J2リーグ 第8節 カマタマーレ讃岐戦 (前半だよ)

今回はちょっと長くなりそうなので前半と後半に分けてみます。(後半はこちら)
 
まず始めに前半スタート時のスタメンの配置を。
 
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こんな感じです。では本題にいきましょう。
 
・讃岐の攻撃と清水の1失点目について
 
讃岐はトップの木島がサイドに流れそのスペースに中盤や逆サイドの選手が入ってくるような動きのある攻撃を仕掛けてきました。清水の選手はサイドに流れた後に入ってくる選手への対応がやや甘くなっているように見えました。開始早々の先制点の場面を切り取ります。

清水は相手が1列目の脇でボールを持つとサイドハーフが早めにチェックに行きます。前線からの連動したチェックでブロックの中に入れさせず、パスコースを限定して追い込んで奪うのが清水の守備の形。サイドバックがボールを持ったところに村田がチェックに行き、村田が出た中盤のスペース、讃岐のサイドハーフがいる場所を川口が前に出てカバーします。
 
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トップの13番木島がサイドの低い位置に引いてきたので犬飼がそのまま付いて来てチェック。ここの対応は問題無し。川口が中盤のカバーのため中盤まで上がっているので、その裏に讃岐のインサイドハーフ10番高木が流れてボールを受けます。

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弦太が川口の後ろをカバーするためスライド。中央に開いたスペースを犬飼、本田が埋めに戻ります。ここまでも動き自体は悪くないように見えます。
 
中央を右のインサイドハーフの7番永田、右サイドから19番仲間が入ってきます。ここからクロスで失点ですが、福村がもっとがっつり寄せていれば失点を防げた可能性は高かったでしょう。しかし、カバーに戻った2人ももっと素早くラインに入ってあげればシュートを打った19番までボールが届かなかったかもしれません。清水は個人での守備能力はそれほど高いわけではありません。個人が頑張るのは当然ですが出来るだけ組織を整えて守る必要があったと思います。組織で追い込んで奪う守備力はかなり上がりましたが、ブロック内に入り込まれて個人の対応を迫られると危険な場面は多く見受けられます。動きで浮く選手を作られたり、ポストプレーでブロック内でボールを落ち着かされた時などは、まだ安心できる守備とは言えないようです。

・前半の讃岐の守備について

前半、讃岐は4-1-4-1のような形で守っていました。
 
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ポイントは25番、アンカーの岡村。清水は相手の守備が4人で作る4角形(図の白色のゾーン)の焦点でボールを受け、相手を動かすことによって出来るスペースを使って崩していく攻撃を繰り出してきます。楔を入れるプレーです。しかし岡村が中央のゾーンに始めから位置していることで1番危険なゴール正面への楔をまず封じています。なので清水の攻撃はサイドの四角形への楔からの展開になり、結果サイドからクロスを上げる形が多くなります。しかし、中へ寄せることで外を開けてクロスをあげるということは中に人数が揃っていることになります。清水の左では河井と福村のパス交換からクロスまで繋げる攻撃が見られました。しかしパスを繋いでいくほど中は強固に固められていくのでクロスを上げても中々得点の匂いはしてこないという状況でした。

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また、讃岐はラインのギャップを埋めるのがとてもスムーズでした。例えば清水がトップの脇を使って保持しようとすると中盤から1枚出てきてチェックにくるのですが、同時にそのスペースを岡村がすかさず埋めていました。またサイドを村田で直接はがしていこうとサイドバックを引っ張ると出来たギャップを今度は岡村は下がってそこを埋めに来るような形です。もし岡村が中央にピン止めされて動けなくても中盤の選手がプレスバックしてギャップを埋めてきます。組織として危険な場所をスムーズに埋める動きや後半見せたようにシステム変更を柔軟にこなすなど讃岐の守備の組織的な動きには敵ながら好感を持ちました。讃岐のセンターバックは基本的に中央を固めていたのでサイドバックと距離が離されることは多々ありましたが、このギャップを埋める動きで清水は押し込んでも使うスペースを見つけられず決定的なチャンスは生み出せずにいました。しかし前半も中頃を過ぎた辺りで清水はチャンスを作り出すあるスペースを見つけたようでした。

 ・見えてきた危険なスペース

開始直後はやや戸惑い気味だった清水ですがボールを保持することでペースを奪い返します。しかし保持はすれど厚いゴール前の壁を崩すことが出来ません。

やや変化が出てきたのは前半20分前後、もしかしたら同点に追いついた時には見えていたのでしょうか。清水は讃岐の守備ブロックの中に出来るあるスペースを使い始めます。村田に監督が声をかけていたのが映っていたので監督の指示があったのかもしれません。そのスペースとは

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黄色で丸をした場所。CBとSBの間のスペースです。基本的に讃岐はラインのギャップを埋めるのがとてもスムーズで通常はアンカー25番の岡村や他の中盤の選手がさっとそこを埋めるのですが清水はそれを防ぐような動きを見せ始めます。川口が村田の内側に位置しています。通常はサイドハーフが中に入りサイドバックに外を上がらせるのが清水のパターンですがその配置を逆にします。一度サイドに付け、ギャップを作り、川口でカバーの中盤を前に寄せて、中に戻してからのパスでギャップを利用します。
 
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外に出し、中に戻してからテセにパス。この場面ではテセが流れてそのスペースでボールを受けます。ついでにもう1つ場面。
 
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同じく村田がサイドに張り川口が中。黄色の場所にスペース。川口の前の11.馬場は川口を見ているのでスペースを埋めに後ろに下がれません。アンカーの岡村(画像内のは間違えて田村になってました。すみません。)がそこを埋めに走り出しています。

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しかしこれだけ余裕があるので、この後、村田はパスに先に追いついてクロスを上げることに成功します。

このように前半の途中から、讃岐のDFラインには危険なスペースが生じていました。このスペースを村田の突破、FWが流れて受ける、ボランチサイドバック川口の飛び出し、など様々な形で利用していました。おそらくチームとして共通して認識していたスペースだと思います。讃岐はここに対しては対応が後手に回っていました。前半は清水は攻勢を強めながらも同点のまま終了します。讃岐は後半この内容を受け対策を練ってきます。出来れば讃岐が対応しきれていない前半のうちに追加点を挙げておきたかったところでした。

前半の感想はこんなところです。後半についても幾つか書いてみたいと思います。