるのも変化した特徴といえます。

5.金子と西澤のポジションチェンジについて

 采配で注目されたのは、後半開始とともに行われた金子と西澤の左右入れ替え。

 上に書いたように清水が保持した時はハーフスペースにポジションするサイドハーフにボールを入れることがポイントになっていました。

 その際、そこまで守備での強度がないイニエスタやサンペールの近くで受けた方がプレーしやすいように見えました。

 そこで西澤をイニエスタのサイドに回してボールを受けさせ、金子には逆サイドで裏を狙わせたのではないかというのが私の推測です。

 神戸のボランチ、山口とサンペールの並びを見ていると試合途中で何度か左右を入れ替えています。これは間で受ける西澤を気にして山口を当てるようにしていたと想像したのですが...。

 さらにもうひとつ。後半の神戸は前半よりバイタル周辺が緩くなっている場面が散見します。広範囲を動いてボールを引き出すカルリーニョスと裏を狙う金子の動きにボランチが動かされたからではないかと思われます。

 これも裏を狙う金子と間で受ける西澤と役割を明確にした効果と言えるのではないでしょうか。

6.さいごに

 快勝ではありましたが、よく見れば少しの危うさと単調さも感じられます。しかし、この試合においてはそれはそこまで問題にはなっていませんでした。

 監督交代から練習時間はほぼなかったことを考えれば試合に挑むにあたっての指示は極めてシンプルなものだったでしょう。それが私達に見える形としてはプレーの思い切りの良さとして表れ、ほんのわずかな問題を上塗りできていたのだと思います。

 また次戦まで時間が少し空くので平岡監督の色がもう少し出てくるかもしれません。それがどんな色となってピッチに表れるのか。楽しみに次の試合を待ちたいと思います(と言っても明日なんですけど)。

 

 

 

2020年明治安田生命J1リーグ第25節 柏レイソルvs清水エスパルス レビュー【ラストゲーム】

1.はじめに

 試合結果は1-1の引き分け。勝ち点は1でしたが内容面は久々に”らしさ”が見られ、立て直しへの期待を抱かせてくれました。

 しかしその翌日、ピータークラモフスキー監督解任のニュースが発表されます。残念ながら試合後に膨らんだ期待は実ることなくこの柏戦がクラモフスキー監督のラストゲームとなってしまいました。

2.スターティングメンバーと配置

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・清水のシステムは1-4-2-1-3

 長らく3バックシステムを採用していましたが第16節鹿島戦以来の4バックシステム。ダブルボランチの一角に5試合ぶりスタメンの中村慶太。右ウイングには金子。各ポジションとも原点回帰とも言えそうなスタメン選考です。

・柏のシステムは1-4-2-3-1

 前回の対戦では3-4-2-1から守備時には4-4-2になる変則的な形でしたが、今回はオーソドックスな4-2-3-1。メンバーを見ても前回対戦時とは大幅に選手が入れ替わっています。

3.清水の攻撃局面について

(1)ひとつ飛ばしてライン間へ

 前半、狙いを遂行できていたのは清水だったと言っていいでしょう。

 清水はキーパーの梅田も加えてビルドアップを開始。さらにボランチの中村も少し低めでボールを受けることで後ろでの保持を安定させます。

 これで柏の守備を前に引き付けたら無理に繋がずに柏の前線をひとつ飛ばしてライン間にボールを入れていました。

 柏の守備の基準はわりと明確で下の図のようになっています

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 ヘナトを江坂、中村を三原、後藤を大谷が気にする形。特に中村を見るボランチ三原が前に出るためその後ろにスペースが生まれます。そのスペースに西澤や金井が入り使うことで相手陣内での起点となっていました。

(2)裏抜けするカルリーニョスの動き

 前半の攻撃ではカルリーニョスがサイドの裏を狙って飛び出す場面が多く見られます。

 フリーになりやすい西澤や金井にサイドバックの川口やセンターバックの大南がそれぞれ対応するためその裏のスペースが空いてしまうのが要因だと思われます。

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 上の図はそれを表したものです。清水の前線を見るとボールと逆サイドのウイング(主に金子)はゴール前に絞ってカルリーニョスと2トップ気味のポジショニングを取っています。この金子がサイドの裏に流れたカルリーニョスのクロスに合わせる役目。

 しかしその他の選手が相手を引き付ける役回りのためクロスを上げてもゴール前に金子のみという場面が多くなっていました。ここがチャンスを作っても崩しきれない理由のひとつになっています。

 前半途中からヘナトが前に絡むことでゴールの可能性が見えてきました。そのような動きをうながすためにもセンターバックが相手のファーストディフェンスを動かしてボールを前進させる必要があったと思います。この課題はここまでの試合と変わらずの印象でした。

4.清水の守備局面について

 柏の保持に対してウイングを少し内側に絞らせて中へのパスコースを消すように構える清水の守備。

 柏も無理に中央を狙わずにサイドからのボールの前進でした。柏の左サイドはトップ下の江坂とサイドハーフの仲間がポジションを変えながら清水の守備に揺さぶりをかけます。

 右サイドではクリスティアーノが基本ワイドに。サイドバックの川口の追い越す動きを組み合わせて崩しにきます。

 清水はサイドバックがサイドに出たらウイングはハーフスペースに、サイドバックが絞ったらウイングがサイドレーンを埋めて内側を空けないことを意識しているようでした。そして江坂の流れる動きはヘナトを監視役にしてケアします。

 前半に関しては柏の攻撃がシンプルだったこともあってそれなりに安定していた守備局面だったといえるでしょう。

5.後半の流れ

 後半開始から柏は3人の選手交代。さらにシステムを1-4-1-4-1に変更します。

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 狙いの変化としては清水の後ろには持たせるかわりに、ライン間のスペースは狭めて自由をあたえないような動きが見て取れました。

 システム的には三原をアンカーの位置に置くことで後藤を監視しながら前半使われたボランチが出ていった後ろのスペースも埋めることができます。

 前半に使えたスペースが無くなり、前にボールを入れても回収されてしまった清水。思うようなボール保持ができなくなる後半の攻撃局面でした。

 柏は保持したに時も少し変化を出しています。

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 右サイドバックの川口を前に上げて後ろは3枚、そこに三原やインサイドハーフの小林も絡んで古賀の配球を中心に後ろからのビルドアップをしてきます。

 古賀や小林がハーフスペースで浮くような形になるのが捕まえづらくボール前進を許してしまっているようでした。

 しかし、かみ合わせの変化に戸惑いながらも最後を踏ん張り失点ゼロに抑えたのは評価していい部分だと思います。

6.さいごに

 前節から2週間の猶予があったためか試合を安定させる準備は整えられていました。チームのスタイルに沿いながらも無理せず今できることを仕込んだといったところ。ここまではできるけどこれ以上はできないよという試合だった。それが私の感想です。

 それでも今できる範囲でスタイルを維持しての修正を施してくれました。ピータークラモフスキーはチームの現実を把握しながら自分の信じるサッカーをピッチに表現できる監督だと示してくれたのはせめてもの救いです。

 本当ならばこのさらに上へピータークラモフスキー監督と歩んでいきたかったのですがその夢はかないませんでした。

 それでも清水エスパルスの目指すところは変わらないはずです。ピーターと共に戦った1年弱の日々がこの先のエスパルスにとって大切な財産になっていることを信じたいと思います。

2020年明治安田生命J1リーグ第20節 大分トリニータvs清水エスパルス レビュー

1.はじめに

 週2回の連戦がようやく一区切り。ここしばらくの試合ではシーズン当初に見せたアグレッシブなスタイルを見せることができていない清水。1週間の準備期間を得たことで勝ち星とともに試合内容の改善も期待されました。

 しかしふたを開ければ1-2の敗戦。しかも終始主導権を相手に握られサポーターにとってかなり期待外れと言っていい試合内容でした。

 それでも試合を振り返ると狙うサッカーの一端は垣間ることができます。以下、試合で見えたものからできたこと、できなかったこと、そしてわずかに見えた清水の狙いを想像しながら書いていきます。

2.スターティングメンバーと配置

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・大分のスタメンは1-3-4-2-1

・清水のスタメンは1-3-4-2-1

 初期の配置はミラーゲーム。しかし両チームともボールを持った時は相手のファーストプレスをずらすように配置を変えていた。

3.大分の保持と清水の非保持の様子

 スタイルは違うもののボールを保持したい両チーム。その狙いを実行できたのは大分の方だった。

 清水は大分の後ろでの保持に対してCFとシャドーの3枚で積極的なプレス。大分は数字上ではCHを1枚降ろして4枚で数的優位。しかしそれより清水のプレスを見ながら必ず1人がフリーになるような巧みなポジショニングが目を引いた。あくまで数的優位はその結果。それはともかく大分はボールを左右に動かして後ろでフリーの選手を作りそのフリーになった選手から中盤に斜めのパスを入れていく。

 清水はアンカー役の選手へはCHがシャドーにはHVがこれまた積極的に前に出てプレスするが単発のプレスになってボールを奪うことができない。前での制限できなさが後ろへ順送りされていく形だ。

 大分の最終的な狙いは清水のHVとWBの間のギャップ。ボールを後ろ、中盤で動かすことでHVとWBの間が空いたらすかさず対角線に長いボールを入れていく。清水は人につく意識がいつも以上に高くボールを動かされると多々ギャップを作っていた。特に左サイド、立田と西澤の間から裏は狙われていたように思える。右のシャドーに田中を入れたのは立田の脇を狙ってドリブルで仕掛けていく狙いを反映したものだと思われる。

4.清水の保持と大分の非保持の様子

 まず清水が持った時には下の図のような配置を取っている。

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 センターバックが左右に大きく開き、ウイングバックとともにサイドのレーンに2枚。

  中盤はシャドーが1枚下がってボールを引き出し、同時にボランチが1枚上がってライン間に。主に河井がアンカー、六平がライン間の役割。

 前線はドゥトラとシャドーの1枚で2トップの関係。片方がゴール前、もう片方がハーフスペースに流れてラインの裏を狙っている(一応)。

 大分は清水の3バックでの保持へ1トップ2シャドーを当てて高い位置からプレス。清水の後ろでの保持のおぼつかなさを狙って前から強く制限をかけるのは最近の対戦相手と同様。

 清水はこのプレスを開いたHVからWBとサイドで動かすことで回避しようとする。しかしWB、特にエウシーニョから内側へボールを動かす時に詰まってしまう。

 後藤や前に上がった六平はサイドにボールが入った際に、相手のWB裏を狙う動きを見せていたがエウシーニョカルリーニョスドゥトラでのコンビネーションに偏ってしまい裏にボールが出てくる場面は少なかった。その結果、中央でボールをカットされる場面が目立った。

 清水の保持で気になったのは高い位置で幅を取る選手が少ないことだ。そのため相手はゴール前を固めることに集中できてしまう。サイドでの幅取り役がWB。そのWB西澤、エウシーニョは共にカットインしてのプレーを持ち味としている。また初期配置で中央が厚め、しかもカルリーニョスドゥトラとも個での打開に自信がある選手のためボールの循環が内側に偏ってしまうとも考えられる。 

5.さいごに

 保持、非保持ともに上手くいったとは言えない試合だったが、チームとしての狙いはこれまでとおそらく変わっていないと思う。しかし選手の配置または特性のかみ合わせのせいかその狙いをピッチ上に描けていないかった。

  またスペースを見ている後藤と局面の打開を狙うエウソン、ドゥトラの関係のように選手それぞれの見ているところがずれているようにも感じる。そこを調整し早急に狙うサッカーが表現できるようになることを期待したい。

2020年明治安田生命J1リーグ第23節 清水エスパルスvsサガン鳥栖【理想と現実のギャップをどう埋めていくのか】

 

1.はじめに

 1-1の引き分け。勝ち点1は得たもののボール保持でもシュートチャンスでも鳥栖に上まわれ内容的には圧倒された試合となってしまいました。

 この内容が我々が作ろうとしてきたものなのかどうか。そこへの意見は多々あることでしょう。しかしここではひとまずそれは置いておいてまず試合で起きていたことを眺めていきたいと思います。

 その上で最後に少し私の感想をつけ加えてみます。

2.スタメンと配置

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・清水のシステムは1-3-5-2(1-5-3-2)

 怪我で離脱していたファンソッコがスタメンに復帰。ソッコをサイドバックに置いての4バックも予想されましたが3バックシステムを継続。

 スタメンは2トップのドゥトラカルリーニョスはほぼ固定されていますが、それ以外のポジションはなかなか固定できていません。負傷者が多い影響もありますが苦しいメンバー選考が続いています。

鳥栖のシステムは1-4-4-2 

 前節のスタメンから5人変更。それ以前の試合を見るとシステムは1-4-4-2と同じですがメンバーの方は割と入れ替わっている印象です。

3.ファーストディフェンスの空転とプレスを迷わせる鳥栖のポジショニング(清水の守備局面)

(1)空転する清水のファーストディフェンス

 序盤のそぶりを見ると前からプレスにいきたい雰囲気の清水の守備でした。しかしそのプレスがはまらず容易にゴール前にボールを運ばれてしまいます。

 盤面をあえて単純化してみます。鳥栖の後ろでの保持と清水のファーストディフェンスは(5人)vs(5人)+(サイドのフリーマン2人)の関係です。

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 鳥栖はピッチ中央エリアでは同数の関係をサイドでフリーのサイドバックを使って前進。フリーのサイドバックへはソッコや西澤が出ていけば理屈上は同数ですが、鳥栖サイドハーフが内側のポジションを取り前線4人で清水5バックをピン止め。しかも鳥栖サイドバックは清水のシャドーと同じくらいの高さを取っているのでウイングバックの選手としては前に出づらい距離感です。

 清水の2トップの守備は縦並び。ドゥトラセンターバックに、カルリーニョスボランチを抑えています。中央を消すことでサイドへの誘導を狙いますが、上の構図を作られるとシャドーの後藤、鈴木に過度の負担が掛かってしまいます。実際に頻発していたのが下図の状態。

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 2トップの限定が緩いため鳥栖ゴールキーパー含めて後ろで左右に動かすとボランチのどちらかががフリーになってしまいます。すると清水のシャドーは一人で中とサイドの両方を見なくてはならず鈴木と後藤は常に二択を迫られ守備をしていました。

  シャドーのラインを突破されれば残る中盤はアンカーの西村のみ。鳥栖のポジショニングは全体でも清水の守備者が各所でどちらに行くのか迷わせる状態を作っています。そのため前が崩れるとその後は芋づる式にスペースを使われてしまいました。

(2)ディフェンスラインを動かす裏へのランニング

 ゴール近くまでボールを運ぶと鳥栖は必ずヴァウドや立田の脇からディフェンスラインの裏へのランニングを仕掛けています。

 鳥栖の裏抜けに対してはそのままセンターバック(立田、ヴァウド)が流れてカバー。するとゴール前は下の図のような(ヘナト+センターバック1人)vs(鳥栖の前線3人)の形を作られます。

 

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 しかも本来中盤の選手であるヘナトが中央。ゴール前でのマンマークが緩くなった状態でゴールを狙われます。前進の仕組みとゴール前のガードを剥がす仕組み。これらで決定機を量産された清水の守備局面でした。

(3)裏のスペースをカバーするために...

 前半の飲水タイム後あたりから清水はウイングバックがあまり開かないようになっています。裏抜けする鳥栖サイドハーフに対してはセンターバックではなくウイングバックがついていき、サイドのレーンはシャドーが上下動して対応。

 これで3バックがゴール前から動く必要がなくなり相手にフリーを作られづらくなりました。その代わり中盤の守備の負担を背負っていたシャドーがサイドの低い位置に下がり中盤がノープレッシャー状態になってしまいます。

 盤面全体で守備が上手く回らなかったので、せめてゴール前を修正しようという判断だったと思われます。これをどう評価するかは別として修正の効果はあったと言えます。

 ちなみにデータにも飲水タイム後の変化は表れていて、31分から45分のボール保持率は清水30%、鳥栖70%となっています。(Football LABのデータより

 30分前は低くても50%台であることから考えると修正による変化が顕著に表れています。

4.アタッキングフットボールボトルネック(清水の攻撃の局面)

 鳥栖のプレスはがむしゃらに前からというほどではありませんでした。しかしサイドハーフを前に出して3バックからの縦パスコースを抑える、そしていつでも襲い掛かるぞの準備は整えています。

 特に強く消しているのはアンカーの西村と両ウイングバック。西村へはフォワードのチョドンゴンがマンマーク気味。ウイングバックにボールが出たらサイドバックを前に出しつつ全体をスライドしてサイドで窒息させるように挟みこんできます。

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 清水の3バックがボールを持っても守備を動かされることはないので近場の受け手を重点的に潰していく狙いだと思われます。

  アンカーとウイングバックを抑えられた清水はシャドーやカルリーニョスが降りてボールを受けようとしますが、鳥栖の守備はがむしゃら前プレスでないので4‐4ブロックはコンパクトなまま。ブロック内で後ろ向きで受ける清水の選手に即プレスでボールを奪取します。

 清水のボールの動きではサイドやハーフスペースに相手の守備を集結させて逆のオープンスペースに展開しようとするプレーが何度も見られます。これは意図的に狙っていたプレーだと思われます。

 しかし相手のプレッシャーを受けた状態でのパスだったからかミドルレンジのパスがずれる場面が多々見られました。またパスが通ってもシャドーが降りてきているため前が人数不足。

 清水の攻撃を見れば配置は取っています。そして空いているスペースにボールを動かす意図は見られます。しかしボールが渡った時には相手に対応されて窮屈な状態です。

 これはビルドアップのスタートに起因していると思われます。ディフェンスラインから中盤にボールが渡る時の目詰まりがその先に順送りさせています。

 ここが改善しなければシステムが4バックだろうと3バックだろうと前進の窮屈さは変わらないだろなと思っています。

5.後半の流れを少し。

 後半頭から右ウイングバックをソッコから奥井に変更。戦術的理由かソッコのコンディションの理由か。おそらく両方の理由かと思います。

 サイドに関してはそこまで高さが問題にならないし、かなり押し込まれていたので奪って前にいく機動力は欲しかったのではないでしょうか。

 清水の守備を見ると5-3-2のシステムはそのまま。中盤をフラット気味にしてボールサイドにスライドする守り方になったように見えます。

 シャドーがサイドに出た時は西村か逆サイドのシャドーが中央のボランチを見るので前半に比べて簡単に同サイドを崩さないようにはなりました。

 それでも5バックで後ろを埋めているのはそのままなのでボール保持は基本的に鳥栖が優勢。

 清水の保持ではサイドで持った際に、他の選手がサイドその裏を意識的に狙い始めたように感じます。

 清水の先制点はコーナーキックから。試合の文脈とは直接繋がっていないゴールでしたが前半からの修正は間違いなくありホームの神様からのご褒美だったかもしれません。

 鳥栖の同点ゴールは84分。こちらは一貫した鳥栖の攻撃の流れから。清水の中盤が右サイドにスライドしたため空いた左側の中盤脇を経由してのクロス。ごちゃついてこぼれたボールをチアゴと交代で入った林がゴールに蹴り込みました。

 この時、清水はゴール前に人数は足りていました。しかし繰り返しゴール前まで侵入を許していればどこかで決壊する場面がでるのは仕方のないことかと思います。

6.さいごに~ごく個人的な感想

 この日の清水の守備が後ろ荷重になっていたのは意図的だったと私は解釈しています。

 何が何でも勝ち点が欲しい。その結果として勝ち点1を得られたのは最低限の結果として認めたいと思います。

 しかしこれまでの取り組みを踏まえた時にこの戦い方で良いのか。そんな疑問は残ります。

 理想のスタイルを貫いて勝ち点を失うか、それを捨てても勝ち点を獲るのか。本来この問の対立は間違いです。なぜなら勝ちを狙うため監督が考える最善手がそのチームのスタイルだからです。

 しかし現実には様々な障害があり理想通りにはいきません。そして清水が目指しているサッカーを進めていけば例えどんな監督を招聘しても今と近い問題を抱えることになるだろうと思います。だからこそ現実と理想の差、それが離れすぎないようにしながら落としどころを作るのが監督の手腕です。

 その意味では現在清水の現実と理想の差は離れすぎであり、そこに監督の責任は大いにありと思っています。スタイルを妥協するにも人海戦術でゴール前を固める前にもう少しやりようがあるのではないか。それが正直な気持ちです。

 しかしピータークラモフスキー監督がこの判断をするに至る過程については私には知りようがありません。だから私はただクラブの判断を尊重して試合を見てそこで起きていることを観察し続けようと思います。

 観察して想像したことが合っているのか違っているのか。それはたぶん時間がもっと過ぎてからわかるのでしょう。今の私にはその想像が良い方向で合っていることを信じることしかできません。そしてこれからもそのスタンスは変わらないと思います。

 

 

2020年明治安田生命J1リーグ第22節 FC東京vs清水エスパルス【雑感のたれ流し】

 ここ最近は試合で見えたことをどう文章にまとめたらいいかが浮かばず更新が途切れがちな当ブログです。

 なるべくピッチで起きたことを淡々と書く記録に近いスタイルを維持したいのですがそれもできず。そこで気分転換に今回の記事はだらだらっと雑感を並べたいと思います。文章もめっちゃまとめないです。

 それでも書かないよりましかなと頑張ってみます。個人ブログだから勝手にやれよって話ですが。

 とりあえずいきますね。

 皆さんの意見を見渡すとかなり悲観的な評価が多いのですが、私はエスパルスのサッカーらしさは変わらず見えていたと思っています。

 まず配置を見ます。保持した時はシャドーがアンカーの高さまで降りて前線は1トップ2シャドー、両ワイドに1枚ずつみたいな並び。これが誰かがポジションを移動しても同じようなバランスが常に維持されています。例えばを図にすると

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こんな感じ。

 つまり配置はしっかり取りなさい、でも前のスペース空いたら迷わず入っていきなさい、その時周りは動いたスペースを埋めて全体のバランスは維持しなさい。しかも狙いはSBを引き付けてCBとSBの間からラインの裏。これってルヴァン川崎戦とか開幕戦で見たサッカーと同じですよねと思ったわけです。

 これに対してFC東京は清水の保持にはっきりと最前線から人を当ててプレスをかけていました。

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 守備の並びはたぶん442だと思うのですが、あまりセットして構えることなくマンツー気味に付いていき、そしてプレスをかわされたら攻撃を遅らせながらゴール前を固めます。

 最近の対戦ではどのチームにも同じようなやり方をされているのですが、それをより強度を上げてやられていた印象です。

 マンツー気味に当てられてしまうと清水の取りたい優位性が消えてしまうのが問題で、人にぴったり当てられると中間ポジションはなくなるし、人が動いてもフリーができません。

 これがやりたいことはシーズン序盤と同じでも最近の試合では上手くいかない原因だと思っています。

 それでも始めのプレスをかわした時は何度からしさは見せていて、シャドーとアンカーで間を動かしてサイドのオープンスペース→裏狙いみたいな明確なパターンも見られます。例えば42分の一連の攻撃はとても良い攻撃でしたね(左の裏抜けからドゥトラのクロス、流れたボールを西村拾ってサイドを上がり金子がハーフスペースの裏を狙ったプレー)。

 なので局面をはがす何かがあればまた変わってくるような気がします。それが個の力なのか、より動いてカオス度を上げるのか、局面で相手をずらすような個人戦術やユニットの仕組みをつくるのか。

 ここを越えられればゴール前も小さなスペースを攻略するという意味で同様なので攻撃に関しては大きく変わってくるような気がします。現状はその細かい局面は個人の打開に頼っているようなので(だからドゥトラが抜擢されてると思ってるんですけど)、プレスがアバウトなチームには良い攻撃を見せるし、タイトにこられるとどん詰まる状態が続くのかなと見ています。

 まあそれでも何度も形を見せている保持局面に関してはまあこんな感じかなという印象です。

 次は守備の話。FC東京ボールを持ったが時はサイドに長いボールを入れて一度押し込んでから後ろで動かし前進を図ってきます。

 エスパルスはシャドーがスライドしながら高い位置でプレスにいきたそうでしたが、一度サイドに寄せられいるので逆サイドが空いてしまうことが多く結局5-3-2で撤退みたいな流れが多くなっていました。後ろに押し込まれてしまうので奪っても相手ゴールまでが遠くプレスをかけられてまた守備の局面の悪循環。おせじにも守備局面は上手くいっていないなという感想です。

 志向としてやりたいことはなんとなくわかるんです。サイドのちょっと高い位置に引き込んでそこにきたら前からスペースを埋めていって奪いたい。でもその前から埋めるところがずれてしまう、そんな感じだと思います。それはわかるのですがシャドーのスライドがずれたところをスコーンと後ろを取られて真ん中フリーが毎回同じなのはなんとかならんのかと思ってしまいます。

 しかもプレスを外されたら少し下がってブロック守備になるのですがこれも整備されていないので前2枚残して8枚の人海守備になってしまいます。そこから引いて受けようとするFWにCBが1枚ついていってそのスペースに流れ込まれて失点も多いパターンです。

 ピーター監督が守備を全く考えていないとは思いません。怪我人等、戦力が不足しているのも事実です。彼の理想はわかるのですがそれができない時にどう折り合いをつけるのかがプロの監督だと私は思います。

 修正を見せたけど個の力で打開されて失点したのなら受け入れられます。でも同じ穴を空けっぱなしは許容しづらい。攻撃と違いこちらはどう上積みされているかが見えづらいので、次戦以降せめてなんらかの変化を見せてくれるよう期待しています。

 

 レビューでもたいした感想でもないわけわからない内容ですがこれで終わりです。

私のレビューもまた軌道修正できるように頑張ります。