エスパルスの失点を検証してみました

開幕から第12節までの失点数が11点。これは失点の少なさだと現在J2で8位の成績です。一応半分より上の成績なのですが、昨年のメンバーがほぼ残ったこと、カテゴリーが下がったことを考えると守備力が上がったと自信を持っては言い切れない数字です。
 
「昨年となんも変わってないじゃん。」という声が聞かれるのもわからんではないです。僕は改善されていると思うのですがどうなんでしょうか。わからなければ調べるしかない。ということでここまでの失点を全て調べてみました。失点の原因は何なのか、それは組織としての問題か、個人の問題か、そのあたりを僕の独断で検証してみます。
 
始めに11失点の内、防ぐのが難しかったと思われるのが3点。

札幌戦の33分2失点目。福森のFKのこぼれ球を詰められたゴール。

京都戦の62分山瀬のミドル。

これらは相手のスーパーゴールで、もし同じ場面が訪れてもどこかを修正して防ぐというのは難しいのではないかと思われます。

微妙なのが札幌戦の22分ジュンボンのOG。一応ミスといえばミスなのですが、これは事故で防ぐのが難しく仕方なかったということにしておきます。(以上3点、技術面に詳しくないので、もし違ってたらすみません)
 
残り8失点ですが、これらはほぼ、というかすべてチームの戦術的エラーでなく個人の守備での対応に問題がある失点でした。昨年よく見られたゴール前でDFが2対1を作られてしまうというDFとして対応のしようがない状態や、守備戦術が整理されていないためゴール前でフリーを作られシュートを打たれてしまうような場面はありません。これが昨年前半の守備から大きく改善されているところです。失点場面をみると問題点はわりとはっきりしています。大きく2つに分けましょう。

1つ目はサイドバックの守備力不足です。サイドバックの競り負けや完全なミスによる失点です。

讃岐戦1分。クロスが入る前は福村の方が相手より前方を走っていました。にもかかわらず入り込まれてシュートを打たれています。個人の対応でちゃんと防がなけれければいけない失点だと思います。

北九州戦41分。左サイド(清水から見て)からのクロスに対して川口が目測を誤って完全にかぶっています。このとき弦太から原を見るよう指示が出ていたし十分対応する余裕がありました。

金沢戦17分。辻尾のFKから。川口が競りましたがゴールされます。

岐阜戦27分。福村がマークについていましたが安部にゴールされます。

清水のセットプレーの守備はマンマークです。そして清水のマークは相手の競り合いに強い選手1番手、2番手にCB2人、続いて3番手、4番手にSB(川口、福村)を当てていきます。相手に競り合いが強い選手が3人以上いる場合、SBのところでミスマッチが出来る可能性があります。ここが清水のセットプレーの弱点になるので今後あえて狙ってくるチームも出てくるかもしれません。

C大阪戦69分。これ弦太のクリアを山村が拾ってからのスーパーゴール。ではあるのですがその前にテセと福村の単純なマークの受け渡しミスが発生しています。しかも福村は山村がフリーになったのに気付きましたがマークするのを怠っています。福ちゃんは自分からボールが離れた時、こういうフワっとしたマークミスをよく起こすので気をつけた方がいいと思います。

ここまでで8失点中、5失点の振り返り。

次に2つ目の問題点。相手をマークするのかスペースを埋めるのかの判断不足。残り3失点はこれが原因となっています。
ゴール前ではゾーンで守っていてもマンツーマンに切り替え、そしてペナルティエリアに進入されないように対応する必要があります。(詳しくはこちらhttp://s.ameblo.jp/kuro-9684/entry-11767392906.html

C大阪戦69分。サイドでパスを繋がれ少し組織がばらされたという面もあります。ただラストパスを出した選手には六平、シュートを打った選手にはジュンボンとマークする相手は明確です。特にジュンボンはボールがサイドにあって、相手選手もサイド寄り、中央には相手がいないにもかかわらず中央のスペースを埋めにわざわざポジションを取り直して相手を離しています。
 
讃岐戦61分。右サイドで繋がれ中に入られる。その時、犬飼がしっかり付いていたにもかかわらず何故か後ろのスペースを消すため下がり相手を離してフリーにします。完全な判断ミス。

京都戦2失点目。同じく右サイドからドリブルで進入される。犬飼が1対1の対応。ミスというより1対1の勝負に負けた形。組織としては1対1でカバーにもいけたので間違いの形ではないはずです。犬飼はシュートを打たせないよう距離を詰めるべきでした。

これでここまでの全ての失点を振り返りました。
わかったこと、まず1つ。縦パス、くさびなど中央からの攻撃では崩されてはいません。エスパルスの守備は相手のビルドアップに対してファーストディフェンスでまず中央を切ります。ここが十分機能している証拠です。
2つめ。サイドで寄せに行って奪えなかった時、中に入られ失点しやすいようです。ボランチがサイドに寄るのでどうしても中が薄くなりますが中央にもう1枚のボランチ、逆サイドのSHは絞る形は出来てるので相手がどフリーの場面はありません。組織としては整えられています。
3つ目。セットプレー、クロスなど長いボールで相手と直接競い合いになる時の対応ミスが多い。

ということでほぼ個人でのエラー絡みで失点しています。DFラインでは弦太以外はみんな失点に絡んでいます。こう見てくると弦太の重要性と鎌田の離脱の痛さが浮き上がります。鎌田がいれば1対1の守りはもちろん、サイドで囲んだ時に奪い切れていたので讃岐戦の2失点目や京都戦の2失点目のような形は少なかったはずです。もし失点を減らすだけなら左右のSBにヤコ、犬飼みたいな形を取れば失点は減るはずです。まあこれをやれば得点ももれなく減るのでオススメしませんが。冗談はさておきそういうことだと思います。ただ攻撃を考えれば川口の方が選択肢は多いのでやっぱりメリット、デメリットのバランスです。

守備戦術に大きな問題があるなら時間が経っても、個人がいくら頑張っても失点は減りません。個人の技術、体力の問題も中々伸ばすのは難しいでしょう。ただ判断やセオリー的なものなら練習で修正していけるのではないかと思います。ということで守備は近い内に改善してくるはずです。清水のチームのスタイルからすればまず組織を整えることで場を作り、セオリーを把握しているコーチ陣が才能ある選手を根気よく育ていく方法は正しい道だと思います。

京都戦、岐阜戦の後は少しチームの成長に不安を持ってしまいましたが、やっぱりちゃんと見ることで不安は減りますね。

それではこんなところで。また。