2021年明治安田生命J1リーグ第10節 ガンバ大阪vs清水エスパルス 観戦メモ

試合結果

ガンバ大阪0-0清水エスパルス

得点

なし

パナソニックスタジアム吹田/雨のち晴時々曇り/気温12.2℃)

スタメンと配置

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(左利きは黒川、チアゴアウベス)

選手交代

清水 75’ディサロ(サンタナ)、84’福森(奥井)、84’後藤(鈴木唯)、90+2’竹内(河井)

G大阪 62’倉田(チアゴアウベス)、73’福田(佐藤)、73’山本(チュセジョン)、87’一美(黒川)

清水の保持局面

・清水の最後尾の保持はCB2枚、もしくは時々GK入って3枚でスタート。

・CHの宮本は2トップの裏、河井は宇佐美と左SHチアゴの間にポジションを取っている(エウソンと河井が入れ替わる時もある)。

・右にボールが回った時のお互いの関係は下の図。

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・ガンバの2トップは1枚がアンカーをケア。もう1枚がCBに出ていく。左SHのチアゴアウベスはエウシーニョを強く意識しているようだった。ただし間にポジション取りする河井にもチアゴと宇佐美は影響を受けるため、少しプレスがずれてボール前進のきっかけになっているよう。

・間の河井に対しては井手口が積極的にプレスに出ていく。井手口が広範囲に動くためチュセジョンの周辺にスペースができやすい。

・清水は井手口の後ろのスペースに鈴木唯人。チュセジョンを挟んで左側に西澤がポジション。清水は井手口が動くことでできるチュセジュン周辺のスペースを意図的に狙っているようで鈴木唯人や西澤がフリーになってボールを運べることが多かった。

ガンバの守備対応について

・ガンバのCBは基本はゴール前を埋めたそう。アンカー周辺でフリーの唯人や西澤へは追撃に出てくるが深追いはしない。相手がボールを離せばすかさずDFラインに戻る。またボールホルダーがゴール前から離れれば味方に受け渡してDFラインに戻っていく。

・CBが動けばSBが絞ってゴール前のスペースを消す動きを見せる。またはCHが下がって埋める。基本的には4バック+アンカー1枚の形を保ちたいようだ。

・多少中盤を譲ってもゴール前は動かしたくなさそう。結果、相手に中盤で持たれても最後は最低限1対1、プラスGK東口の状態に持ち込めている。

・清水の右SH中山にボールが入るとガンバのDFは(ガンバから見て)左にずれる。その際、清水のFWサンタナは左に流れる傾向がありマッチアップの担当は右SBになる(下図)。

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サンタナが左に流れた時にミスマッチになりそうな右SBのポジションだが、そこがCBタイプの佐藤のためミスマッチになっていない。

・SHのチアゴアウベスはエウシーニョが上がるとDFラインまで戻って守備をしている。ゴール前で不確定要素になるエウシーニョをマンツーで消し、不意な対応でゴール前の1対1がずれるのを防いでいたのではないだろうか。

・中盤のスペースを使い素早くゴール前を襲いたい清水。中盤は譲ってもゴール前は固めたいガンバ。ある意味前半の展開はお互いの狙いが噛み合っていたと考えることもできる。

清水の守備局面

・ガンバも保持時は基本CHを降ろさない。右SBがあまり上がらないので右寄り3枚のビルドアップとも解釈できる。

・清水は右SH中山を前に出して4-3-3気味の守備陣形。2トップの片方がアンカーを抑えているのを確認したら中山ともう1枚のFWでプレスに出ていく。

・左SB黒川が高い位置。昌子が右利き。中山が右を切りながら出てくる。そのためかガンバはボールを右に誘導されることが多かった。

・ガンバの前進はCB三浦からパトリックへのロングボール。または三浦から右SB佐藤、佐藤からチュセジョンへ斜めのパス。配置的に佐藤がややスペースを得ているため(西澤が中盤から出て行く形のため)前進パスの起点になることが多い。

・ただし清水も2トップの1枚がアンカーを監視しているのでチュセジョンからクリーンに展開される場面はあまり見られない。

・井手口はあまり下がらずフィニッシュ時にはゴール前まで出ていくポジション取り。

・宇佐美は前線から降りてきて中盤のフリーマン的役割。フィニッシュ時はゴール最前線でなくバイタル周辺。ちょっと浮いた場所からのミドルシュートが脅威になっている。

・ガンバのビルドアップがやや単調なこともあり清水は中央を消しながらサイドに押しやる守備ができている。

・ガンバはトランジションやこぼれ球を拾ってのチャンスが多い。これはビルドアップが上手くいってないのか、またはあえてクローズ気味にしているのかはわからない。左SHのチアゴ、右SB佐藤の起用からあえてカオス度をコントロールしていたと見ることもできなくはない。

後半の流れ

 後半、ガンバは宇佐美を前に残してパトリックが下がり4-4-1-1に近い守備。前半、井手口が見ていた河井のポジションをパトリックが見る形だ。

 そのためCBへのプレスは弱まり清水は後ろでの保持に余裕が出てきた。ただしブロック内のスペースは前半より少ないためスローダウンして左右に振りながら前進を狙っている。

 清水が使えているのは昌子と黒川の間のスペース。そこに流れてぺナ角からぺナ角に振って逆サイドのSHやSB(西澤、奥井)が入ってくる形が何度か見られた。

 ガンバは62分にチアゴアウベス→倉田の交代。倉田はチアゴに比べて広く動いてボールを引き出すためガンバは左サイドからもボールを前進できるようになっていった。

 ガンバはさらにCHに山本、右SBに福田の選手交代。両SBを上げて前線4枚がゴール前。長いボールを入れながら全体的に前掛かりになりゴール前でごちゃついた展開を作っていった。

  清水は75分に動きの落ちてきたサンタナに代えてディサロ。84分には鈴木唯人→後藤、奥井→福森。長いボールと上下動する展開に対応するような交代だ。

  ややアンコントロールを受け入れてもオープンな状態からチャンスを作るのはガンバの狙いでもあるだろう。

 対してそれを抑えながらカウンターから勝ち越しを狙う清水。事故的な失点を防ぎながらチャンスも作ったが得点は奪えず0-0で試合は終了した。