PITCH LEVEL

 岩政大樹さん著の「PITCH LEVEL」を読んで。素晴らしい本だったので書評や感想文を書いて残しておきたいのですが下手くそなのでやめておきます。その代わり、今まで考えていたことを含め、読んで頭の中でまとまってきたことを書いてみます。頭の中には浮かんていますが、文章はまとまっていません。しかも本の内容ともずれていることばかり。すみません。

 サッカーは自由なスポーツです。手を使ってはいけないというルールさえ守れば、ドリブルをしても味方にパスをしてもいい。ピッチ上のどこにポジションしてもいいし、いつどこに向かってどんなスピードでプレーしてもいい。全てプレーヤの判断次第です。
 自由ゆえにその時の選択肢は無数にあります。どれを選択すればゴールを奪えるか、または守れるかプレーヤーは無数の選択肢の中から正しいと思われる判断していかなくてはなりません。1つの表現としてサッカーとは変わり続けるその時その時の状況を認識して、それに対してどういうプレーをするか判断し、その判断を繋げていくスポーツだと言えます。

 ラインの高低、ポゼッションやカウンター、はたまた自分達のサッカーか相手に合わせたサッカーか。様々議論が繰り返されましたが、あくまでそれらは判断をする基準であったり、状況に応じた判断をした結果表れてくる現象であるといえます。それ自体、どちらが良い悪いはありません。良し悪しは変わり続ける状況に応じて、その判断が勝つために適切であったかで考えられるべきです。

 僕達はつい攻撃や守備をポゼッションが出来ているとか、ゾーンディフェンスが出来ているかと目に見える形だけで良し悪しを決めてしまいがちです。
しかし大切なのは目的に繋がる判断が出来ているかです。判断という基準で考えれば、攻撃とは相手より多く判断の選択肢を持てる状態を作って、相手が対応しづらい選択を取っていくこと、守備はその逆に相手の攻撃の判断の選択肢を限定していき追い込んでボールを奪うことと言えます。

 攻守共に選択肢の奪い合いであるならば、ボールのある位置を基準にするのが有利だと考えられます。ボールのある場所は始点です。スタートの選択肢が複数ならば次々と2択を迫っていけば攻撃の選択肢は倍々に増えていく可能性があります。逆に守備でスタートの選択肢を1つに絞ってしまえばその後の攻撃側の選択肢を削り、相手の攻撃を抑える判断がしやすい状態を作ることができます。

 このボール中心の守備という考え方はゾーンディフェンスの理論とも重なります。この際大切なのはゾーンの形ではなく、相手の選択を消していきボールを奪取するための判断をしてアクションするということです。  
 相手の選択を削る判断をしてアクションをしていけば、結果的に人を捕まえるべき時も、スペースを埋めるべき時も出てくるでしょう。言葉としてのゾーンやマンマークもラインの高さと一緒で結果として表れてくる形と言えるかもしれません。
 
 日本人は決められたことは守るが自分で判断するのが苦手と言われます。確かにそういう傾向はあると思います。ポゼッションと言えばボールを持つことこそ良いことと思ってしまい、ゾーンで守れといえばスライドやカバーの動きばかりを気にしてしまいます。
 では日本人は性質上判断ではヨーロッパの選手に敵わないのでしょうか。僕はそんなことはないと思います。

 サッカーに関してならば単に考え方の差なのではないかと思います。おそらく彼らが特別に複雑な思考処理をしているわけではないはずです。考え方のスタートとして認識して判断するということを上手く整理して指導出来きれば日本人でもヨーロッパの国々と変わらないプレーができるのではないかと思います。

 僕はサッカーファンとして見るだけの立場ですが、やはりこれまで戦術や技術といった基準で試合を見ていました。しかしそれらは手段であり、サッカーの一部に過ぎません。
 今ピッチ上はどのような状況で、それに対してどういうプレーをして結果として見えてきたのか。これまでより少し広い視点で試合が見れるのではないかと楽しみになっています。