2ndステージ 8節 G大阪戦 レビュー

清水 0 - 1 G大阪
得点 31分 パトリック(G大阪)
 スタメンと配置
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 “我々が意図していたものは出せた。しかし内容が良かったといっている場合ではない。なんとしても勝ち点3を取らなければならなかった。”
 
 試合後、田坂監督はこうコメントしています。その通りです。内容が良かったと安心している余裕はありません。
かといって内容を無視していいはずもありません。それを上向かせなければ結果を偶然にゆだねるしかなくなってしまうからです。
 この試合は0-1で敗戦してしまいました。それでも求める結果を得るためには自分達の意図するものを一層ピッチに表せるように内容を突き詰めていく以外やるべき方法はありません。
 では意図したものはどのようにピッチに表れていたのでしょうか。守備の組織が整備されてきたのは多くの人が指摘してくれています。なのでここでは僕に見えた攻撃の形について書いていきたいと思います。いつも通り素人目線ですのでそこは緩やかな目でお許しください。

 エスパルスは元紀、テセを2トップにした4-4-2。右サイドハーフに白崎が入りウタカがベンチスタートです。ガンバは倉田がトップ下の4-2-3-1。ガンバは守備の時、倉田が前に出て4-4-2の形を作ります。宇佐美がサイドーハーフとして中盤の守備に入るのが、1stステージでの対戦時との大きな違いです。
 4-4-2で守るガンバに対しエスパルスは下の図のような配置をとっているように見えました。
 
 
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 サイドバックが幅を取り、サイドハーフ(白崎、デューク)をやや中に寄せます。ガンバのボランチサイドハーフの間(この記事内はセンターバックサイドバックの間と合わせ便宜上トレーラーゾーンと呼ぶことにします)あたりです。FWの1枚がバイタルで受け、もう1枚のFWとサイドハーフ、時々枝村がDFラインのギャップを狙い突撃します。
 例として前半25分50秒からの攻撃。
 
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 まず相手の2トップパトリック、倉田にセンターバックからボランチ本田のコースを塞がせることでその2枚をピン止めします。そしてセンターバックが2トップ脇にボールを持ち上がり攻撃がスタート。そこからキャラが左サイドバック六平へパスします。ガンバは右サイドハーフ大森がプレスに来ます。デュークが下がって受けに来るとガンバのボランチ今野がついてきます。これによりガンバのボランチ周りにスペースを作ります。
 
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デュークはもう1度六平に戻し、六平は今野があけたスペースに入った元紀にパス。そしてそのままサイドを上がってきたデュークにパス。
 
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 テセがサイドバックセンターバックの間のスペースを抜けようとして、デュークはそこにパスを出します。ちなみにこのとき逆側のサイドバックセンターバックの間のスペースは白崎が狙っています。この攻撃は最後は通りませんでしたがよく見られた攻撃パターンです。
 このようにガンバのボランチサイドハーフの間、またはセンターバックサイドバックの間に人を配置して、そこに直接ボールを入れたり、人が引いたり、追い越したりしながトレーラーゾーンを広げる攻撃を狙っているようでした。
狭い局面に人数をかけることをしないので後ろにブロックを作って前の選手だけで攻めているように見えますが実はセンターバックから相手の守備組織を動かしながら攻撃を仕掛けています。
 特にトレーラーゾーンを直接、あるいは広げて使うという攻撃はよく目立ちます。
このようにディフェンスラインの前まではボールをチームとして運びチャンスを作れていました。それはシュート数にも表れています。しかし、そこから先はガンバのディフェンスが固く完全に崩し切ってシュートを撃つ場面はあまりありませんでした。       上の攻撃例にも表していますが、ボランチの今野は自分がかわされた後ボールを持つデュークに付くのではなく直接サイドバックセンターバックの間のスペースを埋めに行きます。
 このようにガンバはディフェンスラインのギャップへはボランチが必ず下がって埋め、ボランチが動いた場所はサイドハーフの大森が絞って埋めていました。もしかしたらガンバの長谷川監督は田坂監督がトレーラーゾーンを攻撃をしてくるのを読み最後の壁はしっかり固めていたのかもしれません。
また他の方のブログでも言われていましたがサイドチェンジが少ないのは僕も気になりました。それにより同サイドを早く攻める形になり単調で最後を個に頼る強引な攻めに映ります。
 ガンバは昨年と違い後ろにブロックを作り待ち受けるような守備をせず割と早めに奪いにくるような守備をしているそうです。確かにこの試合もそのような傾向が見られました。田坂監督は繋いで崩すより早めにそこを狙おうとしたのかもしれません。それとも単純に選手が急ぎ過ぎたのでしょうか。そこはまだ僕には読みとれませんでした。

 見直して感じたのはよく言われるほど守備ばかりを意識した試合はしていないなということです。前半は特にガンバに比べても攻守にバランスの取れた良い試合をしていたと思います。
 田坂監督は試合中はしっかり攻めの姿勢を出していくタイプの監督のようです。むしろガンバより全体で攻撃を仕掛けています。ただ準備段階ではリスクを出来るだけ抑えるという方法をとっていて、これが守備的に見える原因なのかもしれません。

最後にまとめを。
 形はしっかり出来ているのはわかりました。就任1ヶ月でよくここまで持ってきたなと思います。しかし形は出来ているものの、まだもう一歩足りないという印象を受けました。おそらくシーズン通せば最低限の成績は残せる監督だと思います。しかし残り少ない試合数を考えると果たして間に合うのか。それはわかりません。でも僕は彼のやり方を信じるしかないと思っています。
 結果にはまだ表れませんがピッチにはやろうとしている意図がしっかり表れています。この先上位チームとの対戦が続きますが上位だろと下位だろうと関係ありません。僕に出来るのは勝つと信じるだけです。
これは苦し紛れの精神論ではありません。ピッチに表れていた我々の意図は昨年チャンピオンのガンバにも負けていなかった。この試合を見てそう自信が持てたからです。
 その自信を胸に今のチームを信じて応援するしかないと僕は思っています。そう思わせてくれる試合でした。