2020年明治安田生命J1リーグ第32節 鹿島アントラーズvs清水エスパルス レビュー【相手の土俵】

 ここ数年すっかり苦手化している鹿島アントラーズとの対戦。振り返れば2015年3月の勝利以来一度も勝っていないらしい。

 とはいえ平岡監督が就任してから上昇気流に乗りつつある清水エスパルス。ここで悪い流れを断ち切って久々の勝利が期待された。

 しかし開始早々の2失点。それを最後まで跳ね返せず0-2の敗戦だった。決して圧倒された内容ではなかった。しかし試合巧者鹿島に要所を締められずるずるとペースを握られてしまった格好だ。

 

 スターティングメンバーと配置は下図の通り。 

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・清水のシステムは1-4-4-2

 ディフェンスラインは前節と変わらずだが中盤から前は大幅のメンバー変更。注目はユース所属で2種登録の成岡。クラモフスキー体制では主に中盤中央に配置されることが多かったが、この試合では右SHでの起用となっている。

・鹿島のシステムは1-4-4-2

 メンバーは前節と変更無し。保持した時はSHが中央に絞りFW同様に振る舞う1-4-2-2-2のようになるのが特徴。

 

鹿島が保持した時は

・前線ポスト役への長いボール

・サイドでシンプルに動かして前へ

 

 主にこの2パターンが多いように見えた。

 ポストへのボールは収まれば良し、五分五分になっても内側に絞っているSHと前に押し上げるCHで即座にプレスをかける位置を取っている。鹿島の動きはトランジションが中央付近で起きた時に優位になるようあらかじめ設定しているようにも感じる。

 サイドからの前進の際にはまずCBが運んで清水の前線を動かす、または後ろを3枚(GKを入れる、CHを降ろす)にして横に動かしながら清水のSHを引き付ける。高い位置の中央付近から塞ぎたい清水の守備を前や内にずらして速いタイミングでサイドを動かしていく。

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 これら2つのパターンはどちらも清水の守備の網(高め、内寄り)を回避するような動かし方。

 しかも鹿島はSHが中央に絞って中へのパスコースを作っている。そしてCBはそれをのぞきながらボールを横に動す。早めにプレスをかけたい意識の清水の守備はそれに反応してより中盤の背後やサイドにスペースを作ってしまっていた。

 ボールをゴール近くに運んだ鹿島は2トップ+SHのコンビネーション。特徴は必ずボールに寄せにいく守備者の背後を突く動きが組み合わされているところ。

 中で詰まったらシンプルにサイドに開いてクロス。この辺はヤンヨンソン時代の清水の攻撃とイメージが重なるものがあった。

 

清水が保持した時は

・SBとSHが絡みサイドからの前進

・SB、SHだけだと詰まるのでヘナトがサイドに回っての打開(右サイド)

・鈴木が降りてきて起点になる

 

こんなところかな。

 鹿島はサイドに押し込めるようなプレス。プレスをかけ始めたらボールホルダーのパスコースを消す。持ち場を捨てても一気に押し込んでくるのが特徴。

 清水はサイドのパスコースを消される。ボールが通ってもボールサイドに寄せてくる鹿島の守備者にすぐ捕まってしまう。エウシーニョを中心にボールを運ぼうとしてもSHや2トップにボールが入った時に奪われることが多くなっていた。

 鹿島はプレスを回避されたらまず中央を消しながら下がって4-4-2を組む。清水もヘナトの飛び出しやエウシーニョのカットインからチャンスを作っていたがこの442ブロックを崩しきることができなかった。

 清水はサイドで詰まると鈴木やSHの選手が下がって受けるなどポジションを動いてボールを繋いでいこうとする。鈴木が降りることで宮本と共にボールを動かせる場面も出ていた。しかしヘナトの飛び出しも同じだが動いたことでネガトラが発生した時にスペースができてしまう場面が散見していた。

 

 これまでの試合を観てきて、清水は持っていない時にどう上手くやるかを中心に試合を組み立てているような気がする。ボールを保持している時はSHがどれだけ上手くボールの中継地点になれるかにかかっていて、他にそれほど手立てがあるわけではない。言わば現時点ではトランジション勝負のチームだ。

 しかしトランジション合戦の観点で見ると鹿島の方が上手く設計されているように見える。鹿島にプレスを回避された上、ボールを持たされてしまった清水は相手の土俵での勝負してしまった格好だ。これは個々の頑張りだけではどうしようもない部分だったと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年明治安田生命J1リーグ第31節 清水エスパルスvs川崎フロンターレ レビュー【やるべきことに集中する強さ】

1.はじめに

 今シーズンの優勝を決めた川崎フロンターレとの対戦。アウェイでは手も足も出ないといった敗戦でしたが今回はホーム。チャンピオンチームに敬意を表しながらも清水の選手達の心中は燃えるものがあったことでしょう。

 試合が始まれば、力強いプレスと奪って鋭いカウンター。まさにその気持ちがピッチに表れたような内容でした。

 結果は終始リードを奪いながらも最後に追いつかれ2-2の引き分け。悔しい気持ちは残りますが、川崎相手に一歩も引かない戦いぶりは心に響くものがありました。

2.スターティングメンバーと配置

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・清水のシステムは1-4-4-2

 現状のベストと言える布陣。サイドハーフの金子と西澤のポジションが左右入れ替わっているのがちょっとした変更点です。

・川崎のシステムは1-4-3-3

 すでに優勝を決めた川崎ですがほぼ主力といえるメンバー構成で挑んできました。なお前半の早い時間に左サイドバックの登里が負傷により旗手と交代しています。

3.中盤に網を張ってのカウンターの狙い

 清水の先制点は前半の11分。川崎が中央に入れた縦パスをヘナトが奪ってカウンター。竹内がヒールで落としたボールをカルリーニョスがゴールにねじ込みます。

 この中央で奪ってカウンターはまさに清水が狙っていた形だったと思われます。

 清水の守備を図示するとおおむね下のようになっています。

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 川崎のセンターバックにはある程度持たせた上で、

 

・2トップ(カル、後藤)はアンカーへのコースを消す。

サイドハーフ(金子、西澤)は身体を内側に向けながらもサイドへのパスコースを切るポジションを取っている。

・2トップの脇に降りてくる選手へはボランチが前に出てプレスをかける。

 

 つまりちょっと引き込んで中盤の高めの位置(図で丸く囲った辺り)に網を張る。こぼれたボールはヘナトが回収です。

  さらにボランチの選手が前に出た時は2トップの1枚が中盤に下がって中のスペースを埋めています。この動きからも中のスペースを消すことはかなり意識されていたよう思えます。

 これでボールを奪えばひっくり返して相手のセンタバックの脇と中央を使ってカウンターを撃てる状態になっています(下の図)。

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 川崎の保持は田中が下がってきたり、家長もふらっとスペースを求めて動いてきたりと割とポジションを動かしてボールを引き出す傾向がありました。しかもビルドアップが詰まるとその傾向はより強くなるようでした。

 先制の場面では家長が降りきて守田が少し前に上がっていたためボールを奪われた時に中央のガードが上手く効いていません。 

 少し中で強引に繋ごうとする川崎とそこを上手く消している清水の守備。それが清水にとっては上手く噛み合って守備で主導権を握れている。そんな前半の流れでした。

4.サイドを攻められるとちょっと弱い

 守備の局面では中央を上手く塞げていた清水。しかしサイドを起点に攻められると少し弱さを見せていました。サイドを攻められるとサイドハーフの守備の位置が下がって、それにつれてブロック全体も自陣に押し込まれてしまいます。

 またサイドバックをサイドに引き出され出た時にできるセンターバックとの間のスペース。ここに走り込まれてしまうとあまり上手く守れていません。

 下は川崎の1点目の直前を図にしたもの。

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 サイドで持った田中にエウシーニョが対応。エウシーニョが開いてできたスペースに三笘が入ってきて、それをヘナトがカバーしています。

 そしてヘナトが動いたスペース(図の丸く囲った場所)を使って守田→田中→ダミアン→田中とほぼワンタッチで繋いで田中のゴール。

 この得点のようにサイドを起点にしてサイドバックセンターバックの間のスペースを使う攻撃はこれまでの試合でもやられている形です。

 この試合でもサイドを重点的に攻められていたらもしかしたらもう少し苦戦していたかもしれません。

5.後半の選手交代について

 後半に入ると川崎はサイドからの攻撃を増やしてきました。そのため清水のサイドハーフは高い位置をキープできずブロック全体もやや下がりがちになっていきます。

 清水の交代はまず金子に代えて鈴木唯人。サイドの運動量を取り戻すこと、前への推進力を強めるための納得の交代。

 66分には負傷のカルリーニョスに代わってティーラシン。

 そして83分に竹内、ヘナトに代えて西村と宮本。この試合での清水のボランチは最前線へのプレスからディフェンスラインのギャップ埋めまで上下にかなりの運動量を求められていました。そして中で奪ってカウンター狙いの清水にとってボランチの守備強度の低下は命とりです。それでも絶対的といっていい竹内、ヘナト。そこを代えるのはかなりの勝負手でした。

 89分に川崎山根に決められ2-2の同点。リードを守り切れず失点してしまいましたがあくまでそれは結果論。中盤の強度維持を若手二人に託した平岡監督の交代策はしびれるものがありました。

6.最後に

 少し冷静に見れば、中央の守備は固いがサイドを攻められるとやや不安定。そして主な攻め手はカウンターとこれまで通りの特徴が見られた試合です。

 優勝を決めた川崎は相手に合わせるよりも中盤の構成力を生かした自分達のやり方を通したかったはず。それが功を奏したと言えるかもしれません。

 それでもここまでのリーグ戦において絶対的な強さを誇った川崎をぎりぎりまで追い詰めるのは簡単なことではないでしょう。

 できることに集中してそれをやり切る強度。それが自分達の強みとして確実に身に付いてきている証だろうと思います。

 

 

2020年明治安田生命J1リーグ第30節 清水エスパルスvs湘南ベルマーレ レビュー【采配の妙】

 アウェイでは3-0の完勝だった湘南ベルマーレとの対戦。今回はホーム、また週中に行われた横浜FC戦での勝利の勢いも継続し連勝といきたいところだった。

 試合の序盤は湘南がやや押し気味の展開だったが、後半に入ると湘南が先制するも清水もすぐに追いつく一進一退の攻防に。そして終盤には選手交代を絡めて勢いを増しゴールに迫る清水。しかしスコアはそのまま動かず惜しくも1-1の引き分けに終わった。

 スタメンと配置は下の図の通り。

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 清水のシステムは1-4-4-2。大幅にメンバー変更した前節から主力メンバーに戻してきた。GK大久保は2試合連続のスタメン。また平岡体制ではSH起用されてきた中村がCHに入っている。

 湘南のシステムは中盤が逆三角形の1-3-5-2。メンバーはGK後藤以外は前節と同じ。

 

 清水の守備は2トップが縦関係。1枚が湘南アンカーの柴田を見ている。そしてもう1枚のFWと両サイドハーフで湘南の3バックに嚙み合わせる形。

 マッチアップをはっきりさせて前からプレスしたそうな清水だが上手くはまっていない。湘南のDF陣はボールを持つとまず縦への選択肢を見せる。FWへのフィードや前に運ぶドリブル。まず中を意識させてシステム上は浮きやすいWBをよりフリーにする狙いだと思われる。

 清水のディフェンスは人への意識が強め。そして湘南のIHはサイドに開く動きをよく見せる。例えば齋藤がサイドに動くとヘナトが付いていく。湘南のFW中川がヘナトが動いたスペースで縦パスを受ける。清水の守備が絞ったら中からワイドのWBに開いてクロス。おそらく湘南のIHは意識的に清水のCHをコントロールしている。ワイドにボールが出た時にはSBが対応するので湘南のIHはその裏を狙っている(例:WB畑にエウシーニョが行ったら齋藤がエウシーニョの裏狙い)。

 大外サイドとハーフスペースから裏、そしてクロス。湘南の狙いはその辺りだと思われるがそれを行うために中に一度起点を作る攻め手が印象的だった。

 

 湘南の守備はまず中を塞ぐような動き。清水CBの横パスをスイッチにサイドへ追いやるようなプレス。

 清水は当然湘南の2トップ脇からサイドを使って前進を狙う。湘南は2トップや3センターのスライドとWBの前進でサイドを塞ぐ。特に中盤スライドで中が空いた時にカバーする松田天馬の運動量がえぐい。湘南は中を消してミドルゾーンのサイドに誘導して奪いたそうな守備だった。

 清水のチャンスは湘南が塞いでいるサイドを崩した時に生まれることが多い。エウシーニョがはがしたり、SBとSHで相手を引きつけてヘナトが裏を狙ってくパターンとか。

 中央から前進できないと中村が下がって受ける場面が多い。ボールを欲しがりカルリーニョスもサイドに流れる。より中のルートが減ってサイドで詰まり気味になっていた。

 ゴールに向かう形は基本的に3バックの脇からの裏狙いだと思うが、サイドを崩す形はちょっと強引かなとも感じた。ボールをもらいに行く動きが多いので、もう少し中央のレーンに中継点と相手を引き付ける役目が欲しい。

 前半は湘南の方がやりたい形を出せていた気がする。しかし清水もチャンスは作っている。それを両者決めきれず0-0で前半を折り返した。

 

 後半、清水はサイドチェンジ多め。立田が逆サイドに大きく振るプレーを多く見せる。後ろでサイドからサイドに動かされることで湘南は2トップが前から行けなくなり少し低めに5-3-2ブロックを構える場面が多くなった。

 守備局面での清水はより前への意識を強めたのか、2トップとSHでプレスに行って外されることが何度か。外されるとボランチ周りを湘南の2トップとIHに使われて真ん中を割られ気味。59分に中川に決められたゴールはコーナーキックからだったが、きっかけはそんなパターンからだった。

 後ろで持てるようになった清水だが主な前進ルートはやはりサイド。サイドにボールを運ぶとSB、SHにCHも絡んで物量をかけて崩しにかかる。

 湘南の交代はまず2トップから。湘南のプレスにおいて重要な役目を果たしていた松田と中川。かなりの運動量だったと思われる。また点を狙うために石原を入れる納得の交代策。

  清水の交代は63分に金子、後藤に代わって、鈴木唯人と川本梨誉。ブロックを押し込めてきたのでサイド、中央に打開力のある選手を入れ相手ブロックをずらしにいったのではないか。

 清水の得点はその直後の64分。後ろで動かして左サイドから中央を経由して右サイドへ。エウシーニョが中へ入れたボールをカルリーニョスが決めた。この時、ペナルティエリアに6人とそのすぐ手前に中村、ヘナトの2人。前に人数をかけてブロック内を動かしてのゴール。交代選手は直接絡んでいないが平岡采配ズバリ。

 その後も、川本のインアウト交代など(これは事前に予定していたらしい)巧みな交代策を駆使して清水がペースを握る。しかし惜しくもゴールを割ることができず。そのままタイムアップを向かえ1-1の引き分けとなった。

 

 試合の入りは少し劣勢だったものの、ハーフタイム後の修正と交代策で最後はもう少しのところまで流れを引き寄せてくれた。 得た勝ち点は1だが平岡監督の采配は見事だった。

 そして監督交代後、着実に勝ち点を積み重ねてくれている。これは選手の頑張りを監督がベンチワークでしっかりと後押ししているからなのは間違いないだろう。

 

 

 

2020年明治安田生命J1リーグ第29節 横浜FCvs清水エスパルス レビュー【見えてきた形と相手の変化にどう対応するかの課題】

 大敗の札幌戦から中3日の日程。コンディション、メンタル面の影響も心配されたがスコアは3-1。完勝と言っていい結果となった。

 両チームのスタメンは下の図の通り。

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 清水のシステムはこれまで同様の1-4-4-2。しかしスタメンは連戦を考慮してか大幅に変更されている。

 横浜FCのシステムは保持時には図のような1-4-3-3。非保持時にはIHの武田がCHの位置に下がり、斉藤が前に出る1-4-4-2になっていた。

 

 開始早々、清水が立て続けのゴールで2点のリードを奪う。これらの得点には清水の狙いが上手く表れていたように思える。

  清水が後ろで保持した時はGKがCBの間に入る、またはCHが1枚下がって後ろを3枚にして横に広がる。そして横浜FCの2トップ脇にCHが1枚。またSBはあまり受けに下がらず横浜FCのSHをピン止めするようなポジションを取っている。

 FWの後藤とSHの金子、鈴木は前目で相手の間にポジション取り(DAZNの中継の音声では"間で駆け引きしろ"という平岡監督の声を拾っていた)。

 横浜FCは清水のビルドアップを前から制限したいようだったがこれが上手くはまらない。清水が上の配置を取るため横浜FCのFW2人で清水の3枚を見る形になっている。さらに2トップに中盤が連動できずプレスが外されやすい状態になっていた。

  2トップは前に出るが中盤の選手は近くの相手を気にするので横浜FCの守備は間延びする。先制点は横浜FCのプレスを外して出したGK大久保のパスを2トップ裏で竹内が受ける。そこから中央レーンの間に降りた後藤にパスが通る。後藤から左サイドの鈴木に渡り、鈴木の突破からのクロスを逆サイドから入ってきた金子がゴール前で合わせた。

 後ろでプレスを外したら間にできたスペースを使いスピーディにゴールに向かう形。少し擬似カウンターっぽさも感じる。これが平岡監督の攻撃の特徴だろうと思われる。

 

 2点目はその直後の6分。高い位置で奪ったボールをドゥトラが決めて2点目。この得点からは守備の狙いがうかがわれる。

 横浜FCの保持時は安永レオをアンカーにした1-4-3-3。清水の2トップはこのアンカーを消すようなそぶりを見せている。得点もアンカーへのプレスから奪取。ショートカウンターだ。

 アンカーを消された横浜FCは中盤の起点を作れずビルドアップが詰まり気味。そこに横浜FCの4バックに対して清水の2トップ+SHの同数をかみ合わせプレス。この形でボールを奪えていた。

 ここまで平岡監督になってからの試合を見ると守備ではおおむねSHを絞り気味の高めに配置している。そして中を消しながら前にプレスに出ていく傾向がある。また横浜FCはこれまでと違う形にチャレンジしていたらしい。なので横浜FCへの対策が上手くいっていた可能性もあるが、チャレンジがまだぎこちない横浜FCに対して清水の元々のやり方が上手くはまった可能性も考えられる。まあ上手くいったのでどちらでもいいのだけど。

 飲水タイム後、横浜FCはビルドアップを修正。IHの武田が清水の2トップ脇に降りてきてビルドアップの出口になる。武田がワンクッションになることでアンカーの安永もフリーになってボールを受ける機会を作れるようになってきた。そこからワイドに振って清水のDFラインを横に伸ばしてハーフスペースを広げてその裏を狙っていく。

 横浜FCがビルドアップの修正を行った後の清水はなかなかプレスではめ込むことができなくなっていった。

 しかし一方横浜FCの守備も前からいくとプレスがはまらないのはあまり変わっていなかった。

 38分。清水が後ろでボール回すとそれに対して前に出てプレスをかける横浜FCの守備。それを立田が外してボールを前に運ぶと、後は横浜FCが前に出てきたことで生まれているスペースを流れるように使っていき最後は竹内がシュートを決めた。やはり擬似カウンターっぽい。そしてとても美しいゴールだった。

 相手が流れを掴みかけた時間帯で追加点を奪い、前半はそのまま3-0と清水がリードして折り返すことになった。

  

 後半の開始から横浜FCは3枚替え。それと共にポジションも少し動かす。並びは下の図。 

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 ボールを保持した時は安永がCBの間に降りて瀬古がアンカーの1-3-1-4(SH+SB)-2のような形になる(図の矢印の動き)。

 清水は選手交代はなかったが鈴木と後藤のポジションを入れ替えたようだ。

 3-1-4-2の配置は4-4-2で守る清水に対してちょうど間にポジションを取っている状態になる。守備の基準をはっきりさせて球際激しくいく傾向の清水は基準がずれプレスがはまらなくなっていく。

 特に左右のCBとWB化したSBによってこちらのSHの守備があいまいになるのは4-4-2vs3バックではあるあるの現象だ。横浜FCがSBの選手を代えたのは、保持時に3バック化した時によりWBぽい仕事を求めたからだと推測する。

 55分。横浜FCの得点。3バックで清水のファーストディフェンスをかわしてワイドのマギーニョを経由してハーフスペースを裏に抜けた中山へ。ここまでの動きは配置のずれ通りにボールを動かされてブロックがべた下がりしてしまっている。大外から内側へと上がってきたマギーニョが受けて折り返したボールのこぼれを瀬古がゴールへと蹴り込み横浜FCが1点を返した。

 その後もプレスがはまらない清水。66分に後藤とドゥトラに代えて西澤と西村がイン。西澤がSH、西村は2トップの一角に入った。

 西村をFWに入れたのはわかりやすく前線からのプレスを強化するのが目的の1つだろう。全体的に噛み合わせのずれを守備の運動量でカバーするようにプレスが激しめになっている。

 さらにもう1つの目的として保持時にも求める役割があったのではないかと思う。今の清水の攻撃は上記したように後ろで相手を外した後はスピーディーにスペースを使ってゴールに向かう傾向がある。そのため前目の選手は間で受ける能力とある程度個人で運んでいける能力を持つ選手が求められそうだ。

 おそらく西村は平岡監督の中では後藤に近い役割をこなしながら加えてボールを運べる選手として認識されているような気がする。

 それは私のただの想像として、試合の方は清水のプレス強度がやや高まったもののやはり横浜FCやや優勢で進んでいく。それでもその後はゴールを許さずにそのまま3-1で試合を終了させた。

 少しやり方を変えた横浜FCのプレーが不安定だった時間帯にゴールを決めきり、途中からはやや劣勢になりながらも1失点で乗り切り勝利を収めてくれた。

 これで平岡監督就任してから4試合。当然シーズン途中の引継ぎなのでできていないことは多々あるだろう。しかしぼんやりとは新監督の志向するサッカーの傾向が見えてきたような気がする。

 今シーズン残り試合も少なくなってきたが、まだ様々なタイプのチームとの対戦が残っている。自分の興味としては相手がブロックを固めてきた時にどう攻略の糸口を見つけるのか、また相手がワイドを上手く使ってこちらの442をずらしにきた時どう対応するのかあたりに注目して見ていきたい。

2020年明治安田生命J1リーグ第27節 清水エスパルスvsセレッソ大阪 レビュー【濃くなる色、消えゆく色】

1.スターティングメンバーと配置

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・清水のシステムは1-4-4-2

 システム、メンバー共に前節と同じ

C大阪のシステムは1-4-4-2

 こちらもシステム、メンバー共に前節と同じ

2.C大阪の攻撃と清水の守備について

 前半、ボールを握ってチャンスを作っていたのはC大阪。清水は神戸戦のような積極的なプレスは見せず相手のボランチ周辺を抑えるような守備でした。

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セレッソの攻撃は

1)清水の2トップ周辺でフリーの選手を作る。

2)フリーの選手が対角線上のフィード。

3)サイドバック裏へのランニング

4)清水のディフェンスラインとボランチを押し下げてバイタル周辺のスペースを使ってシュートへ。

こんな感じの攻撃パターンが多かったです。

(清水の2トップ周辺でフリーを作っての対角線へのフィード)

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(ディフェンスラインとボランチを押し下げてバイタルにスペースを作る)

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  C大阪はボールを敵陣に運ぶとボランチも清水陣内まで押し上げてきます。かたや清水はボランチが下がってしまっているのでセカンドボールも拾いづらい状態になっていました。

3.清水の攻撃とC大阪の守備について

 C大阪は、清水が後ろでボールを持つとサイドの高い位置に追い込むようにプレスをかけてきました。

 清水はサイドバックまではボールが回ってもそこで詰まって竹内やヘナトが中盤で上手く絡めません。

 その結果、サイドの後方から前にポンと預けるようなボールが多くなっていました。

 ただ狙いは明確で、前節同様に相手のセンターバックの脇から裏を狙っているのが感じられます。

 しかし前半に関してはそれが単調であまりチャンスには結びついていませんでした。

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4.収支プラスとなった清水の選手交代

 清水は後半の頭から後藤と金子に代わって鈴木と中村がピッチに入ります。前にポンと預けるようなボールが多かったので、受けたボールを収めて運べる選手に代えたのではないかと思います。

 後半の早々にヘナトのスーパーゴールが決まります。これは采配関係なくヘナトが凄いとしか言いようがありません。しかし清水の先制ゴールで少し試合が慌ただしくなったように感じます。その意味ではその後の流れに影響を与えたゴールでした。

 後半もC大阪の守備の狙いは基本変わってないようでしたが、鈴木、中村が入ったため中盤でワンクッションだけボールが収まるようになりました。

(例. 鈴木を経由してCBの裏狙い)

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 中盤にボールが入るようになれば攻守の切り替えも中盤で起こります。ヘナトのゴール後、少しオープンだったことからヘナトが引っかけてカウンターの場面が増えてきました。

 C大阪は58分に柿谷とブルーノメンデスを投入。柿谷が左サイドに流れながら清武と共にチャンスを作り、右は坂元が浮いて仕掛けてくる形を見せてきます。

 67分にC大阪は右サイドを突破した坂元のクロスを清武が決めて同点。その前にも何度か右サイドを崩されていたようにサイドハーフに入った中村の守備対応がぼやけたのは交代後のマイナス面でした。

 しかし86分に中村の勝ち越しゴールが決まります。前目でボールを持って個人の技術とアイデアを発揮できる中村ならではのゴールでした。中村は自らの力で交代策の収支をプラスにした形です。

 最後はアディショナルタイム、前掛かりになったC大阪のボールを奪いカウンター。ティーラシンが粘って出したボールをカルリーニョスが決めて3-1で清水が勝利しました。

5.さいごに

 今節も平岡監督の采配で流れを引き寄せ勝利に繋げた形になりました。前半の内容を見ての適切でわかりやすい修正でした。

 狙いどころを明確にしてシンプルに早めに使っていくこと、ポジショニングに無理に制限を加えず選手がコンビを使いやすい距離感でプレーしていることなど、前節から1週間を経てより平岡監督になっての変化が表れていたように感じます。

 それが選手の力を引き出したと考えればこの勝利は運ではなく新体制で引き寄せたものだったのだろうと思います。

 

 

 

2020年明治安田生命J1リーグ第26節 清水エスパルスvsヴィッセル神戸【平岡新監督の修正について】

1.はじめに

 平岡新監督の初陣は3-1の快勝でした。クラモフスキー前監督が解任されてからわずか2日。短い練習時間ではありましたが見事にチームをまとめてくれました。

 基本は前監督のやり方を継続。修正があってもそれはほんのわずかなものだったと思います。それでもサッカーは面白いものでピッチには監督の色が十分に滲み出ていたように見えました。

 今回の記事はその見えた特徴について考えていきたいと思います。

2.スターティングメンバーと配置

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・清水のシステムは1-4-4-2

 前節からのメンバー変更はボランチが中村から竹内に変わったところだけ。各選手のポジションは前監督の起用とほぼ同じですが動きを見るとフォワードが横並びの1-4-4-2と解釈した方がよさそうです。

・神戸のシステムは1-4-4-2

 清水同様にシーズン中の監督交代があった神戸。前回対戦では3トップシステムでしたが今回は1-4-4-2。イニエスタは左のサイドハーフに入っています。

3.相手陣内に押し込む清水のプレス

 まず見えた変化は守備の動き。

 前線の守備は段差を作って少し引き込むようなクラモフスキー監督の守り方から、3ラインを意識しながら積極的に前に出ていくプレスに変化していました。誘導して奪うより相手陣内に押し込んでビルドアップを窒息させるような守備です。

 特にわかりやすいのがサイドハーフの動きで、2トップ(後藤、カルリーニョス)の脇にボールが出た時はサイドハーフが躊躇なく前に出て嚙み合わせています。サイドハーフはコースを切るより2度追い、3度追いで奪いにいくのは大きな特徴の変化でした。

 神戸の攻撃を見るとイニエスタが清水の2トップ脇に降りてきてボールを受ける動きをしています。これで金子やヘナトを引き付けたらボランチの脇でワンクッション入れてエウシーニョの裏にドウグラスを走らせてクロス。

 神戸はこのような攻撃パターンで幾つかチャンスを作っていましたがあまり厚みがなかったこと、ドウグラスがゴールから離れる動きが多いことからそれほど決定機は作れていません。

 しかし、サイドハーフが積極的に動くことで生まれるボランチ脇やサイドバック裏のスペースはこの守備のやり方で一つ注意が必要なポイントだと思います。

4.ハーフスペースから裏。早めにゴール前への動き

  ボールを持ったときは前節柏戦に近い動きでしたが、それがよりシンプルになった印象です。

 ポジションのローテーションなど前監督時に見られた動きもありますがそこまで細かい繋ぎにはこだわっていなそうです。早めにハーフスペースにポジションする金子や西澤にボールを入れて、2トップがセンターバックの脇から裏を狙う。そのような前進が多く見られます。また清水はクリアをする時もセンターバック脇に向けて蹴っています。ここは保持した時にかなり意識していたポイントだと思われます。

 そしてサイドハーフがワイドより早めにゴール前を狙って入ってくるのも変化した特徴といえます。

5.金子と西澤のポジションチェンジについて

 采配で注目されたのは、後半開始とともに行われた金子と西澤の左右入れ替え。

 上に書いたように清水が保持した時はハーフスペースにポジションするサイドハーフにボールを入れることがポイントになっていました。

 その際、そこまで守備での強度がないイニエスタやサンペールの近くで受けた方がプレーしやすいように見えました。

 そこで西澤をイニエスタのサイドに回してボールを受けさせ、金子には逆サイドで裏を狙わせたのではないかというのが私の推測です。

 神戸のボランチ、山口とサンペールの並びを見ていると試合途中で何度か左右を入れ替えています。これは間で受ける西澤を気にして山口を当てるようにしていたと想像したのですが...。

 さらにもうひとつ。後半の神戸は前半よりバイタル周辺が緩くなっている場面が散見します。広範囲を動いてボールを引き出すカルリーニョスと裏を狙う金子の動きにボランチが動かされたからではないかと思われます。

 これも裏を狙う金子と間で受ける西澤と役割を明確にした効果と言えるのではないでしょうか。

6.さいごに

 快勝ではありましたが、よく見れば少しの危うさと単調さも感じられます。しかし、この試合においてはそれはそこまで問題にはなっていませんでした。

 監督交代から練習時間はほぼなかったことを考えれば試合に挑むにあたっての指示は極めてシンプルなものだったでしょう。それが私達に見える形としてはプレーの思い切りの良さとして表れ、ほんのわずかな問題を上塗りできていたのだと思います。

 また次戦まで時間が少し空くので平岡監督の色がもう少し出てくるかもしれません。それがどんな色となってピッチに表れるのか。楽しみに次の試合を待ちたいと思います(と言っても明日なんですけど)。

 

 

 

2020年明治安田生命J1リーグ第25節 柏レイソルvs清水エスパルス レビュー【ラストゲーム】

1.はじめに

 試合結果は1-1の引き分け。勝ち点は1でしたが内容面は久々に”らしさ”が見られ、立て直しへの期待を抱かせてくれました。

 しかしその翌日、ピータークラモフスキー監督解任のニュースが発表されます。残念ながら試合後に膨らんだ期待は実ることなくこの柏戦がクラモフスキー監督のラストゲームとなってしまいました。

2.スターティングメンバーと配置

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・清水のシステムは1-4-2-1-3

 長らく3バックシステムを採用していましたが第16節鹿島戦以来の4バックシステム。ダブルボランチの一角に5試合ぶりスタメンの中村慶太。右ウイングには金子。各ポジションとも原点回帰とも言えそうなスタメン選考です。

・柏のシステムは1-4-2-3-1

 前回の対戦では3-4-2-1から守備時には4-4-2になる変則的な形でしたが、今回はオーソドックスな4-2-3-1。メンバーを見ても前回対戦時とは大幅に選手が入れ替わっています。

3.清水の攻撃局面について

(1)ひとつ飛ばしてライン間へ

 前半、狙いを遂行できていたのは清水だったと言っていいでしょう。

 清水はキーパーの梅田も加えてビルドアップを開始。さらにボランチの中村も少し低めでボールを受けることで後ろでの保持を安定させます。

 これで柏の守備を前に引き付けたら無理に繋がずに柏の前線をひとつ飛ばしてライン間にボールを入れていました。

 柏の守備の基準はわりと明確で下の図のようになっています

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 ヘナトを江坂、中村を三原、後藤を大谷が気にする形。特に中村を見るボランチ三原が前に出るためその後ろにスペースが生まれます。そのスペースに西澤や金井が入り使うことで相手陣内での起点となっていました。

(2)裏抜けするカルリーニョスの動き

 前半の攻撃ではカルリーニョスがサイドの裏を狙って飛び出す場面が多く見られます。

 フリーになりやすい西澤や金井にサイドバックの川口やセンターバックの大南がそれぞれ対応するためその裏のスペースが空いてしまうのが要因だと思われます。

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 上の図はそれを表したものです。清水の前線を見るとボールと逆サイドのウイング(主に金子)はゴール前に絞ってカルリーニョスと2トップ気味のポジショニングを取っています。この金子がサイドの裏に流れたカルリーニョスのクロスに合わせる役目。

 しかしその他の選手が相手を引き付ける役回りのためクロスを上げてもゴール前に金子のみという場面が多くなっていました。ここがチャンスを作っても崩しきれない理由のひとつになっています。

 前半途中からヘナトが前に絡むことでゴールの可能性が見えてきました。そのような動きをうながすためにもセンターバックが相手のファーストディフェンスを動かしてボールを前進させる必要があったと思います。この課題はここまでの試合と変わらずの印象でした。

4.清水の守備局面について

 柏の保持に対してウイングを少し内側に絞らせて中へのパスコースを消すように構える清水の守備。

 柏も無理に中央を狙わずにサイドからのボールの前進でした。柏の左サイドはトップ下の江坂とサイドハーフの仲間がポジションを変えながら清水の守備に揺さぶりをかけます。

 右サイドではクリスティアーノが基本ワイドに。サイドバックの川口の追い越す動きを組み合わせて崩しにきます。

 清水はサイドバックがサイドに出たらウイングはハーフスペースに、サイドバックが絞ったらウイングがサイドレーンを埋めて内側を空けないことを意識しているようでした。そして江坂の流れる動きはヘナトを監視役にしてケアします。

 前半に関しては柏の攻撃がシンプルだったこともあってそれなりに安定していた守備局面だったといえるでしょう。

5.後半の流れ

 後半開始から柏は3人の選手交代。さらにシステムを1-4-1-4-1に変更します。

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 狙いの変化としては清水の後ろには持たせるかわりに、ライン間のスペースは狭めて自由をあたえないような動きが見て取れました。

 システム的には三原をアンカーの位置に置くことで後藤を監視しながら前半使われたボランチが出ていった後ろのスペースも埋めることができます。

 前半に使えたスペースが無くなり、前にボールを入れても回収されてしまった清水。思うようなボール保持ができなくなる後半の攻撃局面でした。

 柏は保持したに時も少し変化を出しています。

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 右サイドバックの川口を前に上げて後ろは3枚、そこに三原やインサイドハーフの小林も絡んで古賀の配球を中心に後ろからのビルドアップをしてきます。

 古賀や小林がハーフスペースで浮くような形になるのが捕まえづらくボール前進を許してしまっているようでした。

 しかし、かみ合わせの変化に戸惑いながらも最後を踏ん張り失点ゼロに抑えたのは評価していい部分だと思います。

6.さいごに

 前節から2週間の猶予があったためか試合を安定させる準備は整えられていました。チームのスタイルに沿いながらも無理せず今できることを仕込んだといったところ。ここまではできるけどこれ以上はできないよという試合だった。それが私の感想です。

 それでも今できる範囲でスタイルを維持しての修正を施してくれました。ピータークラモフスキーはチームの現実を把握しながら自分の信じるサッカーをピッチに表現できる監督だと示してくれたのはせめてもの救いです。

 本当ならばこのさらに上へピータークラモフスキー監督と歩んでいきたかったのですがその夢はかないませんでした。

 それでも清水エスパルスの目指すところは変わらないはずです。ピーターと共に戦った1年弱の日々がこの先のエスパルスにとって大切な財産になっていることを信じたいと思います。