明治安田生命J2リーグ第26節 清水エスパルス vs 岐阜FC レビュー

清水エスパルス 2-0 岐阜FC
 
【得点者】
35分 鄭大世(清水)
72分 鄭大世(清水)

・前半
 
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岐阜は4-5-1あるいは4-1-4-1。清水はいつも通りの4-4-2の配置です。

岐阜はワントップのレオミネイロが清水の2CBを見る形。2枚を1人で見るのでCBは比較的楽にボールを持てていました。その代わり清水のストロングであるボランチ2人に対しては3枚で中を固めて自由にさせない守り。清水の左サイドには、白崎に右SBの野垣内が、松原には右SHの田中がはっきりとしたマンマーク。清水の右に対しては基本的には左SB岩瀬が枝村、左SHの鈴木がボムヨンを見ていましたがはっきりしたマンマークでなく受け渡しながら見ていました。岐阜としてはまず中盤中央を自由にさせないこと、左サイドを警戒することが守備の狙いだったのではないかと思われます。清水の右は左SHの鈴木を攻撃のためにあまり下げたくなかったか、中に絞る枝村へのコースを切って、連携が十分でないボムヨンはある程度浮かせても良いと思ってたのかも知れません。
 
ということで中央をパスを繋いでいく攻撃よりも、CBジュンボンからのフィード、またはボムヨンに回してクロスという攻撃が目立ちます。それに加え岐阜は両サイドともSBが清水のSHについていくのでCBとSBのギャップにFWのテセや石毛が流れる攻撃も見られました。ここ最近のように中盤を経由して中央を崩していく攻撃ではありませんでしたが、相手の守備の形を見れば理にかなった攻撃は出来ていたように感じます。
 
岐阜の攻撃は左SHの鈴木と中盤が1枚が前に上がりレオミネイロのサポートに。右の田中はワイドに張る形。

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CBが左右に広がるようにビルドアップをスタート。清水のファーストディフェンスを広げボランチを経由して縦、あるいはワイドへの狙いか。清水はボールを持つCBにFWが1枚、もう1枚は下がってボランチへのコースを消すようなポジションを取ります。空いているボランチにパスを出されたら河井か竹内が前に出てチェックに。ここ最近の清水は守備時にSHが高い位置にプレスに出た時、逆サイドのSHが攻撃を意識してか戻りが遅く、4-2-4のような守備になり中盤サイドを相手に使われていました。しかしこの試合ではSHがしっかり戻り4-4ブロックを形成。岐阜は中盤が3対2のためボランチの位置まではボールを運べていましたがその先は清水の守備を責めあぐねていました。前回の対戦で脅威だった田中もサイドで孤立気味です。
 
前半35分。竹内が相手ゴールエリア横でのイーブンなボールを奪い、えぐってからクロスを上げます。それをテセがヘッドで決めて先制。竹内が侵入する前はゴール前にはテセと石毛に対して35番、30番、2番の3枚。竹内が侵入することで2番の阿部がカバーに。1枚ずつDFが右にずれてゴール前の守備が薄くなりました。巧みなポジション取りでゴールしたテセのシュートも見事でしたが、竹内の判断とチャレンジも素晴らしいものでした。
 
安定した試合運びとここぞというタイミングでのチャレンジからの先制。圧倒していたとは言えませんが1点リードという結果含めて攻守とも悪くない前半だったと思います。
 
・後半
 
後半岐阜は鈴木ブルーノに代え鈴木潤、田中に代えて瀧谷を投入。システムを水野をトップ下に置く、3-4-1-2に変更します。サイドに振りながら高さのある前2枚に合わせる狙いのよう。しかし攻撃であまり大きな変化を見せられず、守備では逆に清水優勢の流れになります。2トップを清水のCBに合わせられるようにはなりましたが、SHがいなくなったことで中盤のサイドが空くようになります。岐阜は清水のDFラインが左右にパスを振ると横幅をカバーできなくなっていました。

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後半開始後に何度か竹内が中盤サイドの位置でフリーでボールを持ちCBとWBのギャップに白崎が阿部を引き連れながら流れる場面が見られます。そこから3バックの間を開かせてFWに。DFラインを崩して惜しいチャンスは作りましたが得点に結びつきません。69分に清水は石毛に代えて村田。枝村をトップに上げ、村田を右SHに。これで左右から崩しにかかります。サイドはWB1枚なので村田はドリブルを仕掛けますが決定的な場面までは至らず。

岐阜も最後の交代カード。レオミネイロに代えてレオナルドロシャ。この交代で試合の流れが変わりました。ここからの岐阜はまさに ”戦術レオナルドロシャ”。ロシャはトップから中盤低い位置まで自由に動きボールを引き出します。

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 岐阜はロシャの単独突破からのシュート、またはキープ力を生かし上の図のように前線に人を集め得点を狙います。岐阜はボールを保持できるようになったため、守備でもラインが上がりプレスがかかり始めます。岐阜は水野を中盤に入れた5-3-2の守備に変更。3センターで運動量を落とさず中盤のスペースを埋めます。

清水はここで北川を枝村との交代でピッチに送り出し、ラインの裏を突いての得点を狙います。追加点はその3分後の72分。最終ライン前でボールを奪った清水は村田がサイドを運んでテセに。テセが振り向き様のシュートを決め2点目を追加。この時、守備で村田を見るはずの鈴木は攻撃で中に入っており村田を見たのが左DFの岩瀬。前がかりになったところを村田、テセで決められた形でした。
この後、清水は交代で入った澤田の決定機などありましたがこのまま試合は終了。清水が勝利を収めます。

・雑感
一般的な評価は微妙なようですが、僕は結果、内容とも満足と言っていい出来だったと思います。攻撃では1点目は中から相手のDFをずらしての得点(その直前には点には直接繋がってないけど白崎がSBを動かしてDFラインにギャップを作っている)、2点目は中を固められたらサイドからの得点。相手からしたらどこを止めたらいいのだろうと悩む攻撃パターンだと思います。守備でも個で打開された場面はありましたが組織では大きな崩れはなく安定していました。華麗な攻撃があったわけはありませんし、相手を圧倒していたわけでもありません。でも地味でも確実に結果を出すのが本当に強いチーム。僕はこういう試合は嫌いじゃありません。
 
唯一気になったところ。ロシャのミドルがポストを叩いた場面。この時、組織としては特に問題が無かったように見えます。単にボランチがロシャにちぎられてシュートを食らいました。守備の網はちゃんと張られていたけど網の強度の弱いところを正面から破られたわけです。今のボランチコンビで行くなら今後もこういう場面は起こりうるでしょう。
しかし、今のリーグトップの得点力はこのコンビが攻撃の起点になってこそ。ようはメリットとデメリットの収支がプラスになればいいのです。そういう意味ではこの試合の2-0という結果はベストに近い結果だったのかなと感じます。ただ今後の試合、今のやり方だとウノゼロ狙いというのはきついかなというような気がします。やはり2点目が欲しいところ。この試合ではテセが2点取ってくれましたが、自動昇格に向けて、テセの相棒の石毛あるいは金子、両サイドハーフの得点力にも期待したいところです。