慎重に戦うとは~ジュビロ戦とベガルタ戦

ベガルタ仙台戦はなんとか勝点1をゲットということで、最低限の目標は達成しました。低い位置にブロックを構えて、攻撃では無理に繋がず2トップに早めに出すという非常に慎重な戦い方でしたが、リスクをかけて勝点3を狙うより確実に勝点1を奪わなければならない現状を考えれば評価してもいいでしょう。ツイッターなどネット上でも今はこれでいいという納得の声も多いような気がします。

一方、前節ジュビロ戦はこれとは違う戦い方をして3失点での敗戦。その時は、なぜリスクも考えずに勝ちにいったんだという声も聞こえました。確かにブロックの位置は低くなかったし、後ろから繋いで運んでいたため支配率も相手と五分五分でした。ではジュビロ戦は慎重さに欠いた戦い方だったのでしょうか。現状必要なことを理解せずに自分達のやり方を押し通して負けたのでしょうか。

僕は違うと思います。僕の目にはジュビロ戦もこの試合と同じように慎重に戦っていたように映りました。

僕は慎重な戦い方とはこうだ、と1つに決められるものではないと思っています。残り試合すべてベガルタ戦のようにやればいいというのも違うような気がします。どう戦えばリスクを抑えられるかというのは、相手チームと自チームのスタイルや力量の違いによって変わってくるからです。

例えばベガルタのように343の相手に対してボールを持った時、
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このようなかみ合わせになります。周りの味方にはマークがついているので、繋ごうとしてもすぐにプレスが掛かってしまいます。後ろでボールを奪われたらピンチなのでプレスを外す力がなければ前に蹴った方がリスクは低くなります。

では、ジュビロ戦の場合はどうでしょう。相手は541で構えるので前は川又1人。
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当然相手も矢印のように中盤から前に出てプレスに来ますが、元々噛み合っている時と比べるとボールを持つための時間もスペースも余裕があります。そして中盤が出てきたことで出来るスペースにボールを入れていけば無理なくボールを自陣から遠ざけることができます。プレッシャーがきつくなければ、パスをしてもリスクにはなりません。そしてボールを保持していれば攻められることはありません。

精度の高いキックとフィジカルのある前線。飛び道具が恐いジュビロに対して、決して競り合いが強いとは言えないエスパルスの守備。自陣に引いて後ろから直接ゴール前に入れられるのは、かなりリスクが高い状態と考えられないでしょうか。

いくらプレッシャーが弱くてもボールを繋げば奪われる危険性はあるだろ、だったら少しでも早く前につけた方がいいと思われるかもしれません。しかしそうすれば相手に回収されて攻め返されるというリスクが増します。
つまりどんな状態でもリスクというものは存在します。必ずしも引いて守るのが低リスクというわけではありません。相手と自分達を比べてどのメリットを取って、どのデメリットを受け入れれば、より安全かを選ぶことが必要なのだと思います。

ということで、ジュビロ戦とベガルタ戦はやり方が違いましたが、どちらも相手の特徴を見て慎重に戦っていたし、負けないという強い気持ちも僕には伝わってきました。

僕にはこう感じましたが、実際のところは監督や選手でなくてはわかりません。こういう見方もあるかもね、くらいに受け取ってください。