2ndステージ取り組んでいたこと~フロンターレ戦、Fマリノス戦より

 セカンドステージ2節の鹿島戦から守備の形が変わってきています。プレスで奪いに行くことよりセットした状態でのディフェンスを意識しているようです。失点を減らすことが必須であるチームにとってこれは正しい方向性だと思います。
 フロンターレ戦までは結果が出なかったので守備の構築は進んでいないと思われがちですが、少しずつですが積み上げてきているように見えます。それについて書いてみます。
 
 フロンターレ戦から考えていきます。
イメージ 6
 
 エスパルスがボールを持った時のシステムは3-4-2-1。
 
イメージ 1
 
 守備の時は5-3-2の形で守ります。中盤のラインは前の3人のうち1枚が下がって3枚で形成していました。
イメージ 8
 
 この画像では元紀が下がって5-3-2を形成しています。
 
イメージ 10
 
本田が前に出たら元紀、テセが中盤に下がっています。
 
イメージ 12
 
 エダが前に出て本田下がり5-3-2。
 
イメージ 11
 
 時にはWBが前に出たスペースをFWのテセが埋める。しっかりと5-3-2。
 
 この試合では前にボールを奪いに行くよりも各ラインの人数を揃え守備の形をセットすることを意識していたようです。前に出るときは出てもいい、しかし誰かが必ずそこを埋めてラインの人数は揃えなさいという約束のようです。
 
 ここに考え方の変化を見ることができます。ファーストステージでは前から人数を合わせていましたが、この試合では後ろから揃えることを意識しています。
 鹿島戦から少しずつ約束ごとを増やしていって整えているように見えます。この試合で見られたことをもう少し
イメージ 2
 
 サイドからボールを運ばれたらWBが前に出てプレスをかけます。DFラインはそのスペースを埋めるようスライドします。 
イメージ 3
 
 もしスライドがうまくいかずDFラインにギャップができたときはボランチが下がってそこを埋めます。
イメージ 9
 
 ここでは本田がDFラインの間に下がって平岡とヤコの間のギャップを埋めています。
 と、このように見てきましたが、意識付けはしているものの完成度は低く結局3失点しています。
 そこで、この試合で見られた問題点を2つ。
 1つが前3人の内1枚が中盤に下がりきれない場面があること。
 
イメージ 7

 
イメージ 13
 
 ここではウタカが下がりきれず白丸のスペースを使われます。このように特にウタカのプレスバックが遅れがちでした。前が戻れないと中盤のラインが人数不足になりボランチの横を使われやすくなります。
 2つ目の問題点はDFラインのスライドが遅れがちなことです。その時、WBの後ろが空きます。
 
イメージ 14

これは1失点目の画像です。ここでもウタカが中盤ラインに戻りきれていません。そしてデュークが前に出て裏を取られます。犬飼は憲剛を見なければならないのでしかたありませんがカバーする選手がいません。さらにDFラインのギャップを埋めるためハチが下がり結果的に中盤に誰もいない状態になっています。この場面は2つの問題点が同時に出てしまい失点してしまいました。
イメージ 4
 このように、2つの問題点によって空きやすいのは白丸の部分。つまり大榎監督がFマリノス戦の試合後インタビューで前節から修正したとコメントしたボランチ脇との裏のことです。
 これを修正するにはどうすればいいかと考えると、次のようになります。
・前3人の内1人下がらなければならないなら始めから1人は中盤の選手を入れる。
・FWが1人下がったり、DFがボールサイドにスライドするなどポジションの動き方がスムーズにいかずギャップを生んでしまうなら始めから動かなくてもいいような配置にする。
 
イメージ 5
 上の条件でシステムを組むと図のようになります。Fマリノス戦のスタメンです。これで始めから空きやすかった場所を埋めることが出来ています。白崎の起用はキープ力と前への推進力、得点力とウタカの変わりになれる能力を持ち、かつ守備意識の高い中盤の選手であるからだと思います。
 つまりFマリノス戦の4バックと白崎の起用は苦し紛れの思いつきでなく前節の問題点を的確に修正していると言えます。
 
 鹿島戦からここまでは目には見えづらいですが少しずつセットした守備を整えるためのチーム作りが行われています。そして、それがFマリノス戦の勝利に繋がっていたのだと僕は思いました。
 
(追記) 
 大榎監督続投の前提で書いていましたが書いている途中で大榎監督の辞任が発表されました。ネット上では大榎さんと田坂さんの間で軋轢があるという噂も聞かれました。
 僕は試合を見ている限りではそんなことはないと思っています。フロンターレ戦まではそれまでの形をあまり変えないまま重心をやや下げてセットディフェンスを植えつけようといるように見えます。
 大榎さんと田坂さんは話し合いながら、大榎監督のサッカーを壊さずにディフェンスを整える方法をとっていたのだと思います。
 そして大榎さんはFマリノス戦の前日、辞任を決意します。田坂さんの手腕を見て彼ならエスパルスを残留させることができると確信したのでしょう。Fマリノス戦は負けても自分が責任を負うが彼のサッカーをより打ち出してもらおうとしたのだと思います。
 これがフロンターレ戦までとFマリノス戦で采配が変わったように見えた理由だと想像します。これはあくまで想像です。
 
 僕は彼の監督としての手腕に疑問を持ってきました。しかし彼のやってきたことで僕に見ることの出来ていないことはたくさんあるはずです。ゴトビさんが残していってくれたことを僕らは次に生かすことは出来ていませんでした。
 前向きとは過去を捨てるということではないと思います。大榎さんもこの1年で何かを残してくれているはずです。僕はしばらくそれを探していきたいなと思っています。