2018年W杯 日本代表 vs コロンビア代表 レビューを読み漁っての感想

ワールドカップ、何だかんだありましたが思いっきり楽しんでおります。代表の試合で有り難いのは、エスパルスの試合と違って詳しい人が何人も分析記事を書いてくれることでして。試合後も満喫しています。

日本対コロンビアの試合も幾つか解説されています。ほんとは自分で見直したいのですが結局よくわからん。なので、それらの分析を読んで最大公約数みたいのを拾ってまとめてみたいと思います。

開始早々にコロンビアの退場とPKによる日本の先制。結果に一番影響を与えたポイントがここというのはどのレビューでも同じ見解。ただ完全に偶然だったのかというとそうでもなさそう。試合の入りが緩かったコロンビアとしっかり集中して前への意識を持っていた日本。準備のしっかり出来ていた日本が「運」を引き寄せたというのが事実に近いような気がします。

1人少なくなったコロンビアはトップ下のキンテーロをボランチに下げてファルカオ1トップの4-4-1の守備陣形。そして守備力の一番低いクアドラードをはずしてボランチバリオスを投入。キンテーロをサイドに回します。クアドラードを残した方が良かったのではないかという論もありましたが、バリオスボランチに入れたのを評価したのは全員一致。ぺケルマンの頭の中を想像すれば、より守備を重視しながらワンチャンスを狙う采配。後は攻め返す時にどういう絵を描いているかで残す選手を決めたと。前半に関してはコロンビアの方が実際に上手く行っていたので、ぺケルマンの采配は成功だったと考えて良さそうです。

早々に1点リードした日本ですが、相手が1トップなのにも関わらず必要以上に後ろに人数をかけてボールを繋ぎ、そして相手ブロックの中に突っ込むように攻撃を仕掛けてしまいます。

コロンビアは待ち構えて、日本が突っ込んできたら奪ってカウンター。

日本側の状況としてはまずこちらが1点リードしている、そして相手は1人少なくなって、ブロックを固めて前に来なくなっています。。考えられる方法としては数的優位を生かしてゆっくり後ろで回して相手が前に出てきたら裏にボールを出しても良し、また相手の人数の足りないところにボールを動かしてじっくりボールを前進させても良し。どちらにしてもリスクをかけずにプレーしたいところでした。

1点リードした後のポイントとしては、日本が状況の変化に対応できず無駄にリスクをかけたプレーをしてしまったという点のようです。

ただ縦パスを奪われてカウンターを食らっても、相手の攻撃人数も足りないので日本はハードワークでなんとかピンチをしのぎます。

人数の多い日本がバタバタしながら前半は進んでいましたが、結局キンテーロにフリーキックを決められ同点でハーフタイムを向かえることになってしまいました。キンテーロを残したペケルマン采配が適中した形でした。

後半に入ると日本が修正を見せます。サイドバックの位置取りを上げて、香川をビルドアップに参加させずに相手ブロック内に留まらせます。これにより相手のブロックを押し下げて、柴崎、長谷部の両ボランチが高い位置で前向きにボールを持ちことが出来るようになりました。

特にブロック内で間受けのできる香川をバリオスが見るため日本のボランチがフリー状態。日本は優勢に試合を進められるようになります。

ここでこの試合もう1つの注目ポイント。ハメスロドリゲスの投入。その後にFWのバッカを投入していることからも、グループリーグの戦略として日本からは勝ち点3を取るというペケルマン監督の考えだったのでしょう。前半は守備を固めカウンターという狙いでしたが、後半守備の強度を下げても得点を狙って勝負にきました。その意図は理解できますが、結果としては守備力の低下というデメリットの方が大きかったようです。

日本は香川に代えて本田。ここで本田へは評価はわかれています。守備での貢献が低いこと、ボールを失う場面があったことなどがデメリット。相手を押し込んでいたのでミドルシュートやセットプレー、トランジションよりポゼッションで仕事が出来るというのがメリット。そしてハメスの守備が緩くコロンビアのブロック内にはスペースがあったので本田の特徴を生かすための条件は揃っていました。結果的に追加点に直接関わったことを考えれば彼を投入したメリットがデメリットを上回ったと言えます。またメリットはあるがデメリットも大きい選手を先発から外し、途中出場で仕事をさせた西野監督の采配は非常に理にかったものだったと言っていいでしょう。

で、やっと最後に感想です。

分析記事をいくつか読ませてもらいましたが、この試合に対しての評価は様々でした。しかしそれらの違いは書いている方のスタンスや注目点の違いであって試合で起こっている現象については概ね同じように理解がなされているような気がします。

開始早々に相手が退場したのは幸運でしたが、その他は内容に沿った結果が出ていたと言えそうです。

僕は日本代表を過小評価していて、戦術的にも個の能力(戦術理解、フィジカル含む)にしても世界との差は大きく、特にここ数年はどんどん世界は進み続けていると思っていました。

しかし、日本代表は思っていた以上にポテンシャルがありました。日本の選手は現時点でも状況さえ整えば世界の強豪チームとも技術的でもフィジカルでも、ちゃんと勝負ができていて、その差はわずかかほぼ無いとされ思えます。また戦術厨からは評価が低い西野監督も采配は的確だったと言えます。分析スタッフの力もあったかもしれませんがベンチは試合はちゃんと見えていました。

ただ前半を見るように、この力を発揮する条件が相手が状況を与えてくれた時、または偶発的に状況が出来た時に限られているのではないかという疑問も残ります。他の国の試合を見ているとまず自分達が狙った状況を作り出すという勝負をしているようです。例えばメキシコがドイツにマンマークをつけて使いたい場所にスペースを作ってカウンターを仕掛けたような。親善試合でもウクライナは日本の守備を見てビルドアップを変えていったし、ガーナも早々に日本の守備を見破ってきました。

実は日本と世界との距離自体はそれほど離れているわけではないのかも知れません。少しのずれを言うなら世界のサッカーが今どこで勝負しているか、そこに注目できるか。差はそこのなのではないでしょうか。

そう考えると、ボール周辺でどうプレーしようかという日本のサッカーと、勝負するための構図を作り出すことに強みがあるハリルのサッカー。今の日本のサッカーでは理解し合えなかったのかなという気もします。

まあ、あまり深くは考えていない直観的な感想ですが、果たしてどうなのかこの後の日本の姿を見ていきたいと思います。