マッチレポート【FIFAワールドカップカタール2022 グループE スペインvsコスタリカ】

はじめに

 皆さまこんにちは。hirotaです。普段は清水エスパルスのマッチレビューを書いています。
 さて今回のマッチレビューは、windtosh(@Windtosh)さん企画によるカタールワールドカップ・アーカイブ化計画の一環です。担当する試合は、グループリーグ・グループEのスペイン対コスタリカ
 以前、清水エスパルスの監督がスペイン人のロティーナ氏だった繋がりでスペイン五輪代表の記事を書かせてもらいました。それ以来、スペインでのサッカーの捉え方に興味を持ち、今回またスペインの試合を指名しました。(中でも他の参加者とかぶらなそうな試合を指名したのにまさかの4人かぶり。しかも歴戦の勇者の中で私が当たりを引いてびびってしまったのは内緒)
 では、前置きはこんなところで。試合のレビューに入りたいと思います。

両チームのメンバーとフォーメーション

(スペイン)

フォーメーション:1-4-3-3
フォーメーション:1-4-4-2(試合途中から1-5-2-3)

ざっくりした試合の構図

 スペインの保持は、基本1-4-3-3の陣形を維持。移動や持ち運びのドリブルで相手を引き付ける、また身体の向きを合わせてパスコースを作りボールを前進させていきます。
 コスタリカ非保持時の組織はミドルゾーンにセットした1-4-4-2。ファーストディフェンスは2トップが相手のアンカーを受け渡しながら1枚がセンターバックにプレスに出ていく形です。さらにコスタリカは左サイドハーフを積極的に前に出してプレスをかけていました。
 お互いの狙いとしては、ボールを保持して試合をコントロールしたいスペインと高めの位置からそれを阻害してカウンターを狙いたいコスタリカの構図だったと思います。

前半から31分まで

 高い位置から限定したいコスタリカ。しかしスペインのプレス回避は巧みでそれがはまりません。スペインは一度サイドバックを経由したり、センターバック同士のパス交換でコスタリカ2トップの受け渡しをずらして、アンカーのブスケツをフリーにします。
 ボールを受けたブスケツは、相手のプレスの逆を取るように守備の重心を動かして、左右、前方へとフリーのスペースへボールを展開していきました。
 スペインのミドルゾーンでは、ワントップのアセンシオがコスタリカボランチの間に降りてきて、中央に3(ペドリ、アセンシオ、ガビ)対2(テヘダ、ホルヘス)の数的優位。
 またインサイドハーフのペドリが2列目手前に降りてきていて、ブスケツとともにビルドアップの出口になっています。
 左のワイドには基本はウイングのダニオルモが張っていますが、ペドリが降りると、ジョルディアルバが上がって、ダニオルモが内側に入るようなローテーションも見せています。
 中央のアセンシオへの縦パスでコスタリカ守備を収縮させる、また左のローテーションも使って相手を動かし、ボールをワイドに張っているウイングに届けます。
 スペインの深さを取る役は主にウイング。ダニオルモやフェラントーレスは、常にワイドいっぱいの位置からDFラインの裏を狙っています。
 彼らは独力での無慈悲な突破はありませんが、キープ力に優れ、相手が付いても巧みにボールを運べます。そのためコスタリカサイドバックが引っ張られて、センターバックとの間が開いてしまいます。そのギャップにペドリやガビ、またアセンシオが流れて裏を狙うのはよく見られる動きでした。
 コスタリカはギャップをカバーするためボランチがDFラインまで下がってきます。そうなると中央が人数不足。さらにギャップから裏へのランでDFラインが押し下げられてサイドから中央への横パスのコースができてしまいます。そしてそのコースにアセンシオ、または逆サイドのウイングが入ってきてシュート。スペインの1、2点目はまさにこの仕組みから生また形です。
 1点目は、アセンシオがSB-CB間へラン。これにコスタリカの右ボランチボルヘスが付いていっています。そして左サイドのジョルディアルバからライン間を横切るようなパスが入って、最後は裏に抜けたダニオルモが浮き球のラストパスをゴールしました。
 2点目もフリーになったブスケツの美しいコントロールから右ワイドのジョルディアルバへ展開。ここでもダニオルモがSB-CB間を突き、相手ボランチをDFラインに引っ張ります。これで空いた中央のスペースにアセンシオが引いてくる。そこにジョルディアルバから横パスが通ってシュートです。
 プレスのかからないコスタリカは、前からのプレスを抑えてセットし始めます。しかしスペインは相手が前に来なければセンターバックが盛んに持ち運んで相手の中盤守備を動かします。
 前にいってもセットしても前進されてしまうコスタリカは、ややとまどいがあったか、守備があいまいになっていきます。
 31分には中央に侵入したジョルディアルバが倒されてPKの判定。これをフェラントーレスが決めてスペインが3点目を奪いました。

31分から前半終了まで

 コスタリカにとっての問題は、一つはアンカーのブスケツが空いて展開されてしまうこと。もう一つはウイングにサイドバックが引っ張られてできるギャップのカバーでボランチを下げられてしまうことだったと思います。
 そこでコスタリカは3点目取られた後に5-4-1にシステム変更。ウイングをウイングバックが見て、中は3枚で埋める形です。これでスペインがギャップを狙っても、左右のセンターバックが対応するので、ボランチがDFラインに下がる必要がなくなりました。
 またブスケツへはボランチが前に出てマーク。フォワードが背中で見るより、ボランチが前向きに捕まえる方が見やすくなります。これで守備基準がはっきりして、コスタリカがボールを回収して、攻めに転じる場面も作れるようになりました。
 コスタリカはサイドを起点にしたり、前線のキャンベルが動いて受けて、右ベネットが前に出ていく形を作りたいようでした。
 しかしスペインのプレス、帰陣しての4-5-1セットも素早いため、決定機までは作れません。それでも守備から流れを少しフラットに戻し、前半を折り返せたのは的確な修正だったと思います。

後半の流れ

 後半のコスタリカは、マルティネスに代えてワトソンの選手交代。5バックシステムはそのままですが、ワトソンを中央に置いてより前へプレスに出ていく姿勢を見せました。

 特に左インサイドハーフのペドリには、右センターバックのデュアルテがはっきりついていて、ペドリが下がると高い位置まで追いかけていきます。ここ以外でも守備基準をはっきりさせていて全体的にマンツーマン色を強めたように見えました。

 後ろにセットしてもスペインに対抗しきれないこと、また強力なカウンターを持たないコスタリカとしては、起点を前に置くプランは変えたくなかったのでしょう。
 少しやり方の変わったコスタリカに対して、スペインはペドリが引いてデュアルテを引っ張り出したり、ガビも2列目手前に下がったりといった動きを見せ始めます。
 またコスタリカがワントップになったことで、センターバックがワントップ脇から持ち運び、コスタリカの中盤に対応を迫っていきます。
 コスタリカの守備がマンツー気味になったことで、一枚ずらすとスペースができ、ディフェンスラインは追撃するので後ろで段差もできやすくなっています。
 スペインの後半の8分のゴールは、ラポルテの運びがスタート。コスタリカの中盤を動かして左サイドを前進します。その時、コスタリカのディフェンスラインは、中央のワトソンが降りたアセンシオに付いて前へ、そして右センターバックのカルボがその裏をカバー。ディフェンスの並びが完全に崩れています。
 そこから右のフェラントーレスにボールが渡り、裏を狙ったガビにパス。そして中に入ったフェラントーレスに再びが回り、ゴール前で粘ってシュートが決まります。
 後半28分のガビのゴールも、スタートはラポルテの持ち運び。ラポルテがコスタリカの右サイドハーフを引き付けたことで、左サイドバックがフリーでドリブル。左サイドを切り裂いて弾かれたボールを拾っての折り返し。そこにガビが入ってエクセレントなダイレクトシュートです。
 前に出ていくと動いたスペースを使われる。セットしたら持ち運ばれて選択を迫られる。コスタリカは徐々になすすべがなくなって再び防戦一方に。
 スペインは90分にソレール、92分にモラタのゴール。最後まで手を緩めず試合を締めて、スペインが7-0と勝利を収めました。

最後に雑感

 スペインの圧倒的な保持と大量得点による圧勝でした。しかしコスタリカも試合途中で何度も問題点の修正を図り、スペインに食い下がろうとしていた様は読み取れます。
 そうしたやり取りの中で、すかさず相手に対応して、コスタリカの修正を上回ったスペインの問題解決能力は見事でした。
 スペインの個々の技術やチームでのパスワークに目を奪われがちですが、スペインの凄さはそうしたチームでの問題解決能力だと感じます。
 さて、なんとか12月2日の日本対スペインの試合の前にこのレビューを書き上げることができました(現在、11月30日!)。
 日本代表がこのスペイン代表にどう立ち向かうか。そしてスペイン代表はその日本代表とどんなやり取りをするのか。お互い変わりゆく試合展開に対してどんな問題解決能力を見せてくれるのか。そんなところに注目して大一番の試合を楽しみたいと思います。
 
試合結果
スペイン 7-0 コスタリカ
【得点者】

11’ ダニ・オルモ(スペイン)

21’ マルコ・アセンシオ(スペイン)

31’ フェラン・トーレス(スペイン)
54’ フェラン・トーレス(スペイン)

74’ ガビ(スペイン)

90’ カルロス・ソレール(スペイン)

90+2’ アルバロ・モラタ(スペイン)

 
 
 
 
 

 

プレビュー【2022年明治安田生命J1リーグ第31節 清水エスパルスvsジュビロ磐田】  

 台風15号の影響により延期された静岡ダービーが10月22日に行われる。傷跡はまだ完全に癒えないが、まずは無事試合が開催されることを喜びたい。

 さて現在17位のエスパルスと18位のジュビロ。お互い厳しい順位での対戦となる。降格か残留か。この試合の結果が両チームの未来に大きな影響を与える。かつてないほど緊迫感漂うダービーと言えよう。

両チームのここまで 

(ホーム)清水エスパルス 

17位/勝点32/7勝11分13敗/得点40/失点48

直近試合の戦績(1勝1分3敗)

〇京都(1-0)、●広島(0-2)、△湘南(1-1)、●福岡(2-3)●川崎(2-3)

 

 ゼリカルド監督就任以降、上昇気流に乗ったかと思われたエスパルス。しかしここ4試合は勝ちがない。リードを奪っても追いつかれるなど詰めの甘さが目立つ。一時は中位も狙える位置にいたが現在は17位に順位を落としている。

 

(アウェイ)ジュビロ磐田

18位/勝点28/6勝15分け11敗/得点31/失点54

直近5試合の戦績(1勝3分1敗)

△柏(2-2)、●札幌(0-4)、△C大阪(2-2)、△鹿島(3-3)、〇横浜FM(1-0)

 ジュビロもシーズン残り9試合での監督交代に踏み切った。現在最下位ではあるが、直近5試合の勝点はエスパルスを上回る。札幌戦は大敗したが、横浜FMにはウノゼロで勝利。チーム状態は決して悪くない。

ジュビロ磐田についての予習

 直近5試合では複数得失点での引き分けが多い。この数字からは得点力はあるが守備が弱い大味なチームの印象を受ける。しかし実際は組織的に攻守を行うまとまったチームだ。

守備面の確認

 ジュビロの守備は高い位置からのプレスは抑えめ。5-4-1の守備組織でスライドとカバーを献身的に行う。

 中央を塞ぎ、サイドに誘導。誘導したらしっかりスライドとカバーを行いサイドで奪取を狙う。ハーフスペースに縦パスを差し込まれる場面はあるが、ボールサイドに人を寄せて相手に自由を与えない。

 横浜FM戦を見ても、割り切って守られたらボールは持てても崩し切るのは難しそうだ。

 反面、前にプレスに出ていくと守備組織がばらけてスペースを空けてしまったり、スライドがずれたところを突かれる場面も散見する。

 おそらくこれは守備で無理の利く選手が少ないことに起因しているのではないだろうか。 

 そこで個人がさらされないようにできるだけコンパクトなブロックを作り組織的な守備を行いたいはずだ。

 しかしラインが下がり過ぎると長い距離をカウンターで刺せる馬力のある選手が少ないため得点の可能性が低くなる。かといって前に行き過ぎるとスペースを空けてしまうジレンマだ。

 つまり攻守のバランスを解決するための選手層の薄さに悩みを抱えているように映った。金子が重宝されているのは守備の強度と前に出ていく力を評価されているのだろう。

攻撃面の確認

 後ろで繋ぐ意思は見せるが、無理には繋いでこない。後ろで持った時は少し動かし、右ウイングバックの鈴木雄斗やワントップの杉本に入れていく。

 杉本のポストプレーで時間を作り、シャドーの山田やボランチが絡みながらサイドに展開する。そしてワイドからクロスを上げて中で合わせるのが主なチャンス構築パターンだ。

 クロスに対しては、逆サイドのウイングバックやシャドー、また頻繁に後ろからセンターバックも1枚上げてくる。なのでクロス対応のみならずこぼれ球に対しても警戒が必要だ。

 また、ウイングバックは単独で突破するタイプではなく、内側の選手との連携でサイドの高い位置を取っていく。

 この関係を作るため最前線の杉本は上下左右広範囲に動いてボールを受けるのも特徴だ。杉本のポストとシャドーやボランチとのコンビネーションにしっかりプレスをかけて自由にさせないことが重要になるだろう。

予想スタメン

エスパルス

 川崎戦では前への推進力を重視したスタメン構成だったが、この試合は従来のスタメンで挑むと予想する。ただし権田のコンディションによってはキーパーが大久保に代わるかもしれない。

 ジュビロの守備はそこまで激しくはプレスにこないので、こちらはボール保持はできるはず。しっかりボールを握れるメンバーでジュビロの守備組織を動かして崩していきたい。

ジュビロ

 ジュビロのスタメン予想はあまり当てにしないで欲しい(笑)

 ミドルゾーンで構えてしっかりプレスにいくと考えると、横浜FM戦のメンバーは安定したバランスを見せているように見えた。

 チアゴサンタナ対策でセンターバックに対人の強い大井、また前半で途中交代した山田のコンディションに問題があればジャーメイン良など人選の変更は大いにあり得る。

 いずれにしても流れを見ながら早めに交代策を取ってくると思われる。得点を奪うには前線にパンチのある選手が必要で、エスパルス以上に90分でどう戦うかのプランが重要になるだろう。

最後に個人的な注目ポイントを

 まずボールを握るのはエスパルスだと思う。しかし後ろで保持しても前に中々付けられない流れはあり得る。

 持てるからと言って無理に間に縦パスを差し込むだけでは対応されてしまう。

 それでも焦らず、サイドチェンジを交えたり、ボールを縦横に動かしてスライドを何度も繰り返させてずれを作ることが必要だ。実際、ずれを作られ逆サイドや後方から飛び込まれる形はここ数試合でも何回か見られた。

 また前の馬力ではエスパルスが上だ。マッチアップ次第ではどんどんサンタナに入れて押し下げるのもありかもしれないし、サンタナカルリーニョスでのカウンターは最大の得点チャンスだろう。

 守備では、杉本へ入るボールをボランチセンターバックで挟み込む、相手中盤にプレッシャーをかけて杉本との連携を遮断できるかどうか。特に松岡の活躍に期待したい。

 またジュビロの右ウイングバック鈴木雄斗とエスパルスの山原のマッチアップも注目だ。高さでは完全にミスマッチ。ジュビロはロングボールのターゲットとして狙ってくる可能性が高い。鈴木雄斗は高さだけでなく、クロスの供給、中外とポジションを取っての繋ぎ、逆サイドからのクロスに対してゴール前に入るなどジュビロのキーマンの1人だ。ここを山原が抑え込めば優位に試合を進められるはずだ。

 直近ジュビロの試合を見れば後半、スコアが動く可能性が高い。ジュビロは選手交代でよくも悪くも組織のバランスが大きく変化するからだと思われる。いずれにしても試合は最後まで予断を許さないだろう。

 

 だらだら長くなったが以上で終わり。勝手な予想をしてきたが、こんなことを書きたくなったのもダービーが特別な試合だからだ。絶対負けたくないライバルとの特別な試合。この特別な試合を熱い気持ちを持ちながらも思い切り楽しみたいと思う。

 

 

 

 

 

 

マッチレポート【2022年明治安田生命J1リーグ第23節 清水エスパルスvsサガン鳥栖】

 鳥栖戦の見直し。久々であやふやなのでご指摘、ご意見等あればぜひお願いします。

 鳥栖の守備は、4-2-3-1の配置から右WGの長沼を井林に当てて前からマンマーク気味にプレスにきている。

 盤面上では、右は瑛ちゃんが岩崎を押し下げたスペース、左は前に出た長沼の裏で山原が空いている。しかし、右のスペースに流れたヴァウドは比較的ボールを動かせるタイプではなく、左の山原には左SBの原田が素早く縦スライドしてくる。

 そこでセンターの松岡や白崎がボールを受けようとするが、ボールホルダーに寄りがち。結果、相手のプレスを引き連れてしまい狭い場所で詰まらされている。

 そんな中、井林はボールを動かしたり、浮き球で山原にパスを通したりと鳥栖のプレスの矢印を折ろうとしているのがわかる。2失点目の場面も、横切りしながらの長沼のプレスをドリブルのコースを変えてずらし縦に運ぼうとしている。相手のプレスの矢印折るプレーの一つ。ミスを指摘されるのは避けられないけど、全体的には悪くないプレーをしていたと思う。

 鳥栖の保持ではSBの中野がIHの位置に入っていく、またWGが張って清水のSBに対して常に裏を狙って駆け引きをしている。
 清水の守備は2トップの1枚が相手のCBに、もう1枚がボランチに。そして浮いているボランチにはこちらのボランチを出していく。ハイプレスはかけないが、守備ブロック内では人への意識強め。

 少し気になるのはボランチが動きすぎること。例えば白崎が前に出て、松岡はサイドまでスライド。これで真ん中が空いて、森谷や内側に入ってくる中野などライン間の選手に斜めのパスを簡単に通されている。一概には言えないけど、ボランチが動いた時は神谷を一列下げて中央を埋めてもいいような気がする。
 また鳥栖は、前から塞がれた時には裏返すように一気にWGにつけて1対1を仕掛ける。清水の1失点目はその形からだった。
 攻守ともあまり上手くいっていない清水だったが、前半の飲水タイム後には片山への長めのボールなどやや修正をしかけた感じも。ただこれが明確な修正だったかはよくわからない。
 

 後半に入ると保持時の立ち位置を明らかに修正。片山を低い位置からスタートさせて、白崎を右IHのような高い位置に上げている。これでヴァウドが右で孤立することなく、大久保や片山とよい距離で繋がれるようになった。

 後ろでプレスをずらして前の白崎へ入れると、片山に付いて前に出た岩崎の裏のスペースを使い、白崎、ピカチュウのコンビネーション。またそこから逆サイドのボランチ脇のスペースにサイドチェンジ。そこを神谷、山原が使っていく攻撃が見れるようになった。

 ここまでの清水を見ると、白崎、神谷が左右のハーフスペースからゴールに向かう形を作れるかがキーになっていそう。そのためには、後ろはなるべくDFラインとアンカーでボールを運ぶ形を作れるとよいと思う。

 守備では白崎を始めから相手ボランチに当てて、神谷がもう1枚のボランチを見ている。結果的に4-1-4-1と4-4-2との中間な感じに。そのため相手に運ばれた時、神谷が中盤をケアするような形にもなっている。

 清水の1点目は山原がカットして左サイドを突破。クロスを白崎がゴール。守備時に4-1-4-1っぽくなったことで、ネガトラで白崎が前に出ていきやすくなる効果もあったと思う。

 そこから清水はご存知の通り、北川、カルリーニョス、乾の3枚替え。鳥栖は島川を入れて3バックに。ここから清水はイケイケ、鳥栖は前に行くのか、引くのかちょっとフワッとした感じに。

 その後の展開は明らかにオープンになって、鳥栖が1点を追加するも清水がイケイケの雰囲気で即座に2点を奪い、3-3の引き分けで終了。

 新戦力がフィットしたこと、その破壊力を確認できたのはgood。半面、逆転の勢いは相手が与えてくれたところが大きい。今後は、こちらがやるべきところをもっとやりきれないと継続的な結果を残すのは難しい。加えて攻撃マインド100%でないと試合を動かせないのもちょっと不安。というのが簡単な感想です。

 

マッチレポート【2022年明治安田生命J1リーグ第17節 清水エスパルスvsアビスパ福岡】

スタメンと配置

 まずスタメンから。

 清水はゼリカルド新監督就任後の初試合。保持の局面では中盤が逆三角形の4-3-3、非保持の局面は神谷選手を前に出して4-4-2。攻守でポジション取りを変える形を取ってきました。

 福岡は通常通りの4-4-2。攻守とも組織の統制が取れたチームという印象です。

清水のボール保持とそこへの対応にてこずる福岡の守備

 前半開始後しばらくは、清水がボールを保持して福岡を押し込みます。

 清水のビルドアップは、サイドバックをあまり前に上げず4バックがフラットに並ぶ位置取りが特徴的でした。

 福岡はサイドハーフも前に出して同数で噛み合わすように高い位置からプレスをかけていきます。しかし清水のゴールキーパーや2トップ裏のアンカー宮本選手がビルドアップに参加すると福岡の同数プレスにずれがでてきてしまいます。

 横に広がる清水のセンターバックにはサイドハーフの選手を当てることが多いのですが、サイドバックが低い位置にいるため、北島選手が立田選手と片山選手を一人で見る数的不利の状況が発生します。

 ここで北島選手は片山選手へのパスコースを切るように斜め横方向からプレスにいくので、サイドバックを意識させてから縦に切り返すとプレスが外れやすい。プレスを外した立田選手はそのまま前のスペースへコンドゥクシオン(持ち運びのドリブル)。そうしてまた中盤以降にずれを作っていきます。

 中盤より前は、インサイドハーフの神谷選手、白崎選手が福岡のボランチの後ろ脇辺りの中間ポジション、ウイングの後藤選手と西澤選手は基本ワイドに張っています。

 福岡はインサイドハーフへの縦パスをボランチで消したいのですが、センターバックのコンドゥクシオンや、アンカーの宮本選手に動かされてここもずれが生じてしまいます。

 これで福岡のボランチ周りにスペースができて神谷選手や白崎選手がそのスペースを使っていきます。

 崩しのフェーズでは右サイドと左サイドで特徴的な動きが見られます。左は後藤選手が降り、それと入れ替わるように神谷選手が裏を狙い、右サイドは西澤選手がワイドに張って白崎選手がライン間のスペースを使っています。

 清水の2点目はこうした仕組みの典型例です。まずサイドの後ろで北島選手と立田、片山選手の1対2。これを立田選手が外して前に運ぶと、福岡のボランチ中村選手は立田選手と白崎選手の二人を見ている状態です。この二人のパス交換で立田選手がまたフリーになって、斜めの動きで裏を取った神谷選手にパスが出ます。

 これで福岡の守備は大きく動かされ、サイドにセンターバックのグローリ選手、ゴール前にサイドバックの志知選手と本来のポジションと違う場所を守っています。神谷選手からパスを受けた西澤選手は中央にクロス。これをサンタナ選手が志知選手に競り勝ちヘディングでゴールにねじ込みました。

 こうしたポジショニングでボールとスペースを前に運ぶ構造と、それを利用するための選手のプレー選択は整理されている印象を受けました。

守備ブロックのコンパクトさと残る課題について

 ボール非保持の清水は、高い位置からのプレスを抑えてミドルゾーンにコンパクトなブロックを構えていました。

 さらに引いて受ける相手の前線にはセンターバックが前に出てつぶすプレーも頻繁に見られ、清水の先制点はセンターバック鈴木選手の前への追撃がきっかけに生まれています。

 前半しばらくは攻守ともに問題なく試合を進めていた清水ですが、30分が見えた辺りから徐々に雲行きが怪しくなります。

 福岡がサイドにボールを入れてから、無理に前に出さずに戻して逆サイドに大きく振ると、清水の守備はスライドやカバーの動きが乱れ始め、間に縦パスが入り始めます。

 ボールを回収できないと当然、上手くいっていた保持局面にも移行できず、30分過ぎからは福岡ペースで試合が進みました。

 しかし、流れが福岡に傾いたと思われた41分、前述したようにチームで狙っていた形から2点目のゴールが決まります。形としても素晴らしいゴールでしたが、試合の流れを考慮しても大きな価値のゴールだったと思います。

福岡の修正と後半の流れ

 福岡は前半のプレーから「ボールを握って左右に振ると、清水の守備は怪しいぞ」と感触を掴んだのでしょう。後半には守備面の修正と、攻撃面でも立ち位置を変えて前半以上にボールを握る修正を行ってきました。

 まず守備面ではアンカーの宮本選手にボランチの選手を前に出して当てています。これでボールの出口を塞がれ、前半に比べて上手くボールを運べなくなってしまいました。

 攻撃面では右サイドバックの前嶋選手を後ろに残して3バックでビルドアップスタート。左右のセンターバック(前島、宮)が2トップ脇からのぞくことで清水のサイドハーフを前に引き付けます。これでワイドのクルークス選手、志知選手をフリーにして左右に大きく振っていきます。左のセンターバックに左利きの宮選手が入ったことで、後ろでのボール循環もスムーズになりました。

 清水は進路の限定やカバーの動き、ポジションの取り直しを正確にやり続けることが相変わらず苦手のようで、左右に動かされるとパスコースを開けてしまいます。中盤で間に顔を出す中村、北島、前選手らを掴めずに割と簡単にパスを通されていました。

 74分には福岡の選手交代。クルークス、志知選手に代えて、金森、田中選手。交代で入った二人をウイングバックにしてはっきり3バックにシステム変更してきました。

 福岡のサイド攻撃は単純な縦突破からのクロスは少なく、中盤の選手の裏へのランニングを入れてボランチを動かし、カットインや横パスの可能性を作ってクロスをゴール前に入れてきます。

 清水は押し込まれるとゴール前でバタバタするこれまでの悪癖も見えて、後半も苦しい時間が続きました。68分に疲れから守備がかなり甘くなった神谷選手に代えてディサロ選手を投入(同時に片山選手→原選手も)。77分には宮本、西澤選手に代えて竹内、コロリ選手とフレッシュな選手を入れてなんとか耐えていましたが、ついに80分山岸選手にゴールを決められ1点差に詰め寄られます。 

 しかしその5分後、原選手のクリアかフィードかはわかりませんが、前に出したボールをサンタナ選手が収めて前を向き、コロリ選手にスルーパス。コロリ選手がこれを決めて3点目を奪いました。結果的に守備をフレッシュにしつつ、前線にパワーを出した交代が功を奏したのかもしれません。

 3点目を奪った後は、ディサロ選手を中盤に入れて4-5-1の守備組織。中盤に人を増やして間を埋めます。これで残り時間をゼロに抑えることに成功。3-1で清水が勝利しました。

所感

 監督交代後、短い時間でしたが攻守に明確な形を作り結果を出したのは非常にポジティブでした。

 一方、流れとしては福岡の時間が長く、特にボールを握られた場合は現状だと苦戦することが予想されます。

 この試合に関しては、相手がこちらのやり方の変化に戸惑ったこと、流れ上タイミングよく点を奪えたことなど、この試合限定の要因が勝敗に影響したように思えます。

 この後、向上していけるか、そうでないかはここからです。とはいえ、そのスタートラインには間違いなく立てたと確認できた試合だったと思います。

 

やわらかマッチレビュー【2022年明治安田生命J1リーグ第12節 清水エスパルスvs川崎フロンターレ】

 

 できるだけざっくりいきたいと思います。まずはスタメンから。

 さて試合の内容に入る前に少し前置き。

 サッカーの試合は結構ごちゃごちゃしていてわかりずらいものです。そこで試合を見る時は、局面ごとに分けて見ていくとわかりやすくなります。

 局面は、

①攻撃(ボールを持っている時)

②守備(ボールを持っていない時)

③切り替わりが発生した時(攻撃から守備に移る時と守備から攻撃に移る時)

こんな感じに分けます。

 まずそれぞれの局面で両チームがどう振舞っていたかを観察する。観察したらそれらつながりを考えていくと試合の流れが見えてきます。それでは実際にやってみましょう。

エスパルスの守備の局面(フロンターレの攻撃)

 守備から見たほうがわかりやすいので、エスパルスの守備vsフロンターレの攻撃から見ていきます。まずエスパルスの守備を表したのが下の図です。

 2トップ(サンタナ、唯人)のうち一人は橘田選手を見るので、フロンターレセンターバックのどちらかがフリーになりやすくなっています。

 前半のフロンターレはこのフリーを上手く利用してチャンスを作っていました。

 まず一番効いていたのは、車屋選手の前に運ぶドリブルです。 

 車屋選手がフリーになるとドリブルで運んで、エスパルスの守備を引き付けます。これでエスパルスの守備をずらして前に縦パスを入れたり、サイドバックの佐々木選手にパスを出していきます。

 また脇坂選手の下がってくるプレー。

 脇坂選手に白崎選手がついていくと右サイドバックの山根選手がフリーになり、ホナウド選手が出ていくともう一人のボランチ宮本選手との間が開いてしまいます。

 エスパルスもこれに懸命なスライドで対応していましたが、カバー範囲が少し広くなって対応が間に合わない場面も散見していました。これもフロンターレがチャンスを作る遠因になっていたような気がします。

 サッカーではこうした相手を動かす、守備側はそれに対応する、さらにそれを見て攻撃側は....といったやり取りが行われていくわけですが、前半に限ると若干フロンターレの方が上手くやり取りしていたように思えます。

 フロンターレの選手は当然、止める蹴るの技術が高いのですが、加えて自分が動くと相手の守備がどう動くのかを把握し利用する力も高いなと感じました。

エスパルスの攻撃の局面(フロンターレの守備局面)

 前半に得点を奪ったのはフロンターレでしたが、エスパルスもチャンスを作り出すことはできていました。さてどのようにチャンスを作っていたのでしょうか。

 それを読み解くために、フロンターレの守備から見てみます。フロンターレはまず家長選手やマルシーニョ選手が、外側から中に追い込むようにプレスをかけています。そしてエスパルスセンターバックが真ん中にパスを出したところを奪いにいっているのがわかります。

 つまりフロンターレは、図の赤い場所で奪おうとしてるわけですが、裏を返せばそこさえ回避すれば両サイドの山原選手や片山選手がフリーになっていると言えます。

 フロンターレのプレスに引っかかることもありましたが、唯人選手が前から下がってヘルプすることでプレスを回避できる場面も作っています。真ん中のプレスを回避したら、山原選手のいる左サイドに展開。山原選手はスペースさえあれば一人でもチャンスを作り出せます(超有能!)。前半のエスパルスはこの山原選手のサイド攻撃を中心にチャンスを作り出していました。

切り替えの局面

 この試合、両チームとも攻守の切り替えはピッチの中央付近で起こることが多いように見えました。

 前半8分に橘田選手のところで奪ってカウンターを仕掛けたように、高い位置で奪ってのカウンターはエスパルスの最大の武器です。 また上に書いたようにフロンターレも中央高い位置でプレスをかけて奪うのが守備の狙いです。このやり取りから発生するピッチの中央辺りでの攻防もこの試合の大きなポイントになっていたと思われます。

後半の修正

 エスパルスは後半の頭から選手交代。中山選手とホナウド選手に代わって、神谷選手と松岡選手が入ります。

 神谷選手は、単独でも技術やアイデアでチャンスを作れる選手です。中山選手の裏狙いはフロンターレに対応されていたので、神谷選手に代えてサイドでポイントになってもらう意図だと思われます。

 また松岡選手は、球際で強みを発揮し、奪ったボールを味方に展開できる選手です。中盤の攻防が試合のポイントになっていたので、そこを強化する選手の投入は的確です。

 右サイドでは神谷選手がポイントとなり、中央で奪いに来るフロンターレとのプレスの攻防でも互角になると、前半活躍した左サイドの山原選手がさらに生きてきます。

 また攻撃でも立ち位置の工夫もあり、フロンターレの中盤のプレスの裏を取ってボールを前に出せるようになっています。

   

 こんな感じで、後半に入りエスパルスが少し流れを掴んでいきます。

試合終了までとまとめ

 後半の修正で流れを掴んだエスパルス。しかしフロンターレも対応します。アンカーをシミッチ選手に代えたり、中盤の構成をダブルボランチにしたり。

 このお互いの采配を見ても中盤の攻防が重要だったのがわかります。エスパルスもさらに攻撃的な采配を繰り出し得点を狙いましたが、前半失った2失点が響き、残念ながら0-2で敗戦となってしまいました。

 これで試合の振り返りは終わりです。試合を通して、両チームのやり取りがあり、流れがいったりきたりと非常に面白い試合でした。勝っても負けても試合には必ずお互いのチームがどう戦うかの意図が存在します。今回は、そのヒントを掴むため、なるべく起きていた現象から概要がわかるよう意識して書いてみました。もしわかりづらいところ、違うなと思うところありましたらご意見いただければ幸いです。    

マッチレポート【2022年明治安田生命J1リーグ第8節 清水エスパルスvsガンバ大阪】

最近レビューを書ける気がしない...。なのでメモ書きを並べます。

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スタメン

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・清水は4-4-2。前節途中出場でデビューしたオセフンがスタメン。ガンバも4-4-2。石毛は左SHでスタメン。

(前半開始から25分くらいまで)

・ガンバの守備は、2列目とDFラインの間が広いのが気になります。清水はオセフンに当てて唯人がそのスペースを使って仕掛けることができています。オセフンに収まるので各選手、迷わずスペースに入っていけています。

・清水ビルドアップ時の立ち位置は、ホナウドが2トップ裏、宮本が相手2トップの右脇にずれる。SBは相手のSHと同じくらいの高さ。ボールが動くとボランチの1枚が中央、もう1枚がインテリオールの位置まで上がっていきます。

・ガンバは2トップ脇で受ける宮本をSHの石毛が見ています。しかし同じ高さにいるSBの原が気になって守備がぼやける。これで宮本がボールを持って起点に。またボランチのダワンが前に後ろに動くので中へのパスコースができがち。SBは内側に絞る清水のSHにしっかりとついてくるのでCBの横(SB裏)にスペースができています。

・石毛が宮本を見ているのはちょっと違和感だったけど、たぶん内側で受ける相手をしっかりつぶす意識なのでは。それにしても、ガンバの2トップが背後の清水のボランチを抑えきれていないのはかなり気になる...。

・意識的かはわからないけど清水の宮本、原、中山、加えて唯人は菱形の関係になっています。食いつかせる、そのスペースに入る、動いたところを埋める。そういった各々のポジション取りを意識した動きは上手くできていたと思います。

ホナウドがしっかり中央にポジションしているので1列目と2列目の間でポイントに。サイドで詰まった時は横パスを受けて逆に展開。ガンバはボールサイドに強くスライドする守備で、逆サイドへの展開でサイドバックがフリーになって仕掛けることが何度か。

・左SBの山原が上手い。対面の小野瀬を剥がせているし、縦を塞がれても横に運んで相手を動かすなどクレバー。

・ガンバのSH-CB間のギャップも気になる。基本はボランチが埋めるのだけど。ボランチが動いた中盤のカバーの仕方がバタバタしている。SH-SB間が開くのでそこを狙って飛び出す唯人にSBからダイレクトにスルーパスが何度か通っています。

・宮本が前のスペースに頻繁に入って崩しのフェーズで起点になれている。宮本が2トップ裏にいる時はホナウドが前に上がっている。なのでボランチが前に上がるのはチームとして仕込んだ動きだと思われます。

・ガンバも少しずつ守備を修正。ラインを揃えて少し構え気味に。2トップもボランチを抑えるようになる。中へのスペースがなくなると清水は唯人がボランチの高さまで降りてきて、左右にボールを散らすようになる。ガンバの守備はこの降りてくる唯人を捕まえづらそう。

G大阪の保持を見ると、ダワンが清水の2トップの裏、齋藤が2トップの右脇にずれた位置にポジション。開始からすぐ、齋藤からダイレクトにパトリックを狙ったボールを出している。齋藤が起点になり前進を狙うことが多いです。

・清水の守備は2トップが相手のボランチをまず抑える。相手が前に運んだらボールサイドのFWがプレス。それをスイッチに442の噛み合わせのまま対面の相手を強く捕まえにいきます。ガンバが配置をあまり崩さないので清水の守備も崩れずプレスにいけています。

・そのためかガンバは無理に後ろで繋がず、齋藤からシンプルに前にボールを出していきます。パトリックに当てて、山見とSHが拾って早く攻めるみたいな。

・ ガンバもパトリックへのボールを中心にチャンスを作りましたが、前半の入りは清水の方が優勢に試合を進めることができていたと思います。

(前半25分くらいから前半終りまで)

・まず修正を入れたのはガンバ。前半25分辺りに石毛を前に、山見を左SHに配置転換。 石毛が主に右寄りのスペースで受けてボールを循環させる。小野瀬がワイドから仕掛ける。逆サイドから山見や黒川が入っていく。そんな形を作っています。

・ガンバはボランチの位置をずらしたり、立ち位置を調整。GKもビルドアップに加わり後ろでボールを動かし始めます。右SB高尾は上がらずに後ろでビルドアップに関わっていました。

・ガンバが保持の機会を作り始めましたが、清水もオセフンに入れる攻撃からチャンスを作っています。両チームとも攻撃ではターゲットとそれをトップ下がフォローする形、守備では少し構えつつも対面の相手をがちっと捕まえにいく。前半の終わりにかけては攻守やや似た形でぶつかり合う、互角の展開になっていたと言えそうです。

(後半の入り)

・後半ガンバは石毛に代えて倉田。システムを3-4-2-1に変更。守備面では清水に使われていたハーフスペースを3枚にしてふさぐ。保持時には2トップ脇から侵入し、清水のSHを絞らせる。そこからワイドのWBに展開。そんな感じの狙いでしょうか。

・清水はホナウドに代えて松岡。ボランチボランチの交代でシステムは変更無しです。

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・ガンバの保持は昌子と三浦が後ろで広がり、高尾が右前に出る。高尾が清水の2トップ脇付近で起点になって、ワイドの小野瀬へ。小野瀬からボランチに横パスを出して、それを前にはたいてシャドーの山見へみたいな循環を狙っていそう。あまり無理せず通ればOKみたいな感じにも見える。

・配置のずれを利用して、シャドーへボールも入れようとしていたガンバ。清水はそれにしっかりとスライドして対応。後半すぐに奪って中山のロングカウンターが2回。落ち着いて完結させたかった。

・その後は清水もボールを保持する流れを作ります。ガンバは5-4-1の守備だけどべた引きでなく縦スライドしてくる。そこで後ろの保持でシャドーを前に引き付ける、間にボランチが入っていく。またSBが幅をとってWBを引き付けて、その裏など。

・56分。清水先制。SB原が幅を取りガンバの守備を広げて、ボランチ(松岡)が入っていく。唯人がCBの脇に流れてクロス。オセフンがヘッド。キーパーに防がれたが跳ね返りを自ら押し込んでゴール。再現性のある形から奪ったゴールでした。

・ガンバとしては、修正を重ね少しずつ流れを引き寄せようという時間帯での失点だったと思います。これで片野坂さんは、どう出てくるか。

・ガンバ、左の昌子をSBっぽくして弦太と山見が後ろで作る形も見せる。これまでの右上がりを左上がりにずらした形。清水の守備を揺さぶってきたか。

・オセフンえぐい...。困った時は、当てれば一人で時間を作ってくれるので助かる。

(60分から試合終了まで)

・60分。清水、選手交代。後藤→神谷、中山→片山。両サイドハーフの交代。中盤でバチバチ噛み合う状態なので強度維持のための交代か。

・ガンバは立ち位置を変えながら動かそうとしているけど、強く寄せられるとそれを交わすまでは上手くできていないかな。ミドルゾーンまではいけるけど2列目を越えるパスがそこまで通らない。チャンスはカウンターが多い。保持からも運んでいけてる清水の方がやや優勢かも。

・清水、選手交代後はSHの人選的にロングカウンターの威力は減ったか。

・69分、ガンバの選手交代。ダワン→奥野、齋藤→山本、山見→坂本の3枚替え。再び4バックに戻して4-4-2に。

・清水は72分、オセフンに代えてチアゴサンタナ

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・ガンバは山本が中央で配球役。それまで後ろで組み立てに関わっていた高尾もサイドの高い位置をとっていく。SBとSHでサイドを崩していっているよう。

・清水は片山やサンタナにボールを入れる。サイドバックに展開してクロス。この辺りはリスクを冒さずシンプルに。神谷の決定機などチャンスも作れていて、上手くゲームを進めています。

・ガンバは78分、高尾に代えてレアンドロペレイラ。パトリックとレアンドロペレイラの2トップ。小野瀬が右SBの4-4-2。

・よく見ると清水は83分から84分くらいの間、4-1-4-1になっているような。左から片山、神谷、宮本、唯人。アンカーに松岡。ガンバがSBとSHでサイドを崩して少し内側からクロスを何回か見せたので対応したんだろうな。DFラインの前を松岡が見て、CBはゴール前の競り合いに集中させるような。

・でもボールを持つと、唯人と神谷は中央にいってしまうので(攻撃のコンセプトなんだろうけど)、ネガトラで4-1-4-1の並びに戻れていない。で、85分に立田を入れて5-4-1に。中途半端にせず、しっかり守るぞを明確にというわけか。

・5バックにしてからはちょっと中盤の守備がはまっていない。松岡がアンカー気味に中央に残って、サンタナの脇に運ぶガンバのCBやボランチには片山と宮本が出ていく。神谷は、相手のサイドに付いていって中盤のラインに戻らない。5-4-1というより5-1-3-1で3のラインが形成されていないみたいな状態。

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・結局、アディショナルタイム残りわずかの時間で失点。見直すと、4-1-4-1の辺りから、中盤の中央付近にぽっかりスペースが空いている状態。5枚にしてからそれが顕著。サイドからアーリー気味にDFラインの手前に入れればいつか事故りそうで、失点は偶然じゃなかったなと感じます。

・最後のガンバはSH+SBでサイドを運ぶ。クロスをツインタワーに合わせていく。清水はサイドにはSHとWBで対抗。さらに高さのある立田を入れて真ん中を3枚にして、跳ね返しの人員を確保した。個人的には、対応策としては筋が通っていると思います。

・筋は通っているものの、それを実行するためのクオリティが足りず、組織が崩れて失点してしまったと解釈します。

・最後は耐えきれず、勝点2を逃す結果になりましたが、80分くらいまではリードを奪うに値する内容を見せていたのは評価するべき。その上で今後、足りてないクオリティを向上させていくことを期待したいと思います。

マッチレポート【2022年明治安田生命J1リーグ第5節 清水エスパルスvsヴィッセル神戸】

スタメンとフォーメーション

まず清水の守備から見ていく。

 清水の2トップは1枚がボールを持つセンターバックへ、もう1枚は相手のアンカーを背中で消す位置。ここはいつもと同じ動き。

 これまでと違うのは、サイドハーフが積極的には前に出ていかず、少し絞りつつも前も牽制するような中間ポジションを取っていること。そしてサイドハーフが前に出ていく時は、必ずサイドバックも連動して縦にスライドしていたことだ。

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 ここまでの試合で中盤のスペースを使われていたことへの修正だと思われる。ボランチが前後、左右に過度に動かされることがなくなり、前の2試合に比べれば守備ブロックを維持できていたと思う。

 神戸のビルドアップは左右に広がるセンターバックゴールキーパーの3枚でスタートしていた。アンカーの扇原は2トップ裏にいたり、DFラインに降りてきたり。トップ下の中坂は扇原と並ぶように清水の2列目の手前に降りてくる。山口と汰木はライン間。2トップも前に張っているよりも動いてライン間で受けようとしていた。

 このように神戸はライン間に人数多めに配置して崩そうとしてくる。しかし清水も2列目を揃えているので、中央を自由に崩される場面はあまりない。

 清水にとって問題は、神戸のセンターバックによる2トップ脇への運ぶドリブルだった。特に持ち運びの上手い大崎のいる左サイドだ。清水のサイドハーフが出てこないので神戸のセンターバックは2トップ脇から運ぶ余裕ができる。そこに大崎が運んで中山を動かす。そして内外と蹴り分けるインサイドキックで、ライン沿い、または中への斜めのパスを通している。

 大崎の運びからのパスは確かに巧みだが、清水の守備にも問題があるように思える。相手を捕まえることを意識しすぎてか、簡単に自分の脇を通過するようなパスを通されている。ボール周辺では人を捕まえにいっても、その次のラインではもう少し人とスペースを見る中間ポジションを取った方がいいような気がする。また前に出ていく勢いはあるがプレスバックの動きが少ないのも気になるところだ。

 自陣でブロックを組んだ際に、何度もハーフスペースを取られてしまうのも大きな問題だ。各選手そこが気になっているようだが、誰が見るかがあいまいで後追いの対応。パスが通り、ターンも簡単に許している。ボランチが後ろから追いかけることが多いので、明確にボランチにカバーの役割を与えてもいいのかもしれない。

次に清水のポジトラを見る。

 守備時にラインを揃えることができていたので中盤で引っ掛ける場面は作れていた。しかしカウンターに向かう1本目のパスが通らない。清水は奪った後、素直に前方に出すパスが多い。速いカウンターを意識したのか、または唯人を使う意識が統一されていたのか。また神戸のシステムとビルドアップの特徴的に、内側のレーンに人数が多いので、そのまま前に出すと引っ掛かりやすい面はあったかもしれない。

 相手が中央に人が多いなら、一度レーンを変えるパスを交えてからカウンターに移行した方が強みを発揮する場面を作れたようにも思える。

清水の保持局面を見る。

 清水が後ろで持った時は、ほとんどサイドに向かって長いボールを蹴っていた。監督のコメントによれば攻撃のテコ入れはほぼしなかったよう。後ろで詰まる課題は持ち越しということで、蹴ってプレスを回避する安全策をとっていたのだろう。

 後ろで持つと、左右ともサイドバックを上げて、そこをターゲットにしている。こぼれたボールをサイドハーフが拾っての形を狙っていたようだ。

 試合を通してほぼつなぐ場面は無かったが、31分に見せた前進は、後ろから理詰めでボールを動かしチャンスに繋げた良い形だった。

 相手は中盤ダイヤモンドの4-4-1の守備。なので初期配置ではこちらのサイドバックを見る選手がいない。そこで神戸はサイドバックにボールが入るとダイヤの左右がスライドしてくる。その時、トップ下の中坂はアンカーポジションの選手を見るので、もう1枚のボランチがずれるとフリーになる。

 実際の場面ではボールを受けた片山に山口蛍がスライドしてプレス。中坂が竹内を見るので白崎がフリー。前にスペースでボールを受けた白崎にアンカーの扇原がつくと、白崎は逆サイドの原へ展開。原から相手のアンカーとサイドハーフの間のスペースにポジションした唯人へパス。唯人がドリブルで仕掛けて連続攻撃に繋がった。

 上記のビルドアップは相手の守備のやり方を見れば、事前にわかる攻め筋だ。安全策をとるのは仕方ない面もあるが、もう少しトライしても良かったかもしれない。

後半について少しと所感

 これまで早めの交代策を取ってきた平岡監督だがこの試合は、70分まで様子見だった。ここまで監督としては求めるものは、ある程度できているとの認識だったのだろうか。

 交代はまず神戸から。67分に中坂、リンコン、汰木に代わり、イニエスタボージャン、小田が入る。

 清水は守備時に人は揃えているが、人を捕まえる意識が強く、スペースは空けがち。イニエスタが清水の2列目ラインの手前を動いてボールをさばくと、ブロック間にスペースができてそこを使われる。また小田がサイドから仕掛けることでそれまで神戸に不足していた横幅も使われ始めた。

 清水の交代は主に体力面を考慮しての交代のようだ。しかし78分に投入した髙橋大悟の役割にこの試合への考えが表れていたかもしれない。試合後コメントにあったように髙橋を左サイドハーフに置いて左足でのクロスを上げさせる。それをコロリや栗原(唯人に代わって83分にin)に合わせる狙い。この試合、まず重視するのは無失点で、髙橋を中央に侵入させるより、組織を崩さず安定させて試合を進めたかったのだろう。

 少し、危なっかしくもあったが、無失点で抑えて0-0で試合は終了。この試合の最低限のミッションは達成できたと言って良さそうだ。