2015年1st第14節 清水エスパルスvs川崎フロンターレ「何かがないなら、ほかの何かで埋め合わせるということ」

 
 何かが出来ないなら、ほかの何かで埋め合わせるということ。この試合を観ての一番の感想です。
 
基本フォーメション
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 フロンターレの攻撃、エスパルスの守備に関してはマッチアップ通りの現象が起きていたという印象です。
システムの噛み合わせでは、エスパルスはアンカー竹内が、フロンターレは左右のCBが浮いてる状態です。
ということでフロンターレは、空いている左右のCBを使って攻撃をスタートしていました。
 エスパルスは、ウタカがCBへプレス、元紀がボランチへのパスコースを切るのがまずスタートです。右CBの武岡にパスが出たら元紀か石毛、どちらか近い方が行き、片方はボランチにつきます。左の谷口へは基本水谷が出て行き、ボランチへは石毛と元紀がスライドする形です。
もしスライドが間に合わずボランチにボールがわたっても、エスパルスのDFとフロンターレの前線は3vs3の同数。マーカーははっきりしているため、一発勝負で外される以外は守備面ではそんなに大きく負けているところはなかったように感じました。

 前半途中、森谷を下げて左右CBを上げ4バック気味にした時はサイドを使われペースを握られかけました。しかし中央は前述通りスライドの動きで消しているのでフロンターレの攻撃はサイドからのクロスのみ。ならばと後半船山と井川の交代で憲剛をトップ下、谷口をボランチにしたり、三好を入れて憲剛をボランチにもどし谷口をCBの中央にしたりと人の当て方を変える交代をみせます。しかし基本後ろはズラされていなかったので大きく守備が崩れることはありませんでした。フロンターレの攻撃があまり中盤で相手を崩さず前一発勝負だったのが意外でした。過密日程による体力的な問題もあったのかもしれません。
 エスパルスはこういう感じで真正面からぶつかってくる相手には割と強いなと感じました。
 システムの数合わせで見ればそんな感じに見えました。しかし、それでも相手の動きによりズレてしまう場面は出てくるはずです。今までの試合では、相手に噛み合わせてもどこかでズラされた時にカバーを整理できずディフェンスラインに穴を作られ崩されてきました。ではこの試合ではどうだったのでしょうか。それが始めに書いた感想です。

「ゾーンで守り切れないなら、走ってずれを埋め合わせる」ということです。

 この試合ではそのずれを水谷、石毛、元紀の運動量でカバー。前にプレスに行き後ろにスペースが生じてしまったら難しいことを考えず、とにかく頑張って走り埋めていました。多少ポジションが崩れたとしても危険な中央で相手をフリーにするということはありませんでした。
 フロンターレとしては前線がはまっているので後ろから崩したかったはずですが運動量でカバーしてくるエスパルスの運動量を生かしたファーストディフェンスを外せず苦労しているように見えました。
 エスパルスの運動量は戦術的に大きな意味をもっていたと思います。
 しかしいくら頑張っても無駄に走らされれば限界は出てきます。それを補助するのがハイラインです。コンパクトにして走る距離を縮め守備エリアの面積自体を狭め、相手にパス回しのスペースを与えないためにはハイラインは必須でした。中盤がしつこく相手についていけたのはDFラインが勇気を出してプッシュアップし続けてくれたからだと思います 
 そしてそのハイラインの補助するのが櫛引の飛び出し。DFラインを高く維持できたのは櫛引が後ろをカバーしてくれるという安心感があったからだと思います。このように運動量、ハイライン、キーパーの広い守備範囲は3つセットになって意味を持つものになっていました。それも動きで様々な問題を解決するというコンセプトがあったからだと思います。
 大榎監督が今までの現実的なやり方を止めて、開き直って理想のやり方シフトしたという声も聞かれます。しかし僕はそれは違うと思っています。あくまで考え方はこれまでと同じ。今まで出来たこと、出来なかったことを踏まえ練り上げた継続の結果だと思います。この試合で出場した選手はこのやり方にあったから起用されたわけで、これまで起用されていた選手はこれまでのやり方にあっていたから起用されていたわけです。
 単に理想に目覚めて、選手を変えたから、やり方を変えたからなんてことはないと思います。すべて繋がっているのです。
 
 ということでいきなりチームが急上昇もしないだろうし落ちていってるわけでもないというのが今の僕の評価です。ただ問題点の修正を切り貼りしていた今までのチームが、1つの形としての姿を見せてくれてきているような気はします。
 正直いえばきちっとしたディフェンス組織を求めたくはなります。でも出来ないなら割り切り出来ることを極めるのは正しいことかもしれません。
 
 今回言いたいのはこれがすべてです。攻撃に関しても見てみましたが、ほかの方のブログを読んで満足できそうなんであえて無しで。ではこんなとこで。