マッチレポート【明治安田J1リーグ 第8節 清水エスパルスvsジェフ千葉】

はじめに 

 今節の対戦相手は昇格組のジェフ千葉。開幕5連敗と苦しんだものの、直近2試合は1勝1分とJ1の戦いにアジャストしつつあります。
 一方、前節5試合ぶりの勝利を挙げた清水エスパルス。連勝で上位に近づきたいのはもちろんですが、質で対抗できるチーム相手に対してどこまで主導権を握れるかも試される試合です。ここで確実に勝点3を奪えるか。ある意味、今シーズンの行方を占う一戦とも言えそうです。

両チームのメンバーと配置

 清水は嶋本選手(U-21代表選出)と小塚選手に代わり、松崎選手とウォン・ドゥジェ選手がスタメン入り。松崎選手が左インサイドハーフに入り、前節の途中出場で好プレーを見せたウォン・ドゥジェ選手がアンカーに起用されました。

 千葉はセンターバックの河野選手のみが前節からの変更点です。

前半の展開

清水の保持について

 清水はビルドアップ時に基本布陣の433から右SBの須貝選手を高い位置へ上げて後ろ3枚の並びにするいつもの形でスタート。

 左サイドは対面する相手との駆け引きから内と外の選択肢を作れるブルネッティ選手が起点となり、井上選手、松崎選手とのユニットで前進する形が機能していました。

 3分30秒には、さっそく左サイドから決定機を作ります。ブルネッティ選手と松崎選手のパス交換で相手を動かし、ライン間のオセフン選手へ縦パス。そこに動いた千葉CBダニエル・ホール選手の背後を松崎選手が突き、折り返しを弓場選手がシュート。相手を動かしスペースを突く完璧な崩しを見せました。 

 一方、右サイドは須貝選手とジャーメイン選手との縦の関係が中心。こちらは最終的にジャーメイン選手の個で打開するプレーが目立ちました。ジャーメイン選手が打開できればクロスまでもっていける場面もありましたが、全体としては左サイドから前進して、そこから右のスペースに持っていくパターンが多かったように思います。

 またオセフン選手へのロングボールや左右への展開など、パスの長短のバランスもだいぶ改善した印象です。アンカーに入ったウォンドゥジェ選手のスペースへのフィード力もこの展開に大きく寄与していたように思います。

千葉の保持について

 千葉保持時は、右サイドハーフの杉山選手がインサイドに入り、左サイドハーフ津久井選手が左ワイドに張る形。さらにフォワードの石川選手が左側のインサイドにずれるような立ち位置をとっていました。

 序盤は後方からの繋ぎを避け、前線中央の矢村選手や左SH津久井選手へのロングボールが中心でした。 

 清水のウイングが前寄りの立ち位置を取ることや、石川選手の立ち位置の影響で弓場選手がスライドしづらい状況が生まれ、千葉の左サイドでは津久井選手と須貝選手の1対1ができています。

 さらに津久井選手は須貝選手に対して高さで優位。ロングフィードから逆足ウイングの津久井選手にボールが入るとサイドで時間ができて、そこから左足でのインスイングのクロスや日高選手との連携など千葉のチャンスメイクの中心になっていました。

 序盤はロングボールが多い千葉でしたが、13分過ぎから徐々に清水のプレスを回避し始めます。ポイントになったのやはり清水のウイングの背後。千葉はボランチや右IH杉山選手が顔を出すことで清水のファーストプレスにずれを作ります。そこからパスの角度を変えたり、浮き球を使ったりしながら、ウイングの背後にいるサイドバックにボールを入れていきました。特に清水が右側を切る形でプレスすることが多かったため、左WG井上選手の背後を使っての前進が多かったと思います。

 こうして千葉はミドルサードへの進入回数を増やしていきましたが、その先のスペースメイクにやや物足なさが残りました。なのである程度はボールを持って前進できるものの清水の守備ブロックを崩し切るまでには至らなかった、というのが前半の千葉の保持だったと思います。

清水の守備の課題

 12分30秒過ぎのシーンに清水に守備の懸念点が表れていました。

 千葉GKスアレス選手が津久井選手に出したフィードを須貝選手が跳ね返しましたが、左サイドのスペースで千葉に回収され、逆サイドの杉山選手まで展開されます。これで清水はブロックを形成しますが、その時右WGジャーメイン選手のポジションが高く、弓場選手の右脇に大きなスペースができています。

 そこから再び左の津久井選手へ振られて、マイナスの折り返し。弓場選手が謎に最終ラインのギャップのカバーに動いたこともあり、バイタルのスペースを誰もカバーできずマテウス・インディオ選手にフリーでシュートを撃たれます。

 シュートは梅田選手がキャッチしましたが、決定機にも繋がってもおかしくない形です。ここの試合に限らず、清水はウイング(非保持時はサイドハーフ)の守備設定があいまいに見える場面が多々あります。

 またこの場面の弓場選手のように危険なスペースを空けて最終ラインのカバーに動いてしまうのも気になるところです。ここはたびたびピンチに直結しているのでチームとして早めに整理しておくべきポイントだと思います。

千葉の守備課題

 一方、千葉の守備で気になったのは左SH津久井の非保持時の振る舞いです。

 例えば先ほどの3分30秒の清水の決定機。津久井選手が中盤のラインまで帰陣していればシュートを打った弓場選手に対応できたはずです。
 さらに18分50秒に松崎選手が決定的なミドルシュートを撃った場面。津久井選手のポジションが高くボランチ小林選手の左脇にスペースが発生していました。小林選手がそのスペースにいる弓場選手に影響された結果、松崎選手へのプレッシャーがほとんどない状態になっています。

 千葉の非保持局面では左SH津久井選手が中盤のラインから浮いている場面がありボランチの脇にスペースができがちでした。清水の決定機なシュートが中央から右寄りで生まれていたのは、決して偶然ではなかったように思います。

 またプレス傾向が高いわりに、ボランチはスペースを埋める意識が強く前線と中盤のライン間が空きがちなのも気になりました。井上選手がサイドから千葉の2列目ラインの手前を横断するようなカットインを前半に何回か見せています。

千葉のゴールと前半終了まで

 試合が動いたのは飲水タイム明けのコーナーキックでした。千葉がスクリーンを使いファーサイドを空けて河野選手がシュート。梅田選手が弾きましたが、そのボールをマテウス・インディオ選手が押し込み千葉が先制します。
 清水としては主導権争いで五分以上に渡り合い、決定機も作れていただけに悔やまれる失点でした。

 前半はそのまま千葉1点リードで終了。互いに攻撃の狙いを見せつつも、守備面ではサイドハーフの対応に課題を残した前半でした。1点のビハインドを背負った清水ですが、前進と崩しの形は見せているだけに、焦らず同点を目指せるかが後半の鍵となりそうです。

後半の展開

同点弾とオープンな展開への流れ

 後半開始直後の46分、清水が同点に追いつきます。まずGK梅田選手が右サイドに蹴り出したボールを須貝選手がヘディングで落とし弓場選手が拾います。弓場選手がドゥジェ選手へ繋ぎ、そこからライン間の松崎選手へ縦パス。松崎選手がそのままゴールエリア手前までドリブルで運び右足で放ったシュートがゴールに突き刺さりました。

  松崎選手の個の力も光りましたが、この時に千葉の守備組織が縦横に間延びしていた点は気になるところ。競り合った須貝選手、パスを出したドゥジェ選手、そしてライン間で受けた松崎選手に対してのプレッシャーがかなり緩くなっています。

 後半の千葉は前への意識を強めたように見えるものの、前線のプレスに連動したラインの押し上げが足りず、中盤に広大なスペースを与える場面が散見されました。前半で述べたボランチがプレスよりもスペースを抑える傾向も間延びに影響を与えていたように思います。

 50分辺りには清水が千葉のプレスを交わしてダイレクトパスを繋いでいきますが、千葉の守備組織がかなりオープンだったため、清水がアバウトなパスでもマイボールにできていた部分はあったと思います。

  千葉のプレスの意識が高まったことに加え、清水がオセフン選手へのロングボールなどダイレクトな攻撃を増やしたことも、千葉の最終ラインを押し下げる要因となったのかもしれません。

  一方で清水も、非保持時のプレス意識の高さからウイングの背後が空いてライン間へのパスを許す場面がありました。こうした両チームの前への意識が重なった結果、試合は前方のスペースを素早く突き合うオープンな展開へとなっていました。そしてオープンな展開では前線の打開力が試合を左右します。

交代策と逆転ゴール

 63分、清水は井上選手とジャーメイン選手に代えて藤井選手と北川選手を投入。両ウイングをフレッシュな選手に入れ替えました。対する千葉も杉山選手に代えて、ドリブルと得点力のある姫野選手を右サイドハーフに送り出しました。

  そして清水の逆転弾は70分。千葉の424プレスをひっくり返すように梅田選手が右サイドにボールを送ります。この時、またもや千葉の中盤はボランチ2枚のみ。そのためオセフン選手への対応が遅れ、余裕を持って弓場選手はボールを拾います。そこから弓場選手が中盤フリースペースを横断したところまでは1点目と起こる事象の原因としては同じ。

 1点目はライン間でしたが、今回はサイドが空いたので左でフリーのブルネッティ選手に展開。ブルネッティ選手から藤井選手にボールが渡ると藤井選手は縦への突破からクロス。最後はオセフン選手がヘディングで合わせ、清水が逆転に成功します。

 相手に正対してから右足で持ち出す藤井選手の突破は、井上選手とは異なる持ち味です。前節に引き続き清水の交代策が実った形でした。

試合終了までの流れ

  76分、清水は松崎選手とドゥジェ選手を下げて平戸選手とディエギーニョ選手を投入。千葉も小林選手、津久井選手、矢村選手に代えて田口選手、イサカゼイン選手、呉屋選手の3枚替え。

 ここから先も基本的な構図は変わらずです。千葉がゴールを目指して前に仕掛けてくるのでよりガチャついた展開にはなりましたが、清水も交代で入ったディエギーニョ選手の鋭い出足のプレスで決定的な場面は与えません。

 アディショナルタイムに入ると清水は無理をせずにボールを動かして、千葉がプレスにくればオセフン選手に当てて時間を進めるなど、落ち着いた試合運び。締めの木下選手の投入、平戸選手のフリーキックでの見せ場も作り、最後は清水が試合をコントロールしたままタイムアップ。清水は逆転勝利で2連勝です。

最後に

 まずここで確実に勝点3を取れたのはかなり大きな意味があったと思います。そして新戦力や負傷から復帰した選手を起用できたことも今後に向けての好材料でしょう。

 さらに出場機会を与えただけでなく、新戦力がそれぞれ持ち味を出しながらチームにフィットしていることも印象に残りました。このように獲得した選手がことごとくフィットするのは近年のエスパルスではなかった傾向です。

 もちろんこれだけですべてを評価するのは時期尚早ですが、少なからず現場で求められるものと強化方針が噛み合っているのは感じます。

 目先の勝敗ももちろん大切ですが、現在地と積み上げるべきものが見えてきていることもこのクラブにとって非常に大切なことだと思います。徐々にピースがはまってきた感のあるチームが、この先の上位チームとの対戦でどのくらい戦えるのか。勝利を願いつつ、常に自分達を確認できるシーズンになりそうだと期待しています。

 

 

マッチレポート【明治安田J1リーグ 第7節 清水エスパルスvsアビスパ福岡】

はじめに

 試合前時点の戦績は両チームとも1勝3敗1分で勝点4。順位は得失点差でアビスパ福岡が16位、清水エスパルスが17位です。

 清水エスパルスは開幕戦の勝利以降、ここまで勝ち星がなし。サポーターの不安の声も広がり始めた中で、ホームアイスタでの開催、セフン選手のスタメン復帰という好材料もあり結果と内容の両面で答えを示したい、いわゆる6ポイントマッチとなりました。

 過去を振り返れば、ここ一番で結果を出せないとろも愛おしい我らがエスパルスですがそろそろそのイメージも払拭しなければなりません。近い将来のタイトル獲得を目指す上で、まさに真価が問われる一戦でした。

両チームのメンバーと配置

 清水のシステムは、継続して4-3-3を採用。スタメンは井上選手、小塚選手、本多選手、ブルネッティ選手、オセフン選手の5名を前節から入れ替えました。またジャーメイン選手が右ウイング、嶋本選手が左インサイドハーフと、これまでと異なるポジションで起用された点も注目です。
 一方のアビスパ福岡は3-4-2-1の布陣。こちらはGKを含めて前節から4名のメンバーを入れ替えて臨みました

前半の展開

福岡のアクシデントと構図に与える影響

 試合開始早々、福岡のウェリック・ポポ選手が負傷によりプレー続行不能となるアクシデントが発生。これにより福岡は、右シャドーの師岡選手をトップへ上げ、交代で入った名古選手を左シャドーへ配置する形での仕切り直しを余儀なくされます。
 強靭なフィジカルで前線の起点となれるポポ選手の離脱は、福岡のゲームプランに大きな影響を与えたはず。

 以降の展開は清水がボールを保持し、福岡がミドルブロックを形成して構える構図が鮮明となりました。ここ数試合の課題解消に向けてポゼッションを意識する清水と、慎重に試合を進めたい福岡。両者の思惑もこの構図に影響を与えたのかもしれません。

清水の前進vs福岡の守備ブロック

 福岡の非保持は523のミドルブロック。ワントップの師岡選手は清水のアンカー弓場選手をケアする位置から守備を開始しています。
 福岡のプレス開始位置が低いため、清水のセンターバック2枚(高橋選手、本多選手)は比較的フリーでボールを持てました。ここでシステムの噛み合わせ上、センターバックが福岡のシャドーの脇を通すと清水の選手が福岡のボランチ脇でフリーになれる状態です。
 清水は右CB高橋選手による名古選手への駆け引きや、左CB本多選手からパスを受けるブルネッティ選手の高い保持能力を活かしてミドルゾーンまでは容易に進入できています。

 福岡はサイドへ進入されると、ウイングバックが縦にスライドして対応します。ウイングバックが釣り出された背後のスペースを清水のウイングが狙いますが、そこには福岡の左右のセンターバックがスライドし中央は強固な3枚が揃っています。

 そのため清水は敵陣までボールを運べるものの、ゴール前を攻略しきるまでには至りません。

 福岡は清水のボールを奪うとシンプルに師岡選手へ預けてカウンターを狙っていきます。福岡の非保持組織は523でネガトラ発生時には前に3人。清水の前進は中盤2枚も前に出すので、ボールを失うと師岡選手が直接センターバックと対峙する形になってファールからゴールを狙える位置でのフリーキックにも繋げられていました。

少しだけ福岡の保持について

 ここで少し福岡の保持にも目を向けます。前半、福岡が後ろで保持する機会は限られていました(19分、24分、36分と前半アディショナルタイム中の1回くらい)。福岡の3バックは比較的素直にボールを動かすので、清水が3トップをそのまま当てると前に蹴りだすか、パスがずれてロストすることがほとんどでした。

 清水としてはマッチアップの通りにプレスをかければよいため、424でプレスする清水の弱点であるウイング裏のスペースにもSBの縦スライドで対応できます。

 福岡のセンターバックに清水のプレスを剥がしたり、プレスの矢印を折るような動きがなかったこともあり、福岡の攻撃は先ほど述べたように清水の前進を阻んでからのカウンターが中心になっていました。

 このように、前半は福岡の保持機会が少なかったため相対的に清水の保持機会が増えたとも言えます。

 前半は以上の流れでスコアは動かず終了します。勝負の行方は後半へと委ねられました。

 なお福岡は26分、清水のフリーキックからの攻防の際に右CB深澤選手が負傷し上島選手と交代。福岡は前半で交代枠を2つ使う苦しい状況となりました。おそらく前半は慎重に試合を進めて乗り切り、ハーフタイムに入るのを待つ状態だったと思われます。

後半の展開

両チームの修正と変化

 清水は後半に入ると、前半同様に後方で繋ぎつつも逆サイドへの対角のフィードやオセフン選手へのロングボールなど、大きな揺さぶりを交えるようになっています。

 これにより同サイドへのスライドだけでは対応しづらい場所が出てきて、逆サイドの大外や、オセフン選手に当てた周辺などを使って清水がゴール前までボールを運ぶ回数を増やしています。
 前半はボールを握ってもチャンスは限られていましたが、後半は例えば47分、62分に左大外で持ったブルネッティ選手からの鋭いクロスを上げ、逆サイドから絞ったジャーメイン選手と嶋本選手が絡んでシュートを放つなどあわやのシーンも作っています。

 一方の福岡は、前半よりも保持の意思を強めたようでした。足下のあるGK小畑選手がCB間に入ったり、見木選手や名古選手が低い位置まで降りてビルドアップをサポート。
 左CB宮選手をフリーにして左足でのフィードを活かしたり、中央での見木選手と名古選手の連携による崩しなど前半にはなかった形を作り出します。64分にはCB間のパスで清水の424プレスを誘い出し、宮選手からボランチ脇への対角フィードを供給。そこから見木選手、名古選手と繋いで左サイドの前嶋選手へスルーパスを通すなど、この試合初めて後方保持からゴールに迫る場面を創出しました。

 守備面でも65分辺りに名古選手が高橋選手へ、さらにそのままGK梅田選手までジャンプしてプレスをかける動きが見られました。その少し前にも重見選手が梅田選手まで出ていったように状況に応じて積極的なプレスが見られるようになっています。

清水の交代策と先制の場面について

 清水は67分、小塚選手と井上選手に代えてウォン・ドゥジェ選手と藤井選手を投入。ドゥジェ選手をアンカーに置き、弓場選手を右のインサイドハーフに。そして藤井選手を井上選手がいた左ウイングに配置します。

 試合が動いたのはそのすぐ後の70分。右サイドの繋ぎからジャーメイン選手が仕掛けて一度はカットされますが、右インサイドハーフの弓場選手が即座にプレスをかけてボールを回収。再びボールを得たジャーメイン選手が中央へ持ち込み、ワンツーから粘ってラストパスを送ると、最後は嶋本選手がシュートを決めて清水が先制に成功します。
 得点の起点となった弓場選手のプレスは、スペースへの推進力と守備強度の高さを持つ彼ならではのプレーでした。選手の個性が異なるため小塚選手との単純な比較はできませんが、結果としてこの交代策が試合を決める決定打となりました。

 試合終了までの流れ

 追いつきたい福岡は77分、重見、椎橋、橋本選手に代えてサニブラウン、秋野、山脇選手を投入し前線の出力を高めます。しかし交代選手がそこまでボールに絡めていない印象でした。
 一方リードした清水はアンカーのドゥジェが中央で落ち着いてボールを捌けるのと、左WGの藤井も縦へ仕掛けながらも中をのぞいて時間を作れるので落ち着いて攻撃を仕掛けられていたと思います。

 清水が安定した状態で攻撃を仕掛けたので、福岡が攻撃に転じる機会を中々作れなかったというのが実情かもしれません。

 福岡は83分に、宮選手のフィードから左の山脇選手へ展開してコーナーキックを獲得。おそらくこのような攻撃が福岡の狙いだったと思われますが、回数は限られていました。

 そして清水は89分にブルネッティ選手を下げてパク・スンウク選手を投入。山脇選手のサイドをケアする守備固めだろうと思われます。

 アディショナルタイムに入ると福岡は田代選手を最前線に上げるパワープレーに出ますが、清水は高さ対策はパク・ウンスク選手を配置済み。最後はオセフン選手に代えて木下選手を投入し、前線の運動量を確保して逃げ切りを図ります。そしてそのまま盤石の試合運びを見せた清水が1-0での勝利。清水は開幕戦以来の長いトンネルを抜ける5試合ぶりの勝利でした。

まとめ

 福岡にとってはまず前半2人の負傷交代の影響は大きかった思います。試合のプラン変更に加え、その後の交代カードの切り方も難しくなり非常に悔やまれる展開だったでしょう。もしポポ選手が健在であれば、ロングボールの活用やカウンターの局面でより優位性を築けていたかもしれません。

 清水としては逆にそれで勝利がマストの状況となりました。それでも相手がかなり慎重にゲームを進める中で勝利するのは難しいタスクだったと思います。その中でしっかりと勝利という結果を出したことは 高く評価すべきだと思います。

 また負傷で欠場していた選手も徐々に復帰し、ゲームプランの選択肢が増えたのは今後の試合に向けての好材料です。

 今回の勝利で全ての課題が解決したわけではありませんが一つの形は示せました。もちろん今後まだ難しい試合は訪れるだろうと思います。しかしそこに対してチームがどのような解決策を見出していくのか、期待が持てる試合だったと思います。

 

 

マッチレポート【明治安田J1リーグ 第2節 清水エスパルスvs横浜Fマリノス】

 前節、退場者を出しながらも粘り強い戦いで勝利を飾った清水エスパルス。百年構想リーグで一度も勝てなかった名古屋にリベンジした勢いを持ってホーム開幕戦を迎えました。
 アイスタに迎える対戦相手は、横浜Fマリノス。こちらも百年構想リーグのプレーオフでは1分1敗で勝利は無し。特にホームでは主力を欠いた影響もあり完敗といっていい内容でした。
 今シーズンのマリノスは、新たにコリカ監督を招聘。開幕戦の鹿島アントラーズ戦を観る限り、攻守ともに整理された好チームという印象を受けました。このマリノスに対してエスパルスはどのような戦いを見せるのか。ホーム開幕戦の勝利への期待はもちろん、その内容も強く注目される一戦となりました。

スタメンと配置

スタメンと配置は上の図の通り。

清水の4-2-4プレスとマリノスの後方保持

 試合開始直後は両チームともにダイレクトに裏を狙い様子をうかがうような立ち上がり。しかし前半5分を過ぎたあたりから「マリノスの保持vs清水のプレス」という試合の構図が見え始めます。
 マリノスのビルドアップは、GKを含めた後ろ3枚に、アンカーの位置に松村選手、そしてもう一枚のボランチ知念選手は右のインサイドにずれる位置取りからスタートします。

 清水のプレスは、2トップでアンカーを受け渡しながら片方が前に出て、相手を左サイド(マリノスの右サイド)へ誘導するいつもの形。右ウイングの北川選手は高めの位置を取って(マリノスの)左サイドへのパスコースを消す。左ウイングの藤井選手は相手の右SB井上選手を牽制しつつ、右CBキニョーネス選手がフリーになれば前にプレスに出ていきます。この時、右のインサイドにずれる知念選手にはボランチのディエギーニョ選手がスライドして対応していました。
 前半5分の場面では、このプレスでキニョーネス選手のパスコースを塞ぎロングボールを蹴らせて清水が回収に成功。開幕戦と比較してもより高い位置からのプレスが意識されているようで、序盤はマリノスのビルドアップに対応することができていたと思います。
 しかし、この試合でも清水の424気味のプレスの泣き所、1列目のプレスを突破された際の中盤の「2」の脇のスペースを使われる場面が散見しました。
 序盤では前半7分過ぎ。左WGの藤井選手がキニョーネス選手へプレスをかけますが、パスコースを切りきれず右SBの井上選手へパスを通されてしまいます。
 これで清水は1列目をはがされ、逆サイドの中盤の脇にスペースが発生。井上選手から嶋本選手の右脇の天野選手、さらに左SB角田選手へとボールが渡ると角田選手は左サイドで前向きフリー。最終的に右SB須貝選手が対応して難は逃れましたが、ファーストプレスのズレから中盤のスペースを使われるこれまで何度も見られた形でした。
 このようにマリノスが清水のファーストプレスを交わせれば424の中盤「2」の周辺スペースを使って前進。清水が左サイドを塞げればマリノスがサイドの奥に向かって蹴るボールを回収し清水のターン。
 前半の「清水非保持vsマリノスの保持」は、まずそんな構図になっていたように思います。

清水の保持とオセフン選手不在の影響

 一方、清水の保持局面では従来通り後方からのロングフィードを主体とした攻撃から入ります。しかし、この日のワントップは空中戦に絶対的な強さを持つセフン選手ではなく木下選手。木下選手も高さと強さはありますが、オセフン選手ほどアバウトなボールでも収めて時間を作れるわけではありません。
 またマリノスは木下選手に対し、センターバックではなくボランチの知念選手をマークに当てていました。知念選手が木下選手のマーカーになるとマリノスのディフェンス陣は持ち場を大きく離れる必要がなくなり、ディフェンスラインにギャップが生まれません。

 清水はオセフン選手がいないためか、ターゲットを北川選手やジャーメイン選手にも分散させるようなボールを出していましたが、ジャーメイン選手にはキニョーネス選手が、北川選手にはセンターバックでもプレー可能な角田選手が厳しく対応。清水は最前線で優位性をなかなか作り出せず、ロングボールを起点とした攻撃からのチャンスは限定的となっていました。
 単純なロングボール作戦が機能しない中で、清水が作るチャンスは中盤でのトランジションやセカンドボールを拾ってからの速い攻撃により生まれていました。
 この試合の嶋本選手はボランチの脇を使われるリスクを抱えつつも、中央を抑えるようなポジションを取り。さらにジャーメイン選手の献身的なプレスバックもあり、中盤の脇からサイドにスペースがあっても中央の決定的なスペースは与えていません。
 そのためマリノスがボールを運んでも最終的には危ない場面を防ぐことができており、そこからボールを奪って攻撃の機会を作り出すこともできていました。
 清水はセフン選手不在による最前線での収まりの悪さを補うように、サイドを使ったりジャーメイン選手が中盤の中継点になったりと現有戦力を生かす工夫も見られました。
 前半最大の決定機は19分50秒。ジャーメイン選手のプレスバックで知念選手のパスミスを誘い、こぼれ球を嶋本選手がカット。そこから424プレスで前残りしていた北川選手へ繋ぐと、藤井選手がマリノスの右SB井上選手が戻りきれていないギャップに走り込りこむ。そしてそこへ北川選手から決定的なパスが通ります。藤井選手のシュートはキニョーネス選手のブロックに阻まれましたが、清水が「らしい」形で前半最大の決定機を作り出しました。
 非常に良い攻撃でしたが、ここに清水の攻撃のちょっとした課題も感じます。この試合に限らず清水の攻撃はダイレクトな前進を意識するあまり、全てのプレーが速くなりがちです。上記の場面でも、北川選手があと一歩だけ内側へ運べばキニョーネス選手は北川選手に引き付けられ、藤井選手に対応できなかったはず。
 チーム全体として常に前にフルスロットルで攻めてしまうと、相手とヨーイドンのスピード勝負やパワー勝負になってしまいます。そうなると組織で崩せる場面でも個の能力で解決しなければならなくなってしまう。そうした傾向はこのチームになってからずっと気になっているところです。

飲水タイム後のマリノスの変化

 前半20分あたりまでは一進一退の攻防。しかしそこを過ぎたあたりから、マリノスが清水のプレスを回避する回数が明らかに増え始めました。
 清水のプレスがはまるかはまらないかのポイントは、藤井選手とディエギーニョ選手のスライドです。
 ここで清水の左サイドの噛み合わせを切り抜くと、藤井選手とディエギーニョ選手の2枚に対して、マリノスはキニョーネス選手と井上選手と知念選手の3枚。マリノスが3対2で数的優位です。

 マリノスは藤井選手やディエギーニョ選手を動かしてフリーな選手を作る、また天野選手が降りて背後でプラス1になるなど、清水の左のスライドのずれを作り出し前進する場面を作っていきます。
 21分40秒には、この形から左サイドを崩されてクリーンに前進されます。そこからスローインを経てファーへのクロスを谷村選手のヘディングシュート。ここは高さのない須貝選手のところで合わせられるかなり危ない場面だったと思います。
 また23分には左CB諏訪間選手の縦パスから、29分過ぎには再び左のプレスを剥がされるなど中盤のスペースでフリーでボールを持たれる場面が頻発します。
 飲水タイム以降は、さらにマリノスがボールを持つ傾向が強まります。清水はプレスがかからないため、否が応でもブロック守備へと移行させられます。これでマリノスは後方でボールを容易に握れるようになり、清水が押し込まれる時間が続きます。
 一方、清水が押し込まれたことでマリノスの背後にスペースが発生。これで清水の3トップのスピードが生かしやすい状況にはなっています。そのため主導権はマリノスだったと思いますが、清水もボールを奪うと前への素早い展開からファールを誘発。そこからセットプレーでゴールを狙う機会を作っていました。
 そして前半はそのまま終了。お互いスコアレスのまま後半を向かえることになりました。

後半の入りの展開

 後半立ち上がりは清水がペースを握ります。清水は後半開始後すぐにセカンドボールの奪取から左のワイドに展開して藤井選手のクロスの形を2回作り出します。この右から逆サイドの藤井選手に展開するプレーは試合を通して意識されていたようでした。
 一方マリノスも49分、右サイドから清水のプレスを剥がしてファーに流れた谷村選手のヘディングシュートで決定機。

 しかしこのプレー以降しばらく、前半見られたマリノスの後方保持からの前進が鳴りを潜めるようになっていきます。
 清水は前半に比べて、後ろからのロングボールが減り、左右に振りながら地上戦からサイドを起点にボールを運ぶプレーを見せていました。
 そこから左サイドは藤井選手のインスイングのクロス、右は須貝選手のオーバーラップからチャンスを演出していきます。
 清水がロングボール以外の選択を持ったことで、マリノスも前に出て制限せざるを得ません。そうしてマリノスの守備ブロックを広げてからロングボールを入れれば、知念選手が木下選手についているので中盤では清水が数的優位。


 後半はロングボールのセカンドをディエギーニョ選手が回収して、そこから再びサイドを起点に攻め込む好循環に持ち込むことができていました。
 対するマリノスは清水の勢いに押されたのか、保持の時間が減少。清水のダイレクトな攻撃に合わせて少し行ったり来たりするような時間帯が続きました。

飲水タイム後の交代策と流れの変化

 飲水タイム後、清水は木下選手と藤井選手に代えて小泉選手とカピシャーバ選手の選手交代。
 セカンドボールを回収して左サイドから仕掛ける形を作れていたので、ボール奪取力と左の打開力を上げる意図の明確な交代でした。


 一方のマリノスは、飲水タイムが明けると再び後ろからボール保持して前進するようになっていました。
 そして78分、マリノスは中盤でのパス回しから清水のブロックを中央に絞らせると、右サイドでフリーになった角田選手へ展開。角田選手のファーへのクロスは一度流れますが、逆サイドの近藤選手が回収してマイナスへの折り返し。これをその内側ポジションを取っていた井上選手がシュート。これが決まってマリノスが先制に成功しました。

 得点後の82分、マリノスは3枚替え(松村、近藤、谷村選手→喜田、宮市、二田選手)を行い、逃げ切り体制に入ります。失点した清水は、引き続き単純なロングボールをあまり使わずサイドを中心に同点を狙います。そこにマリノスは交代選手の運動量とスピードを活かした激しいプレスで応戦。そして清水はつなぎを安定させるために小塚選手をアンカーへ投入するという流れだったと思います。

 その後、清水は87分に千葉選手と松崎選手を投入。マリノスはアディショナルタイムに知念選手から山根選手へボランチを交代します。最後まで清水が相手陣内へ攻め入る場面を作りましたが、試合はそのままマリノスが1点を守り切り終了しました

最後に

 まずマリノスは事前の印象通りで保持も裏を狙う判断も的確で、非保持の組織もコンパクトな非常に整理されたチームでした。個人的にこのスタイルは好みです。

 敗れたエスパルスですがプレーオフ時のような完敗ではなく、チームの狙いも出せていましたし、自分たちの時間も作れていました。失点場面についてはシュート自体がゴラッソでしたし、競り合いでブルネッティ選手の体勢が崩れた不運もありました。あれだけクリーンに逆サイドへ振られると、スライド対応が後手に回るのは仕方ない面もあるでしょう。

 しかし、それだけにその前段階で制限をかけたかったところです。左サイドでフリーを作られやすい点は試合を通して見られましたし、ブロック守備での制限の緩さは以前から感じていた課題です。

 依然として課題は残るものの、オセフン選手の不在など状況に応じた新たなトライが見て取れたのは収穫です。今後、修正されていく点とおそらく変わらないだろう点。その両面を含めて今後も試合を見守っていきたいなと思います。敗戦ではありましたが、決してマイナスな印象ばかりではない一戦というのが総評です。

マッチレポート【明治安田J1リーグ 第1節 名古屋グランパスvs清水エスパルス】

 シーズンカレンダーが変更され初の8月開幕(秋春制)となる2026-2027シーズン。その記念すべきシーズンの開幕試合は名古屋グランパスとの対戦となりました。

 清水エスパルスは開幕前に各ポジションに大型補強を断行。先だって行われた百年構想リーグで見えた課題解消に向けての強い意気込みを感じます。

 名古屋グランパスとは百年構想リーグで同じWESTリーグに組み分けされ2戦とも敗戦。一度も勝てなかった難敵ですが、現在のチームの成長度合いを測るには絶好の相手と言えるでしょう。

 結果が全てではありませんが、過程の正しさを確認するためには結果も必要です。長く続くリーグ戦の第一歩として自信を深めるための勝利を掴み取れるか。期待のなかキックオフを迎えました。

スタメンと配置

 両チームとも予想通りのフォーメーション。清水は4-3-3、名古屋は3-4-2-1です。

 清水はジャーメイン選手、藤井選手、ディエギーニョ選手、須貝選手と4人の新戦力を起用。これで各ポジションに吉田監督のサッカーを実現するために適正な特徴を持つ選手が揃った感があります。

 名古屋は対照的にメンバーに新戦力はなし。百年構想リーグでは負傷のためメンバー外だったマテウス・カストロ選手が右のウイングバックで起用されているのが大きく注目されるところでしょうか。

序盤は名古屋が優勢の流れ

 お互いの志向としては「ボールを保持したい名古屋」と「保持にこだわらない清水」。自然な流れとして、ボールを持つ名古屋に清水がどう制限をかけていくかの構図になっていきました。

 名古屋の保持局面は基本システム3-4-2-1から、保持時4-1-5の配置に可変するいわゆるミシャ式。

 ボランチの高嶺選手が左のセンターバックの位置に降り、左右のセンターバックがサイドバックの位置に広がります。さらにアンカーポジションに稲垣選手、両ウイングバックはワイドの高い位置。これで清水の4バックに対して前線5枚で数的優位を作り出します。

 清水の守備は左IH(インサイドハーフ)のジャーメイン選手を前に出すと共にウイングも前がかりな4-2-4のような並び。

 2トップはアンカーの稲垣選手を受け渡しながら左側に誘導するようにセンターバックへプレス。名古屋がGKピサロ選手を含めたビルドアップでどちらかのセンターバックをフリーにすれば、ウイングの選手(藤井、北川選手)が外側のパスコースを切りながらセンターバックまで出てきます。

 しかしここで前に出るウイングの背後のスペースを使われやすいのは百年構想リーグで見られた課題と同じ。序盤の名古屋は清水のWG藤井智也選手や北川選手を前に引き付けてその裏のサイドバックへパスを通したり、右CB藤井選手や右SB原選手から逆サイドの嶋本選手の脇へ対角のフィードを送り清水のウイングの背後を使っていきます。

 本来ならボールと逆サイドのウイングは前に出ずに絞るのが基本ですが、清水は常に前にウイングを置きたいためか4-2-4の守備組織を維持したままです。

 その場合、ウイングの背後のスペースはサイドバックの縦スライド、もしくはボランチの横スライドで対応することになりますが、清水の守備は主に後者。特に右サイドでその傾向が強く、そのため百年構想リーグでは右のインサイドハーフ(守備時には右ボランチ)に広い守備範囲と球際の強度を持ち宇野選手が主に起用されていました。

 しかし今節右インサイドハーフに起用された嶋本選手は守備よりボールを持った時に強みを発揮するタイプ。嶋本選手はサイドの野上選手に出ていけば内側でシャドーの木村選手がフリーになり、内側を締めればサイドのスペースを使われたりと自分の脇の広大なスペースの埋め合わせに苦慮していました。

 名古屋は相手陣内に攻め入ればウイングバックのワイドの仕掛けで清水の4バックを広げてギャップを作ったり、1トップ2シャドーのフリックを交えたコンビネーションを使ったりと得意の攻撃を繰り出します。

 試合序盤は名古屋が前に出てくる清水のウイングの背後を起点にボール前進させペースを握る。そんな展開になっていたように見えました。

左ウイングの守備で修正を図る清水

 前半20分前あたりから清水の守備がやや修正されたように見えました。左のWG藤井選手が無理に前に出ず名古屋のセンターバックとサイドバックを中間ポジションでぼかしながら見る形になっています。

 これによりハイプレスは抑えられたものの、藤井選手の背後のスペースが消えて名古屋の右サイドからの前進を抑えられるようになりました。右サイドを塞げるとそこからのサイドチェンジも減るので嶋本選手の脇も使われづらくなります。

 名古屋はサイドバックからの前進が難しくなったことで、高い位置のウイングバックへ直接ロングフィードを送ることが多くなっていきます。そこからチャンスを作ることもありましたが、単独の仕掛けになるので清水のサイドバックもある程度は対応できます。特に左SBブルネッティ選手は名古屋の右WBカストロ選手をほぼ1対1で抑えることに成功していました。

 またウイングの背後のスペースが消えたことでボランチの守備負担が軽減。時折、後ろから間を割られるようなパスは通されていましたが、それでもボランチが何とか対応できる状態を作れていたと思います。

 守備が安定したことで名古屋の前進が制限され清水もボール持てるようになっていきます。特にポジティブトランジション(守備からの攻撃への切り替え)時は、中盤の底が稲垣選手1枚になる名古屋の保持のシステム上、清水の方が有利。稲垣選手の周辺のスペースを利用して相手陣内まで運びやすい状況が生まれます。

 特にここで機能したのが嶋本選手。ターンやファーストコントロールで対面の相手のプレスを外し中盤からゴール前までを接続するタスクを見事に果たしています。

 清水がファーストディフェンスを修正することで試合の主導権は五分五分に。さらに前半の給水タイム以降はややペースは清水寄りに傾いてきたようにも感じました。

清水の保持について

 清水の保持局面にも触れておきましょう。

 清水の保持はこれまで通りオセフン選手をターゲットとしたロングボールが主体。対する名古屋は下図のようなマンツーマンで守備を行っていました。

 キーパーの梅田選手が唯一のフリーになるため後方でボールを持った際は、ほぼ梅田選手からセフン選手へロングフィードが送られていました。
 ここでフリーの梅田選手を利用して相手のマンツーマンをずらす選択肢も期待したいところですが、基本的に今の清水にそうしたプレーは見られません。

 それでもロングボールで名古屋のマンツーをひっくり返してセカンドを拾えるのと、前線選手のパワーもアップしたのである程度はゴールに迫る形は作れていました。

 特にジャーメイン選手はセカンドターゲットになれるだけでなく、自らゴール前へ運ぶ推進力も備えています。ストライカーとしても優秀で、相手に脅威を与える存在だったと感じました。

 また、名古屋がマンツーマンで守っていても、セフン選手にボールが入れば左右のセンターバックはカバーに動かざるを得ません。そこでフリーになりやすいのが、左ワイドにポジションを取る藤井選手。実際、試合中に藤井選手が仕掛ける場面は何度も見られたと思います。

 藤井選手は右利きの左ワイド(逆足ウイング)で、縦に抜いてクロスだけでなく相手に対峙して内側にラストパスを通すプレーも極めて効果的でした。

 38分の先制ゴールはまさにこの形。名古屋GKピサロ選手がジャーメイン選手のプレスを受けてやや苦しまぎれに出した縦パス。それをティエギーニョ選手が中央でカット。ディエギーニョ選手が名古屋のシステム上、生まれる中盤のスペースを運び左ワイドの藤井選手へ展開。藤井が少し縦に運んで右足でファーサイドへ精度の高いクロスを供給。
 名古屋は保持時にウイングバックを高い位置に上げるので左の守備に入る中山選手が戻れておらずファーで北川選手はフリー。そして北川選手がクロスに合わせネットを揺らします。

 序盤の劣勢を、相手の前進を制限することで修正。徐々にペースを握り返し、自分たちの強みであるトランジションと個の特徴を活かして1点リードを奪った清水。清水が流れとしては理想的な展開で前半を折り返すこととなりました。

後半の流れと数的不利への対応

 後半もおおむね前半の流れを継承しました。清水はトランジションとセフン選手へのロングボール、名古屋はフリーになりやすいワイドのウイングバックを起点に攻撃を仕掛けます。

 互いにチャンスを作る五分の展開が変化したのは61分。オセフン選手が2枚のイエローカードをもらい退場となります。1点リードしている清水にとって、ここからは残り時間をどう守り切るかへと目的が明確化しました。

 退場後の清水は、前線を1枚削った4-4-1でブロックを形成。前線が1枚になったことで名古屋の後方保持には制限がかからなくなります。名古屋はほぼオートで清水陣内から保持を開始できる上に、ワントップのジャーメイン選手の脇から藤井陽也選手や高嶺選手がフリーで運べるため、サイドの選手をより前に押し出せるようになりました。

 前からの制限が効かずワイドのウイングバックによりボールが入りやすくなると清水はまず左サイドの藤井選手が最終ラインまで押し下げられてしまいます。次第に右の北川選手も同様に押し下げられて実質的に6-2-1のような形になり後ろで耐えるだけの状態になっていきます。

 そこで後半の給水タイム後、清水はようやく北川選手、藤井選手から蓮川選手、小泉選手への選手交代。システムを5-3-1と後ろを始めから5枚にして中盤を押し下げられないよう修正を行います。

 同時に名古屋も野上選手、山岸選手から森島選手、杉浦選手への交代。森島選手をボランチに入れて高嶺選手を左のセンターバックに配置します。名古屋は押し込める状況を生かして後ろに配球できる高嶺選手を置いて得点を狙う意図でしょうか。

 5-3-1にシステム変更した清水は、変わらず自陣でブロックを構える時間は長いものの意図せずサイドが下げられる状態は防げるようになりました。

 中盤の「3」の脇ににあるスペースは両サイドの小泉選手、嶋本選手のスライドでカバー。この交代で防戦一方だった状況はやや改善します。特に小泉選手の運動量と球際の強さは非常にチームの助けになっていたと思います。

 また、1人少なくなってからは、トランジションから相手を剥がして攻撃に繋げられる嶋本選手の特性と、ジャーメイン選手の強さと推進力がより際立ちました。少しでもボールを前に運び、失点の可能性を減らす動きは非常に重要なポイントだったと思います。

 清水は時間の経過を見ながらさらに交代カードを切ります。39分には須貝選手・本多選手に代えて吉田選手と高木選手を投入し、最終ライン両サイドの守備強度と運動量を補填。最後は49分、足を攣っていたディエギーニョ選手に代えて木下選手を投入しました。
 そしてそのまま1点を守り抜き、清水エスパルスが1対0で勝利を収めました。

最後に

 まずは開幕戦を勝利で飾れたことを嬉しく思います。

 ここで百年構想リーグを踏まえると、組織の作り自体には大きな変化はなかったように感じます。
 おそらく、今見えている形が吉田監督の目指すサッカーであり、あとは各ポジションで求められる質や選手同士の関係性を高めることが今後の上積みになるのではないでしょうか。

 新戦力を見れば、本文では触れませんでしたが右サイドバックの須貝選手も非常にフィットしていました。個人的に、百年構想リーグでは右SBに求めるタイプがいないと感じていたためやっとピースがはまったと感じます。ディエギーニョ選手も吉田監督の求めるアンカー像に近いように思います。また彼がいることで嶋本選手を右IHに配置でき、中盤から前線へ繋ぐ機能を果たせたのも大きかったと思います。

 今節、数的不利の状況で勝利できたのは、的確な交代策による采配であり、それを実現させたのは補強によって選択肢が増えた結果と言えます。百年構想リーグというある意味、助走期間を経たことでようやく本当の「吉田エスパルス」の姿が実現しそうな気がします。

 

 

マッチレポート【明治安田J1百年構想リーグ 第4節 ガンバ大阪vs清水エスパルス】

 明治安田J1百年構想リーグ第4節ガンバ大阪対清水エスパルスの雑感です。

 今回もスペースで話した内容をまとめました。スペースは下のリンク。

https://x.com/hipokotms/status/2028815017676828977?s=20

 清水はセンターフォワードの主力だったオセフン選手が欠場で髙橋選手が起用されています。

 ここまでエスパルスの攻撃は、ほぼオセフン選手に長いボールを入れるところから始まっていたので、髙橋選手に代わってどうなるのかは一つの注目ポイントになるかと思います。後のメンバーは前節と同じです。

 ガンバ大阪は今シーズンよりドイツ出身のイェンス・ヴィッシング監督が就任。当然Jリーグで指揮するのは初めての監督で、どんなサッカーをするのか非常に楽しみです。

 システムは4231。トップにヒュメット選手、トップ下に名和田選手。サイドの食野選手、唐山選手はワイドに張るより中に入って攻撃に関与するのが特徴のようです。

 

 それでは試合を観ていきましょう。

 まずエスパルスで注目するのは髙橋選手の役割。オセフン選手は相手を背負いながら最前線で起点を作るプレーが多かったのですが、髙橋選手はどちらかというと動きながらボールを引き出すプレーが目立ちました。

 髙橋選手が動いてポイントを作るので、前進の経路も中盤でブエノ選手に落としてパスを展開したり、サイドで受けてサイドバックから裏を狙うウィングに出したりと、オセフン選手がいる時と少し違う形になっていましたね。また髙橋選手を経由せずに裏を狙うウィングにフィードを出したりと、高橋選手のワントップの方が選手の動きも攻撃の形もちょっと流動的な感じになっているように感じました。

 次にエスパルスの非保持を見ていきます。ここのエスパルスのプレスとガンバの後方保持の噛み合わせがこの試合のポイントになっていたように思います。

 ガンバは縦に速い攻撃と言われていますが、エスパルスのようにロングボールを最前線に入れるスタイルではありませんでした。まず後ろでボールを動かして、パスコースができたら素早く縦パスを入れて前進していく。そんな志向の攻撃だと思います。ゴールキックからのスタートを見ても、ほぼロングボールを使っていません。そこからもボールを繋ぎながらという傾向がうかがわれると思います。

 ガンバはセンターバックとサイドバックの4枚で後方の保持をスタートしていました。ボランチが降りたりサイドバックの片方を上げて後ろ3枚にするような可変はあまり見られません。たまにはボランチが降りたりするんですけど、基本的には4枚でビルドアップするという形でした。

 ガンバの後ろ4枚ビルドアップに対して、エスパルスは左右のウィングを上げて前4枚で噛み合わせるようにプレスをしています(実際は単純にマンツーマン的に4枚出ていくわけではないのですが)。前半かなりの時間、エスパルスがこの前4枚のプレスでガンバのビルドアップを塞げていて、結果として高い位置でガンバを押し込めていたと思います。 

 ただし、エスパルスのプレスをガンバが回避すると、エスパルスはウィングを両方上げているので真ん中がボランチ2枚になっています。さらにガンバはサイドハーフを絞らせているので、中央レーンの付近に選手が密集していてエスパルスのボランチ周りをパンパンとパスを繋いで前進していきます。

 前半全体としてはそれなりにエスパルスはガンバのビルドアップを塞げていたんですけど、プレスを回避された時はそんな感じで前進されていて、内2回が失点に繋がるという結果になってしまいました。

 1失点目は27分。後ろの保持にキーパーが1回入ったことで左CBの中谷選手がフリーになったのがスタートです。エスパルスの2トップはプレスがずれた時にすかさず前に出ていくより、背後のボランチを気にする傾向があります(おそらく2トップは必ず背中でボランチを消すタスクになっている)。そこで中谷選手がフリー。縦パスを繋がれゴール前まで持っていかれました。

 2失点目は42分。髙橋選手が勢いよくプレスに行ったところを逆取られて交わされ中谷選手の前がオープンになったのがスタートです。中谷選手がパスを出す時、エスパルスのダブルボランチの周りをガンバの中盤5人で囲む形になっていて、それを利用しパスをテンポよく繋いで前進。そして最後はヒュメット選手がシュートを決めました。

 人を内側に集めて、センターとインサイドのレーンへの配置からコンビネーションを使っていくのがガンバの前進の特徴といえそうです。

 そして2点とも中谷選手が起点で、中谷選手は運べるし相手を見て動かしながらパスを出せる。ここをフリーにしてしまうといい感じに前進されやすい傾向はあるかなと思います。

 あともう一つ、これは開幕戦から気になっていたことで、エスパルスの守備は何気に間への縦パスを通されやすいように感じます。この試合に限らず、ウィングの位置がやや前目で守備時に絞り切れていないことが多いような気がします。思い返すと名古屋戦の失点も間を通されたところからで、守備ブロックをセットしている時でも縦パスを通されるのは修正が必要かもしれません。

 

 さて前半は2対0とガンバのリードで折り返します。しかし2点リードされるほどエスパルスが悪かったわけでもないなというのが僕の感想です。かといって失点は偶然にワンチャンを決められたというわけでもありません。お互いの構図から、エスパルスのプレスを交わされた時はゴール前までボールを運ばれやすい状態だったと思います。

 そして最後の点を決める、防ぐという部分はヒュメット選手がスーパーだったということになるのかもしれません。

 それにしてもヒュメット選手、本当に上手いですね。7分辺りでサイドで囲まれても正対して相手を止めてつつ、ボールを相手の届かない方に持っていってすり抜けたプレーがあったんですけど、そこで思わず「上手いな!」と声が出ちゃいました。ここは余談ですが。

 

ということで後半です。

 ガンバは名和田選手、唐山選手に代わって南野選手と倉田選手が入ります。エスパルスは交代なし。リードしているガンバが変化をつけて、リードされているエスパルスがそのまま。前半の内容と結果のミスマッチが表れたような後半の入りでした。

 まず後半、エスパルスの保持で印象に残ったことがあるのでちょっとそこに触れます。

 52分過ぎ。ブエノ選手が後ろに降りて、本多選手と住吉選手が左右に広がり、ブエノ選手がいたアンカーポジションに小塚選手が降りてくるという場面がありました。

 ここはポジショニングがよく整理されていて、相手の2トップに対して本多選手と住吉選手がちょうど脇を取る位置取りになっています。そして小塚選手がアンカーポジションにいるので、2トップは背後が気になり積極的に前に出てこれない。

 これで本多選手が脇を運んで、1回引っかかってしまったけど、その後再び同じ配置で保持スタート。今度はブエノ選手のインサイドキックで小塚選手に縦パスを入れ前までボールを運んでいったという流れです。

 前節の神戸戦で、こちらの数的優位にも関わらず後ろで上手く動かせなかったという話をしましたが、この試合ではそこをしっかり整理してきたなという印象を受けました。

 一方、ガンバも交代で入った南野選手、倉田選手が1本ずつシュート打つなどゴール前でチャンスを作っていたので、両チームとも悪くない後半の入りだったと思います。

 そして59分に清水が髙橋選手と千葉選手に代えて松崎選手と宇野選手。始め少しポジションがごちゃごちゃしてましたが、北川選手がセンターフォワード、松崎選手は左ウイング、宇野選手が千葉選手がいた位置に入ったようです。

 ガンバも同時に交代で食野選手がアウトして、奥抜選手がイン。奥抜選手はそのまま左サイドハーフに入りました。

 エスパルスは交代した後、宇野選手が1列目で北川選手と2トップ、もしくは4411みたいな守備組織になったと思います。エスパルスはこの選手交代からあまりプレスをかけずブロックを組んで守っているように見えました。サイドの高い位置にもウイングが出ていかず中盤でラインを形成する。サイドバックは縦スライドするけど松崎選手は内側を埋めるような動きも見られます。

 これで前半に問題になっていたボランチ脇は埋まるのですが、ファーストディフェンスがあいまいでガンバに2トップ周りを好きに使われてしまっています。中谷選手だけでなく左CB三浦選手にも運ばれたりして、縦パスを間に通されてゴール前まで持っていかれる流れになっていました。

 これが例えばエスパルスがリードしていて守備固めようとした(けど結果的に上手くいかなかった)というならこの状況もわかるんですけど、負けてる状況でこの流れはちょっと解釈が難しいかったです。何らかの意図があると思いますが、僕には読み取れなかったです。

 ガンバはガンバでボール運べるんですけど、守備に切り替わった時にちょっと戻りやスライドが緩いようにも見えました。なのでガンバが攻めてるんだけどエスパルスもボール持ったら攻撃できる、そんな感じになってますね。言い方は悪いのですが、ちょっとお互いぐだぐだというか...。

 ガンバは74分にヒュメット選手に代えて満田選手。

 エスパルスは77分にサイドバックをパク選手から北爪選手に。そして小塚選手に代えてステファンス選手を投入しました。ステファンス選手が右ワイドに入って、松崎がトップ下もしくは左のインサイドハーフかな。宇野選手が保持時に右インサイドハーフ、非保持の時はボランチみたいなポジションですね。

 82分にエスパルスが1点を返します。北爪選手のクロスをファーでカピシャーバ選手が折り返して北川選手のゴール。

 ガンバは非保持でボールサイドに絞るので、サイドバックが空くことは前半からありました。前半、パク選手にボールが渡るとフリーで、北川選手にパスを出すみたいなシーンが何度かあったと思います。

 また北爪選手がクロスを上げた時にファーのカピシャーバ選手はフリーで、慌てて三浦、鈴木、倉田選手の3人が寄せたので、北川選手もステファンス選手も中央でほぼフリーになる。そんな状態になってますね。これもガンバはボールサイドにスライドするのでファーをどう見るかが、一つ問題になるかもしれません。

 2点目は、奥抜選手が住吉選手に出たところから芋づる式にスペースを使われて宇野のクロスまで繋がるという流れでした。この2点目は交代で入った選手の特徴と崩しの動きがロジカルに機能していていました。

こんな感じ...

 まず奥抜選手がプレスに出てきてその後ろで北爪選手がフリー。そこにガンバのサイドバック初瀬選手が縦スライドしてくるのでその裏に宇野選手が走り込む。その宇野選手のランへのカバーにボランチの安部選手が付いていって中のステファンス選手へのパスコースが空いたと。ステファンス選手は相手を背中で抑えながらボールを収めて裏に抜ける宇野へパスを出す。からの宇野選手のクロスと。

 そして宇野選手のクロスをファーで受けたカピシャーバ選手がフリーでシュート。ここも1点目と同様にファーが空いてるんですね。

 また宇野選手がサイドバックの裏に走った時にガンバのボランチが付いていったので中へのパスコースが空いたんですけど、これとほぼ同じ場面はその前にもあってガンバはこの場面にどう対応するか講じる必要があるかもしれません。

 まあ、戦術的にどうこうもありますがガンバは全体的にスライドとか戻りが緩くなってるかなというのは感じました。そこはエスパルスにも若干言えるんですけど。

 ということで90分では2-2の同点で試合は終了しました。PK戦については特に触れません。

 

 今節も前節から改善しているなと思ったところ、依然気になるなというところなどありましたが、着々と前よりできることが増えているので次の試合を観るのが楽しみです。

 ガンバの中央を素早くパス崩すスタイルもとても面白かったです。いわゆるラングニック系(以前ラングニックを研究している方のセミナーを聞いたことがあります)を体現したようなスタイルで中々興味深いなと思いました。

 それでは今回はこんなところで。ではまた(そろそろ連続レビューも疲れてきたのでいつまで続くか...)。

 

マッチレポート【明治安田J1百年構想リーグ 第3節 清水エスパルスvsヴィッセル神戸】

 J1百年構想リーグ第3節清水エスパルス対ヴィッセル神戸の雑感です。

 今回もほぼほぼスペースで話したのでそれをまとめるだけで。またもや下手くそな僕のトークは下のリンク。

https://x.com/hipokotms/status/2026961713195897094?s=20

 エスパルスのスタメンは前節と同じ。前節、内容的にはやりたい形ができていたということで継続なんだろうと思います。現状、このメンバーがスタメン争いを一歩リードといったところでしょうか。

 

 神戸はおそらく乾選手がトップ下の4231。ワントップには小松蓮選手。J2で秋田と対戦した時に身体を張ってハードワークできるいい選手だなと思ったのを記憶しています。

 

 それでは試合を見ていきます。

 エスパルスの保持はここまでの試合同様、ボールを持ったらまずオセフン選手に長いボール。その周辺にセカンドを拾えるよう中盤の選手が押し上げる。そしてオセフン選手がボールを収めたり、こぼれてもセカンドを素早く回収してダイレクトにゴールに向かっていく形です。

 この保持からゴールに向かう、そしてネガトラが起きても即座にプレスにいく仕組みはすでにある程度はできているといえそうです。

 そして前節に引き続きこの試合でも良いプレーを見せてくれたのが千葉選手でした。千葉選手のプレースタイルは今のエスパルスの戦術にとてもマッチしている印象で、難しいことを考えず彼のプレーをそのまま出せば求められるタスクに適合する、おそらくそんな感じなんじゃないかなと思います。

 

 一方、神戸を見るとボールを持ったらエスパルスとほぼ似たような形ですね。長いボールをCF小松蓮選手に集めて、トップ下の乾選手とボランチの片方が上がってサポートしています。

 両サイドの武藤選手と佐々木選手は内側に入ってきて小松選手が競ったボールを受けてゴールに向かう。これは昨年までの神戸のやり方(つまり今年のエスパルス)と似ていて、スキッベ監督は自分のゲームモデルに当てはめるというより、今あるベースを生かしながらチームを作っていくタイプの監督なのかなという気もしました。

 

 お互いに似たスタイルでゲームが進む中で、先ほども言ったように千葉選手が前を向いて仕掛けるプレーが目立っていました。

 千葉選手が前向きに仕掛けられる理由の一つには、プレス時の神戸の位置取りも関係しているのではないかと思います。

 神戸は割と前からプレスにきていて、前の3枚に連動して井手口選手がアンカーのブエノ選手のところまで出てきます。その時にCFオセフン選手が上手く深さを取っているので、少しボランチとCBの間が開いて、ボランチの裏で千葉選手がボールを受けられる。そんな形になっているように見えました。

 例えば8:50の辺りのプレーもそうですね。この時は井手口選手が即座に対応したので千葉選手は裏に抜けられませんでしたが、それとほぼ同じ形でボールを受けた31分には前向きでボールを受けた千葉選手を井手口選手が引っ掛けてイエローカードが提示されました。

 

 そして18分。神戸のセンターバック山川選手が裏に抜け出そうとした千葉選手を引っ張ってレッドカード。

 この時は神戸の非保持プレスではなく保持がスタートでしたが、特徴的なプレーが見えたのでもう少し詳しく触れておきます。

 神戸は保持時に左サイドバック永戸選手がたびたびインサイドレーンに上がっていくプレーが見られました。その時にボランチの鍬先選手が左に寄ってパスを出し入れています。

左ワイドにウイングの佐々木選手、インサイドに永戸選手、そしてその下に鍬先選手と左側で逆三角形みたいな形を作って組み立てる。もしかしたらこれは神戸のボール保持の特徴なのかなとも思いました。

 さらにこの時、井手口選手は真ん中の前のほうに上がっていて、おそらく左で作った攻撃の折り返しを狙ったり、こぼれた時のネガトラでの回収のために押し上げているのだろうと思います。

 鍬先選手が左サイド側で攻撃を組み立て、井手口選手は前に押し上げているのでボランチが真ん中から動いています。この状態で神戸のネガトラ(エスパルスのポジトラ)が起こると千葉選手がボランチの後ろでフリー。

 さらにオセフン選手をトゥーレル選手が見て、山川選手は少し下がったそこカバー的な位置。なのでボランチとセンターバックの間が開いて千葉選手が前向きフリーで仕掛けられる。山川選手は抜かれそうになったので思わず引っ張ってしまいレッドカード。こんな流れでした。

 

 一方、パスをカットしたエスパルスの守備もとても良かったのでそこも触れておきます。

 神戸が左サイドでパスを繋いだ時に住吉選手がサイドまで流れて対応したので、本多選手との間が開いた状態でした。その時、小塚選手が下がってその間をスムーズに埋めてボールをカット。

 昨年までのエスパルスだとディフェンスラインのギャップを割と放置気味で、そこを使われたりが多かったのですけど、今年は必ずギャップができたら誰かが埋める状態を作れています。

住吉選手が動いたら本多選手はスライドしてカバーの位置を取っていますし、本多選手がカバーできない時はボランチが下がって埋めています。現状、攻撃だけでなくこうした守備戦術もちゃんと落とし込まれているなという印象を受けました。

 

 ということで神戸が一人減って数的不利、エスパルスが数的有利という形になりました。

しかしエスパルスは1人多いにも関わらず、それを生かして試合を進めていたという感じでもありませんでした。決して悪い流れというわけでもないんですけどね。

 神戸は山川選手が退場した後、トップ下の乾選手に代えてセンターバックのンドカ選手が入ります。これで神戸は4231(非保持時は442)から、乾選手が抜けたので非保持の時は441の並びになったわけです。

 1列目の守備が小松、乾選手の2人から小松選手1人になったので、エスパルスの優位はセンターバックの本多選手と住吉選手のところということになります。

 この後ろの優位を生かしてボールを運びたいところでしたが、正直いってエスパルスの後ろでの保持はあまり上手くいってるようには見えませんでした。

 センターバックがボールを動かせないので、アンカーのブエノ選手が降りてボールを動かす現象が見られます。後ろで動かせないのでブエノ選手が降りるのは昨年と同じ現象ですね。

 ブエノ選手が降りても、センターバックが上手く立ち位置を取れればいいんですけど(例えばサイドバックの位置に広がるとか)そうでもない。結局CBが2枚が消えたことになりこの時点で有利は無くなってしまいます。

 

 さらに気になるのが、アンカーのブエノ選手が降りると相手のFWの後ろに選手がいなくなることです。

去年ならブエノ選手が降りても、ボランチの宇野選手がいたり、乾選手が降りてきたり、松崎選手も降りてきたりと誰かが1列目と2列目の間にいる状態ではありました。まあ、みんな降りてきちゃうのはいいことじゃないんですけど。

とにかく誰かが相手FWラインの後ろにいてブエノ選手に選択肢を作れる状態ではあったと。でも今年はブエノ選手のワンアンカーで、千葉選手も小塚選手も前目にポジションしていています。ここで状況に応じて上手くポジションを取れればいいのですが、そうでもないのでどうしてもパスレンジが遠くなります。これでブエノ選手がミドルやロングレンジのパスを入れてもイチかバチかになって、ブエノ選手の特徴は生かせないなという状態でした。

また1列目の後ろに人がいないと、相手は背後を気にせずプレスに出てこられます。なので神戸が423気味に前に出てプレシャーをかけると結局ロングボールを蹴ってしまうという流れになります。

ロングボールは悪くはないけど、相手の中盤と後ろは退場前も後も44ブロックのまま変わらないのでこのままだと特に有利というわけではありません。

ということで相手が1人減って数的優位になった割には、エスパルスペースというわけでもないなという展開のまま前半はスコアレスで終了します。

 

後半です。

後半はお互い選手交代は無し。神戸はそれなりに対応できていたのでそのままで問題ないという判断でしょう。

エスパルスも優勢になったわけではないけど、特別問題があるわけでもない。早々に交代カードを切るほどでもないなという判断かなと思います。

後半入ってしばらくは前半の山川選手退場後とほぼ同じ展開で試合が進みます。

しかし48分、エスパルスのコーナーキックで相手選手にハンドがあったとの判定でエスパルスがPK獲得。これをオ・セフン選手が決めてエスパルスが先制します。

71分にエスパルスは日髙選手に代えてパクスンウク選手。神戸は小松選手、井手口選手に代えてパトリッキ選手と濱崎選手が入ります。

神戸は一人退場して前を削っているのでシンプルに前に出して前線の能力を生かすという攻撃になっていました。またロングボールではサイドの選手もターゲットにしてくるので、運動量の多く疲労も見えた日髙選手のところを手当てした。そんな交代なのではないかと思います。

神戸はパトリッキ選手を左に入れて、CFに武藤選手、右に佐々木選手という配置に。先ほど書いたように攻撃がシンプルになるので、スピードのあるパトリッキ選手で一気にゴールに持っていきたい。そんな狙いなのかなと思います。神戸の特徴はわからないのですけど。

そして77分には小塚選手、千葉選手に代えて髙橋選手と宇野選手。ここも千葉選手の運動量が少し落ちてプレスにいけない場面が見えてきたので納得の交代といえるでしょう。ちょっと縦パスを通されたりしたのは気になるところでありました。

ここまで見てきて吉田監督の交代策は固いなという感想です。前の試合もそうですが後半入っての守備の穴はすかさず塞いでくる。そんな印象を抱きます。小塚選手に代えて宇野選手のところもやっぱりそんな感じだと思います。

お互いに長いボールが多いし、疲労が出てくるとオープンになってくる。1人少ない神戸にも全然ワンチャンあるなという展開でした。

神戸の方はリードされているので、ボールを運べたり前に行けそうな選手を入れていくと。ボランチに入った濱崎選手はいかにもセンスのある選手で、彼が入って中盤から前にボールを運べる場面も増えていたように思います。

試合としては互角で、いったりきたりする展開ですが、意図としては失点の可能性を減らしながらもあわよくばワンチャンを狙うエスパルス、ボールを前に運んで行って追いつきたい神戸という感じになってたのではないかと思います。

そしてさらに交代があったりしながらも試合はそのまま進み、エスパルスが1点を守って1-0の勝利。エスパルスは最後はキープ交えて時間を使ったりと、もう少し慎重でも良かったかなと思いました。しかしまあ逃げ切ったのでプランは成功といって良いのではないでしょうか。

 

着実にチーム作りが進んでいるところ、意外とまだまだだなというところ。それぞれが見えたとても興味深い試合でした。

そして何より吉田エスパルスの初勝利。とても嬉しいですね。それでは今回はこんなところで。

マッチレポートという名の雑感【明治安田J1百年構想リーグ 第2節 清水エスパルスvs京都サンガ】

明治安田百年J1構想リーグ第2節清水エスパルス対京都サンガの試合の感想です。

 

先日Xのスペースでこの試合の感想を話ました。その時の下書きを軽くまとめた内容です。僕のどちゃくそ下手くそなトークは下のリンク。

https://x.com/i/spaces/1mrGmBBBnAvJy

 

ということでまずは両チームのメンバー。

 エスパルスは前節から2人のメンバー変更。名古屋戦に出場したインサイドハーフの松崎、宇野選手に代わって千葉、小塚選手がスタメンに入りました。

 

 京都は左インサイドハーフの平岡選手と左サイドバックの須貝選手が前節からのメンバー変更です。去年の対戦した時と比べると移籍やレンタルバックで抜けた選手以外にも何人か変更されていますが、監督は代わってないので基本的には去年と同じスタイルだろうなという予想はできました。

 

 さて試合を観ていきましょう。

 どちらのチームもダイレクトな攻撃を志向しているので、後ろで無理に繋がず長いボールを入れていく傾向となっていました。

 なのでゲームの全体の流れとしては、行ったり来たりが激しいトランジションゲームの構図になっていたと思います。

 

 まずエスパルスから見ていきます。

 エスパルスは後ろで持ったらターゲットをオ・セフン選手に設定して長いボールを入れていきます。インサイドハーフ(千葉選手、小塚選手)はオ・セフン選手の近くまで押し上げて攻撃をフォローしつつ、ボールがこぼれたら即座にアタックできるよう攻守の切り替えに備えるポジションを取っています。

 ウィングはワイドに張るよりハーフスペースの辺りまで中に入ってきてゴールを狙えるような位置取りです。


 この配置で、高い位置に起点を作ってゴールに向かう。ネガティブトランジションでも即時奪回できる。そんな設計を作っているように見えました。

 

 ここまでは前節の名古屋戦と同じですが、名古屋戦ではオ・セフン選手に当てた後の連携がまだ未整備で、少し単調な攻撃になっていました。結果、松崎選手やカピシャーバ選手が相手の守備に単独で突っ込んでくような形になり、相手陣内でプレーできてはいたものの決定機はあまり作れない。そんな流れになっていたと思います。

 

 松崎選手は一人で相手の守備に突っ込んで打開してというプレースタイルではないですし、得意のカットインからのシュートは左利きの左インサイドハーフなので難しい。

 宇野選手にしても前にスペースがあった方が推進力が出しやすい選手で、相手が構えている守備ブロックの中でボールを持っても中々持ち味を出せないという名古屋戦の内容だったと思います。

 

 そこで今節インサイドハーフに入った千葉選手ですが、元来フォワードの選手で多少相手がいても強引にゴールに向かえますし、ある程度相手も背負えます。

 この設計でまだ崩しの連携がそこまでできていないとなると、ボールを持った後に一人で1回ゴールに向かえる選手の方が今の段階だと上手く回るような気がしました。

 小塚選手も単調な流れの中で貯めだったり、ボールを循環させる部分を個人の技能やアイデアで補ってくれます。

 全体の設計はできてるけど細かい部分の完成度がまだ足りない今のチームの進捗状況では、このインサイドハーフのコンビの方がチームの足りない部分を上手く補えるのかなという印象です。

 

 あとはシステム的なところで、京都は基本システム4-3-3で非保持の時も4-3-3のまま守る形になっています。つまり中盤の底はアンカー一人で守っているので、千葉選手が京都のアンカー斎藤選手を外すとそのままCBまで仕掛けていけるという形にはなっています。

 さらに京都のアンカー斎藤選手は、バイタル付近で構えているよりかなりカバーに動く傾向が見て取れます。

例えばエスパルスがオ・セフン選手にボールを当てた時、CB鈴木義宜選手が出てくる。すると斎藤選手は鈴木選手が出た後ろのスペースのカバーに入る動きを見せる。そうなると千葉選手へのマークは薄くなるので千葉選手が動きやすい。千葉選手がゴール前まで仕掛けていけたのは、そういった影響もあったのではないかと思いました。

 千葉選手は試合途中から、ロングボールに対してもフォワードの位置まで出てることが多くなっていきました。これは相手の配置を見ながら、自分は前に出た方が良さそうだなというのを感じとっていたのかもしれません。

 こんな感じで名古屋戦とは違い、インサイドハーフの選手がゴール前まで迫れていたエスパルスの攻撃になっていたと思います。

 

 あともう一つ京都が4バックだったことの影響ですが、オ・セフン選手に当てた時に守備ブロックがカバーのため中に寄るのでワイドの北川選手が空きやすい傾向はあったと思います。

 またオ・セフン選手と千葉選手と中に2つポイントがあるので北川選手はそこまでストライカー的な位置には入らず、ワイドで仕掛けてクロスみたいなシーンも前節より作れていました。

 

 ただ少しもったいなかったのが、北川選手とサイドバックの日髙選手の連携がまだ上手く取れていないように見えたことです。北川選手がワイドで持った時に日髙選手が上がってくれば京都のサイドバック須貝選手に対して2対1の状況を作れますが、これをもっと上手く利用できればなという場面が何回か見られました。

 

 例えば、39分に日髙選手がサイドの高い位置でボール持った場面。須貝選手が日髙選手に出てきた時に、北川選手が上手くセンターバック鈴木選手を外して須貝選手と鈴木選手の間のスペースに流れてボールを要求していました。しかし日髙は一人で仕掛けてクロスを上げるもオーバーしてボールはアウト。この時、簡単に北川選手にボールを流してあげれば北川選手が内側からクロスを上げられるので、よりチャンスの可能性を高められたのではないかと思います。

 

 積極的に仕掛ける姿勢自体は決して悪くありません。ただ上手く連携すればより可能性が高い形が何回かあったので少しもったいないと思いました。まあ細かい連携はこれからでしょうし、修正場面についてチームからも振り返りがある思うので今後のプレーに期待したいです。

 

 あともう一つ。非保持プレスのところ。京都はロングボールが多かったので、そんなに問題にはなっていませんでしたが、気になったプレーがあったので少し触れたいと思います。

 エスパルスは基本的にウィングが外切りでプレスをしていますが、特にカピシャーバ選手が外切りで出てきた時にその背後を使われる場面が気になります。

 この試合でいうと例えば15分の清水の非保持の場面ですね。この時は京都のサイドバックの位置が低かったので前進はされませんでしたが、カピシャーバ選手の後ろで福田選手がフリーになってます。

 また25分30秒のところ。カピシャーバ選手が外切りプレスにいく。前にコースがあるのでアピアタウィア選手がジョアンペドロ選手に縦パスを入れる、ジョアンペドロ選手がダイレクトでサイドに叩いてプレス回避成功。カピシャーバ選手の背後でまた福田選手がフリーでボールを受けています。

 このような一回縦に入れてワンタッチでサイドや、浮き球でカピシャーバ選手の頭を越えてサイドバックへなど、J1チームはどこも外切りプレスの回避方法を持っているような気もします。

 名古屋戦でもカピシャーバ選手の背後で原選手がフリーになってそこからチャンスを何回が作られていたのでちょっと気になるところです。清水の方もここは今後に何らかの対応はすると思いますので、そこはこの後の試合の注目ポイントの一つとして見ていきたいと思います。

 

 次に京都についても見ていきます。京都の保持も基本はロングボールで、3トップがわりと真ん中の方まで入ってきて、サイドの方、例えばマルコトゥーリオ選手になんかにロングボールを後ろから当てることが多いように見えました。

 そこから幅広く攻撃するより、ボールを入れたレーンに集まって素早くゴールを目指す。そんな攻撃に見えました。

 またラファエルエリアス選手はターゲットという感じではありませんでした。当てたボールを受けてフィニッシャーになったり、ラストパスを出すような最後のプレーに関わせる意図なのかもしれません。

 京都の前線は独力で持っていけるバワーやスピードがある選手ばかりで、3トップやインサイドハーフの選手が躊躇なくどんどん前にいくところが脅威でした。ということで京都も何回かゴール前に迫っていたという流れでした。

 

 ただやっぱりダイレクトで早い攻撃なので、攻守が入れ替わると後ろにスペースがあってすぐに逆に相手の攻撃になってしまう。そんな傾向はありました。

 行ったり来たりで逆襲を食らいやすいのはエスパルスもなんですけど、エスパルスの方が両サイドバックが同時に上がることが少ないので、その分若干カウンターでの安定はあるようにも感じました。

 とりあえず前半はこんなところです。スコアレスで前半を折り返して後半に向かうことになります。

 

 後半を観ていきます。後半はあまり詳しく観てないので簡単に。

 まず京都が選手交代。アンカーの齋藤選手に代えて米本選手。左インサイドハーフの平岡選手に代えて平戸選手が入りました。

 齋藤選手に代えて米本選手は、前半に触れた千葉選手がアンカーを外すとそのままゴールに向かえるという部分。おそらく対人で強さのある米本選手でそこをカバーしたい意図なのかなと思いました。

 平戸選手に関しては、名古屋戦で宇野選手から小塚選手に代えたのと近いかなと。平岡選手があまりボールに絡めていなかったので、ボールを引き出して長いボールだけでなく変化も付けたい意図でしょうか。昨年対戦時には平戸選手に上手くボールを動かされたイメージが残っています。

 

 後半すぐにエスパルスがオウンでゴールを奪いましたが、ここもトランジション、お互い前に入れて行ったり来たりしたとこからゴールが生まれています。

 もう少し細かく見るとサイドの北川選手にボールが入った時に相手のサイドバック須貝選手が出てくる。その時のセンターバックとの間が開いてそのギャップに小塚選手が入ってクロス。これがオウンゴールを誘ってエスパルスが先制です。

 見方によっては、39分に日高選手が持って北川選手がギャップ取った時と同じ形ですね。今度は北川選手がギャップに入った小塚選手にパスを出して小塚選手が内側からクロス。やっぱり内側からクロスを上げた方が点に繋がりやすいなというのは感じたプレーでした。

 

 ここからは本当にざっくり。

 京都は58分に左フォワードの新井選手に代えて奥川選手。奥川選手が入ってから京都はサイドから攻撃できるようになったように見えました。例えば60:45の奥川選手が日髙選手に仕掛け、その外を須貝選手が上がっていく形です。

 奥川選手はスペースに向かうだけでなく相手に対峙して仕掛けられるのでサイドの2対1を上手く作れるように見えました。こんな感じで京都がサイドも使えた方がエスパルスは対応しづらかったと思います。エスパルスはディフェンスが横にコンパクトなのでサイドにポイントは作りやすいかもしれません。

 

 この後、63分のジェラ選手のゴールがオフサイドになったシーンがあったりして、お互い選手交代もあり、エスパルスが79分に千葉、小塚選手に代えて髙橋、弓場選手。たぶんここからエスパルスは4-4-2にしたように見えます。どちらかというともう1点取るぞというより、残り10分は固くいこうという交代じゃないかなと思います。

 

 そうなると京都の方が少し押しているかなという流れになりました。最後アディショナルタイムに大畑選手が自陣右サイドでクリアしようとしたボールを奪われてエリアス選手のゴールが決まります。結局90分では1対1で終了しましたという流れでした。

 

 PKはこのリーグの特別なレギュレーションなのでそんなに気にしてませんが残念な結果ではありました。あと最後に選手交代して少し押されたようにも感じましたが、1点リードで固くいくのは普通にありだと思いますし、そんなに悪い流れでもなかったと思います。