観戦メモ【2023年明治安田生命J2リーグ第31節 清水エスパルスvs町田ゼルビアの前半】

 前半は町田が固い守備をベースに流れを掴む。ボールを持てばサイドを中心とした縦に速い攻撃で清水ゴールに迫った。

 清水は最後尾では保持しようとするも上手く前進できず回収される→再び町田のターンへの流れとなっていた。

 

 試合開始直後の清水の後方保持。ホナウドがアンカー、シラが右脇、乾が左脇に降りる中盤3枚気味。
 町田の非保持はまず2トップがアンカーを挟む位置から。清水のCBが動かすとプレススタートし、SBにパスが出るとSHが早めにプレスをかけてくる。左脇降りて受ける乾にはボランチの松井が前に出て自由を奪う。

3:08

 上記の形でエリキが原のところではめてスローイン。その後、エリキのスローインを町田SB鈴木がファーにクロス。ファーで山原、鈴木宜と松井が競り合いこぼれたボールを髙橋がゴールを決めた。クロスが上がった時点でCB高橋と鈴木の間に町田の選手2人走っていて、ファーで競った時にはその手前で3人浮いていた。ロングスローを意識していたためかマークがあいまいになっていた。

7:20

 清水保持。ホナウドが右に降りて後ろ3枚でスタート。町田はエリキが怪我でピッチ外のため441。1トップに対し3枚は後ろに重たすぎる。ホナウドが持ったところで左SH高橋がプレス。ホナウドが縦に運んで乾に横パスも町田のブロックもそのまま下がったので結局1列目を越えず。町田の守備組織も動いていない。

 その後、白崎が右に降りて後ろ3枚。白崎は左SHの高橋を揺さぶるように中外をうかがう。白崎が降りた方が相手の1列目とSHを動かせる。

 ホナウドが下がって後ろ3枚になると白崎がアンカー位置に入る。右脇で相手を動かせる選手がいなくなり、乾のいる左からの攻撃が主となる。前半、中山がボールに触れる機会はかなり少なかった。

8:40

 空中戦で弾いたボールを山原拾ってドリブル。中を動かせずにカットされるならサイドを無理にでも剥がした方が良さそう。

13:35

 清水保持、GKから。原を高い位置に上げて左SB奥山にぶつける。そして権田からロングフィード。しかし奥山競り勝って原の裏のスペースでエリキが拾う。そこにホナウドがスライドして対応もさらに裏に髙橋大悟走ってパスが出された。ここはCB高橋のクリアで事なきを得るが、ホナウドが中央からスライドしたため中央には広大なスペースができている。

17:55

 町田のロングフィードのデザインは藤尾が右サイド少し降りた位置でターゲット。山原に藤尾をぶつけつつ、エリキも右に寄って、髙橋、平河で対応に出てきた清水DFラインの裏を狙う形か。

 藤尾を狙って逸れたボールを裏でエリキ。山原が対応した裏を平河が突くと鈴木宜が右にスライドしてくる。これで中央はCB1枚剥がした状態。

 町田はSHに縦突破できる速い選手を置いて、ボールを持ったら相手のSBと勝負させるようにサイドの裏を狙う。藤尾が右サイドでターゲットのなるのも含めて、サイドを中心に縦に速く攻める。突破できなくてもクリアされたボールをロングスロー。これが基本的な攻撃の形のよう。

22:10

町田2点目。宇野のサイドチェンジから平河。平河サイドを突破してクロスを上手く前で合わせられた。徹底的にサイド突破からクロス狙いだなと。

26:10

 乾が降りて松井が付いていく。松井が動いたスペースにカルリーニョスが入って縦パスを受ける。町田右SB鈴木が追撃してこぼれたが、カルリーニョスがそのまま拾って中央を剥がして右サイドに展開。

 右で白崎、乾と繋いで白崎は前へ。左SB奥山が内側に絞って、ワイドの原はエリキが下がって見ている。白崎が宇野の背後に回り込みむと、宇野が気にして少し右に動く。乾がその瞬間、宇野の左脇を通して奥山とエリキの間を割るようなスルーパス。原には通らなかったけど見事なコンビネーションだった。

 相手を押し込み、個人の戦術眼が発揮できる状況になると清水の攻撃は脅威。

30:32

 後方から原の裏を狙ったエリキ目掛けてロングフィード。開いたSB-CB間に平河がラン。そこを白崎がカバー。エリキが中を上がった宇野にパスした時に中央の守備者はホナウド一人。ここは中山が内側に絞ってカバーした方が良さそう。2列目にスペースができてほぼフリーで平河への縦パスの落としをエリキがシュート。

31:38

 清水GKからビルドアップ。清水ペナエリア近くまで乾が降りて鈴木からのパスを受ける。町田、右SH平河が乾にスライドしたが乾がターンで剥がす。そして中に運んで逆サイドの前線にパスしたが距離が遠くスライドした左SB奥山にカットされた。

 乾の受ける位置が低いため、剥がしても前との距離が開いてしまう。ミドルレンジのパスで出し所が読みやすいためスライドされてロストする場面が目立つ。

36分

エリキ負傷でバスケスバイロンと交代。

37:13

 左スローインから。1度後ろに戻して高橋から原へのパス。原はSH平河より高い位置でパスを受けたため相手陣内まで運べた。ここまでSBの位置が低くSHに対応されていたが、このくらいの高さで受けたい。

37:28

原が運んだ後、白崎への横パスをカットされる。そこにホナウドが寄せてくるが交わさると中央ががら空きに。乾が後ろからバイロン倒してチャンス潰しでイエロー。ボールにどんどん出ていくのがチームのコンセプトなのはわかるけど、状況的にはホナウドは中央に留まってバイロンの前進を遅らせた方が良さそう。遅らせて味方の帰陣を待てば乾のイエローもなかったはず。中央にスペースが生まれた理由は13:35とほぼ同じ。

39:30

 乾がSH-CHの間で受けて倒される。SH-CHの間、つまりライン上。受けて失敗すれば挟まれるけど、成功すればターンで置き去りにできるポジション。

42:29

 カルリーニョス内側に降りて松井が寄せる。その後ろ、わずかに出来たコースに乾が顔を出して鈴木からの縦パス。チャンミンギュ後ろから追撃。ファールでFKに。乾から山原に出し、山原のクロスを高橋祐がヘッド。弾いたところをカルリーニョスがゴールを決めた。

前半まとめ

 中央を締めつつ、乾も松井が強く監視したため清水はそのままでは前進コースがなかった。清水のCBはあまり動かせないのでボランチが下がって後ろ3枚になる。さらに乾は町田のコンパクトなブロックと松井のプレッシャーを嫌ってかなり低い位置で受けようとする。また中を使えない時に、サイドを使いたいけどSBの位置も低い。相手のSHより高い位置を取りたいが、CBの横にポジションして逃げ場所になろうとしたのかもしれない。

 自分がフリーで受けやすそうな場所に移動して受けてもいいが、もう少し前で留まり相手を止めたり、二択を作って迷わせるような動きがないとスライド対応されるだけ。降りてくることで、距離が開く&周囲に味方がいなくロングボールも対応されやすくなる。縦パスやロングフィードはほぼ対応されてそのまま町田のターンへの繰り返しだった。

 一方、町田は内側を締めたコンパクトな守備と乾を強く消してブロックの外に追い出した。

 ボール保持でもサイドを徹底的に使うダイレクトな攻撃で結果的に2得点。1失点はしたものの、狙いはほぼ遂行できたのではなかろうか。