ユベントスの4-2-3-1システムとアレッグリのコーチング哲学

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上のリンクの記事の翻訳です。翻訳と言っても僕は英語力がほぼ皆無なのでgoogle先生の翻訳にほぼお任せですが...。意味が繋がらない部分は適当な想像で繋げてしまいました。全く違う箇所があるかも知れません。お許しを。それでは、以下本文となります。

 マッシリミーノ・アレグリは彼の指揮するユべントスにおいてここ最近は4231システムを採用している。
 批評家やメディアは、彼のこの戦術的な調整を賞賛した。多くのユべントスファンはこの変化を喜び、他の人達はむしろもっと早くこのシステムを作るべきだったと評している。
 ここでは、私はこの4-2-3-1の構成と戦術の機能を分析する。比較対象としてジョゼ・モウリーニョインテルでの”Treble-winning team(2009-2010年のCL、セリエA、イタリア杯の3冠達成チーム)” を使用する。そして、ここ数ヶ月にユベントスが使用したいくつかの戦術と、今シーズンの全体的な戦術についても議論する予定だ。うまくいけば、これらの考察が、”アレグリの指導哲学とは何であるか?”という質問に答える手助けになるだろう。

4-2-3-1フォーメーション

 4-2-3-1は、インテルが2009-10シーズンにトレブル(3冠)を獲得したモウリーニョのチームが最も有名になっている。アレグリの戦術を理解するためにはモウリーニョの戦術をまず理解する必要がある。まずモウリーニョの4-2-3-1フォーメーションについて簡単に説明しよう。

 ディフェンスはGKのジュリオセザールから始まる。ゴールの前はルシオとサミュエルの2人のセンターバックで守られている。マイコンとキブは右と左のフルバック、Jサネッティは左右どちらのフルバック(またはフルバック以外のポジションでも)でもプレーすることができる。 ダブルピボーテは、カンビアッソチアゴ・モッタで構成されている。ウェズリー・スナイデルは古典的な10番だった。2人のウィンガー、ゴーラン・パンデフサミュエル・エトーがトップのディエゴ・ミリートをサポートしていた。

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 モウリーニョの4-2-3-1はいくつかの重要な戦術的要素を持っていた(インテルに限らず、彼が指導したほとんどすべてのチームでも)。

1.中盤のダブルピボーテ2人のミッドフィールダーはポジションは同じだが、各々独特の性質を持っている。 1人の守備的ミッドフィールダーはゲームのテンポを支配するために優れた長短のパスを駆使できる能力を持っていなければならない。この役目は通常はティアゴ・モッタであった。一方、もう1人のピポーテ、カンビアッソ初期の攻撃フェイズにおいてセンターバックフルバックがビルドアップするのを助け、ボールの前進を促進する任務を与えられていた。またフルバックが攻撃参加した際の後方の守備のカバーの役割も与えられていた。これらのタスクは、戦術的インテリジェンスを持つプレイヤーが請け負う必要がある。カンビアッソは当時、この能力を持つ数少ないプレイヤーの1人だった。 現在では、ユリアン・バイグルがトーマス・トゥヘルが指揮するドルトムントの4-2-3-1システムにおいてこれと同様の機能を持っている。

2.中盤のダブルピポーテが対戦相手を彼らの方に引き寄せることにより、インテルディフェンダーがボールを前方に持ち上がる機会を作り出す。そのためモウリーニョはいつもボール扱いに優れたセンターバックを好んで起用する。インテルでは、ルシオがそのような役割を担っていた。

3. ウイングは、少なくとも1人は逆足ウィンガー(時には2人)を起用することが特徴だった。 エトーインテルでこの役割を完全にこなしていた。彼とパンデフはしばしば中央に切り込んでシュートを撃っていた。

4.モウリーニョのチームはいつもクラシックな10番を起用することを特徴としていた。インテルでは当時キャリアのピークを迎えていたスナイデルを10番として獲得した。

 上記の特徴が、4-2-3-1を優れたシステムに作り上げている。そしてその狙いは相手のエラーを利用し、自分達のミスを最小限に抑えることだ。「優勝するチームとはミスが最も少ないチームだ」というモウリーニョの信念は有名である。彼は相手にポゼッションを与えることで、自分達のチームのミスを少なくしようとする。彼の4-2-3-1フォーメーションは、1つの目的のために作られている。相手のエラーを最速で攻撃することである。まずゴール前にバスを並べる4-5-1のフォーメーションで深い位置に構えることからスタートするこれは自チームがエラーを起こす可能性を最小限に抑えつつ、相手のチームがエラーを起こすのを待つためである。彼らが相手のエラーを感知すると、彼のチームはすぐに4-2-3-1に変わり、次に4-3-3に変化する。逆足のウイングがモウリーニョのチームにとって重要ななのは、両方のウイングからのカットインがシュートやアシストの機会を作り出すからだ。このポジションにエトーを置くというモウリーニョの選択は、彼の信念ートリックのような技巧など必要ない、得点を奪うことこそ全てだーを良く表している。もし攻撃中にボールが失われた場合、4-3-3フォーメーションによって即座にプレスに移行することができ、相手に強制的にエラーを引き起こさせることができる。このフォーメーションの切り替えと切り替えを達成するのピードがモウリーニョの4-2-3-1の鍵となっている。

ユベントスの4-2-3-1:守備のフェーズ

 ユベントスの4-2-3-1は古典的な4-2-3-1と基本的な部分はよく似ている。


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 ラインナップは以下の通りだ。ユベントスでは上手くパスを通せるレオナルド・ボヌッチとボールを前方に運べるジョルジョ・キエッリーニというセンターバックを特徴としている。

 攻撃的なダブルピポーテのミレラム・ピアニッチサミ・ケディラは、それぞれチアゴ・モッタカンビアッソと同様の質を持っている。

 しかし、ピアニッチケディラインテルの2人に比べると守備は堅実ではない。

 ユベントスにはクラシカルなタイプの10番はいないが、パウロ・ディバラはそのポジションでプレイするためのより高い質を持っている。

 アレグリはこのシステムで伝統的なウィンガー(ファン・クアドラード)と一見それとは特徴が反対と思われるウィンガー(マリオ・マンジュキッチ)もプレイさせている。

 しかし、アレグリのよって行われる潜在的な戦術コンセプトはモウリーニョのそれとは違っている。

 先ほど述べた通り、モウリーニョのチームは、4-3-3、4-2-3-1、そして最後に4-5-1とシームレスに移行していく。4-3-3は初期の防御フェイズ中に相手にプレッシングをかけるために用いられる。もし相手が最初のプレスに対抗することが出来れば、モウリーニョのチームは素早くミッドフィールドを2層にした4-2-3-1にセットする。4-2-3-1の中盤の配置よって加えられるプレスの圧力は非常に高い。もしそれでもボールを奪取することが出来ない場合は、ゴール前にバスを並べる深い防御の4-5-1へ移行する。

 一方、ユベントスモウリーニョのチームと同じやり方では守備をしていない。4-3-3または4-5-1への迅速なトランジションによってアドバンテージを得るというのはユベントスには当てはまらない。なぜなら、シーズン初めの数試合は別としてユベントスは殆んどの試合を4-4-2で守っていたからである。ユベントスが中盤4人の4-3-1-2でもアタッカー4人の4-2-3-1でも、ユベントスは常に守備の局面では最も基本的な3ラインの4-4-2を形成して守備をしていた。

 4-4-2は最も基本的な編成であり、実装するのが最も容易で簡単な形状である。防御するための3つのラインがあり、どのポジションでもすぐ後ろまたは正面に1人のプレーヤーがポジションしている。全てのプレーヤーが守備時に連携を保つための基準点が確保されている。4-4-2は防御的な形を失うわないためには最も良い方法ということができる。

 4-2-3-1でプレイするために、アレグリは3-5-2や4-3-1-2または4-3-3でプレーする時に比べて彼らの守備戦術を調整する必要が出てくる。

 ケディラピアニッチのダブルピボットは、十分な身体的能力と守備力を持っていない。したがって、ユベントスは主に2つの戦略を使用してケディラピアニッチの守備的な負担を減らしている。まず攻撃の局面中に対戦相手の陣内でボールを失った場合、ユベントスの攻撃プレーヤーは相手に対し迅速にカウンタープレスをかけてボールを回収し相手の攻撃局面への移行を遅らせる。それらについては以前記事にしたので、ここでは詳細を省かせてもらう。もし彼らがボールを奪い返せない場合、彼らはすぐに4-4-2の守備的な形になる(ディバラがイグアインの後ろにポジションすることが多いので4-4-1-1とも呼ぶことが出来る)。この形を取る時は、クアドラードマンジュキッチが両サイドのポジションに入る。モウリーニョのチームとは異なる点は、チームが中盤で強烈なプレッシャーをかける守備段階がないということだ。 ユベントスの守備は非常に高いプレスと時折のカウンタープレス、それ以外は非常に深い位置での4-4-2で行っている。

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 彼らの4-4-2はライン間が狭くコンパクトだ。 マンジュキッチクアドラード、ディバラ、イグアインは守備のフェイズ中にピアニッチとディバラをサポートしなければならない。ゆえにこの狭さとコンパクトさが必要になってくる。

 この形はディエゴ・シメオネアトレティコ・マドリードと似ている。しかし一番の違いは、アトレティコ・マドリードは相手のボールを自分達の奪いたい場所に押しむ非常に積極的な守備をしているという点だ。それとは対照的にユベントスの4-4-2は受動的だ。その理由はユベントスの前の6人(中盤と前線)がいずれも1対1で強い守備が出来る選手ではないからだ。彼らが積極的に相手を追いかけ過ぎると、(奪い切れずに)味方がカバーしなくてはならないスペースを相手に与えてしまう。対戦相手はユベントスの最初のプレスさえ交わせば、ユベントスの守備をオープンにする機会を増やすことが出来るだろう。

 ユべントスは4試合で4-2-3-1を使用しており、それはかなり安定していた。守備に局面でも大きな亀裂は見られない。しかし彼らには幾つかの潜在的な弱点が存在している。この選手構成では中盤の抵抗力を欠いており、彼らはピッチの半分辺りまで深く下がって守らなくてはならない。対戦相手としてはピッチの半分深くまではボールを保持して前進することが出来る。それは対戦相手により危険な位置でボールを持たれる可能性が高いことを意味している。下の統計には次のようなデータが示されている。

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 異なるエリアで対戦相手のパス数の平均パーセンテージを計算すると、ユベントスのディフェンシブアサードに入るパス数は6%増えている(4231と4312を比較した場合かな?)。6%と言ってもあまり多いと感じないかも知れない。しかしセリエAの平均パス数が約440である。つまり6%とは約27回のパスを意味している。したがってユベントスは他の構成の時と比べて3分30秒に1度の割合でディフェンシブサードで相手のパスを受け止めていると言える。レアルマドリーなどヨーロッパのトップクラスと対戦するときはこれが大きな問題となってくる。

 もう一つの問題は、攻撃的なプレーヤーが彼らの労力を守備的ミッドフィーダーを補助するために費やさなければならないため、試合が進むにつれて攻撃の鋭さが落ちてきてしまうということである。これは(多くの理由の内の1つかも知れないが)ユベントスが前半に得点が多く、後半に試合を締めることが出来ないという現象の理由にも繋がっていると考えられる。あなたが疲れている時に冷静になれないのと同じ理由だ。

 最後に、非常にブロックを狭く、コンパクトにする形状は相手に対して守備の圧力を高めることが出来るが、ブロックの側面にボールを広げられると非常に苦しむことになる。例としては2016年チャンピオンズリーグ決勝だ。レアルマドリーはピッチを横切るようなパスを方向を変えながら何度も使い、アトレチコマドリーのコンパクトな4‐4‐2のブロックを広げていた。

 モウリーニョの4-2-3-1のように守備局面で異なる形に切り替わる方法では厳格な規律が必要となってくるが、それと比較するとアレグリの4-2-3-1における守備局面での振る舞いはよりシンプルだ。それはただの4-4-2だからだ。チームに植え付けるのは簡単だ。コンパクトさ、圧縮で待ち構えて、中盤の2枚のピポーテのフィジカル的な弱点をカバーするのだ。

ユベントスの4-2-3-1:攻撃の局面

 ほとんどの人々が最も技術的に優れ、最も才能のある選手が配置されているユベントスの新しい4-2-3-1にとても好意を持っている。私は新しい攻撃の配置、すなわち「逆足ウィンガー」とダブルピポーテが非常に効率良く機能する理由を2つの戦術的側面から議論していく。

逆足ウィンガー

 この逆足ウィンガーはモウリーニョの戦術において特徴的なポジションだ。彼がインテルで行った一つの天才的な功績は、エトーにそのポジションでプレーすることを納得させたことである。エトーはそのポジションでプレーをすに非常にすぐれた才能を持っていた。彼のスピード、フィジカル、そしてテクニックはカットイン、シュート、そしてアシストすることを可能にした。彼のストライカーの本能は、決して不必要なトリックを駆使したせずゴールすることだけを求めていた。

 ユベントスの4-2-3-1フォーメーションではアレグリはマンジュキッチを左の「逆足ウィンガー」として起用している。しかしマンジュキッチは普通の逆足ウィンガーが通常やるようなプレーをすることはない。マンジュキッチはカットインしてシュートやパスをする能力は持っていない。私の意見を言えば、”逆足ウィンガー”という言葉ではユベントスのシステムの中で彼がどのようなプレーをしているかを説明出来ない。より適切な言葉を使うなら、「ウィンガーのスーツを着たストライカー」といったところだろう。

 この4-2-3-1システムの中でマンジュキッチは、彼の得意なプレーをやっている。つまり、フィジカルを生かし、背中で相手を背負うセンターフォワードのストライカーとしてのプレーだ。違いと言えば、これまでとは違うエリアで、違うマーカーに対してプレーしているという点だ。通常は彼は最前線のプレーヤーだ。しかしユベントスでは守備で左ウィングというポジションを担っているため、守備から攻撃へのトランジションの時には、彼は左サイドのエリアにいることになる。したがってマッチアップとしてはマンジュキッチは相手の右のフルバックによってマークされることになる。相手のセンターバックは自分のマークがあるため右のフルバックをすぐにフォローすることは難しい状態だ。マンジュキッチの新たなポジションは今や対戦相手に多くの問題を与えている。一般的にセンターバックの選手はマンジュキッチと同レベルのフィジカルを有している。しかし、フルバックの選手は一般的にはそれほどフィジカルに恵まれてはいない。彼らはオーバラップをするために機動力と軽快さが重要視されるため、一般的にサイズが小さい。したがって彼らはしばしばマンジュキッチを封じ込めることが出来なくなっている。

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(原文は動画)ここではラツィオのパトリックはボックス前でマンジュキッチに押し下げられている。彼はマンジュキッチにとマッチアップするにはサイズが小さすぎる。マンジュキッチはディバラをのプレーを助けるため時間、空間、自由すべてを作り出していた。

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(原文は動画)ここではサッスオーロの右サイドバックのルカ・アンティがマンジュキッチを中盤近くの左サイドのエリアでマークについた。マンジュキッチはアレックス・サンドロのオーバーラップを助けるためボールを遮った。アンティはパオロ・カンナバーロが復帰するまでセンターバックでプレーしていたように、マンジュキッチにも対抗できるフィジカルを持っている。しかし彼は通常、それほどゴールから遠く離れたエリアではプレーしない。そして普通のセンターバックに比べてマンジュキッチがボールを離した後に元のポジションに戻ってカバーをするスピードを持っていない。

 新たなポジション、左ウィングでのマンジュキッチのフィジカル的な強さは非常に危険であった。インテルとの試合では監督のステファーノピオーリはスタメンを変更して3バックで守備を行いマンジキッチに対応するためにジェイソン・ムリージョを右サイドで起用しなけれがならなかった。

 多くの人は彼の惜しみないハードワークを賞賛する。その反面、彼はフィニッシュの場面で落ち着きを欠いているとの批判も多い。私は彼の決定力の低さは、他の仕事であまりに多くのエネルギーを費やしているからだと思っているが、それらの批判は概ね真実だと思う。しかしマンジュキッチは現在彼が得ているより多くの信頼を受けるべきだと思っている。彼はユベントスがこのシステムを機能させるためのキーマンの一人です。彼はよりゴールに近づける最前線のポジションを諦めて、左ウィングのポジションでプレーしている。彼は不平を言うことはなく、それを完全に受け入れています。ほとんどのストライカーは得点を挙げることの出来ないポジションを与えられたら不満を抱くだろう。マンジュキッチは真のプロフェッショナルなのだ。

ダブルピポーテ

 4-2-3-1の2人の中央のミッドフィルダーはボールを前進させる、相手の攻撃を防ぎカバーをするなど非常に重要な役割を担っている。この考え方はモウーリニョのインテルまたはトゥヘルのドルトムントにとっては真実だ。モウリーニョインテルでは、カンビアッソはチームメイトのポジションを調整する任務が与えられた。 フルバック(通常マイコン)やルシオが前に出れば、カンビアッソはそのポジションをカバーするために戻った。ヴァイグルはドルトムントで同じ役割を果たしている。彼の動きはドルトムントディフェンダーが攻撃参加していくことを可能にしている。

 ユベントスの4-2-3-1では、通常ケディラがそれらの役割を果たしている。彼はカンビアッソやヴァイグルのように守備が出来て、戦術的インテリジェンスが優れている。 我々はマルキージオも将来的にはこの仕事をすることができるのではないかとイメージしている。

 ユベントスのダブルピポーテは、モウリーニョインテルのダブルピポーテに似ている。 しかし生じる結果にはいくつかの違いが出てくる。我々は先にアレグリが守備局面では狭くコンパクトな4-4-2によってダブルピボーテを保護する方法について述べた攻撃の局面では両方のミッドフィルダー、特にピアニッチは優れたパスを通す能力を持っている。相手チームは早めにプレッシャーをかけてボールを放棄するよう仕向けなければならない。これはむしろ興味深い結果をもたらすことになる。

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 ここでラツィオの選手は、ケディラピアニッチの両方をマークしている。ラツィオ(そして大部分のセリエAのチーム)は3人のセントラルミッドフィールダーを配置したシステムなので、2人がケディラピアニッチをマークするとより深い守備位置のミッドフィールダーがディバラをマークする必要がある。2つのウィングはユベントスフルバックをマークしなければならない。したがって、ユベントスの2枚のセンターバックに対してマークする前線の選手はストライカーの選手(ここは動かせない)1人だけとなる。この状況は対戦相手に2つの問題を引き起こさせる。イグアインが中盤に降りると、相手のセンターバックは中盤までは動きたくないため、彼を追跡する選手がいなくなる。対戦相手は3人のミッドフィールダーとストライカーがすべてマークを持っているので中盤には多くのスペースがあり、多くの異なるパスレーンを容易に作り出す。

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 ラツィオとの試合の2ゴールはこの形から生まれている。キエッリーニはノーマークで妨げられることなくパスを出している。イグアインマンジュキッチラツィオの中盤後方でプレッシャーの少ない状態で縦パスをコントロールすることができた。 そして彼らはボールを右に振って最終的に2つのゴールを奪うことができた。

 対戦相手にとってのもう一つの問題は、上記のシナリオではユベントスセンターバック、特にキエッリーニがフリーで前進できることである。

 キエッリーニの前に出る機動力というのはしばしば見逃されている。このキエッリーニの走りというのは対戦相手にとって非常に危険な物だ。理由はそのスピードそしてユベントスのシステムだ。対戦相手のフォワードとミッドフィルダーはほとんどマッチアップで食い止められている。そのため、フリーのキエッリーニの走りで相手のディフェンスを切り裂くように開かせることが出来るのだ。

 キエッリーニはボールを保持するのが好きで、チャンスがあれば前に出ようと強く望むタイプの選手だ。これはおそらく彼がセンターバックとして固定される前は左サイドバックとして選手のキャリアをスタートした選手だからだろう。(ファンへの興味深い事実、キエッリーニフィオレンティーナにレンタルされた時にブレークした選手だ。彼はフィオレンティーナでは左サイドでの強力な攻め上がりを見せていた。彼は始めはユベントスに戻ることを希望しなかった。彼はその後カッペロのチームでプレイし、さらにセリエBでもプレイした。クラウディオ・ラニエリがローマ戦センターバックに起用するまで彼は左サイドバックでプレイしていた。それが彼がセリエAセンターバックとしてプレイする初めての機会だった。理由は彼が我々のチームのセンターバックとしてはまだ良い選手でなかったというのが事実だ。実際に、その時センターバックをプレーすることになっていたのはドメニコ・クリシトだったが、その時には経験が足りずあまりにも脆弱だった。彼らのポジションが今、完全に入れ替わっているのは非常に面白い。)

将来的にはいくつか問題が生じる可能性があるだろう。これらのメリットを得るには、キエッリーニまたはボヌッチがプレーしなければならない。バルザーリ、ルガーニ、ベナティアもそのようにボールを運ぶことが出来ない。ボヌッチでさえキエッリーニのようなプレーはしない。そしてボヌッチは怪我をしていらいトップコンディションを維持していない。

この問題に対処するため、あるチームはピアニッチケディラへのパスコースを消すようにカバーシャドウのポジションを取りながらプレスをかけてくる。それにより味方のポジションがずれスペースを作るのを防ぐ。ラツィオは試合の後半このやり方でかなり上手くやっていた。

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 このケースではピアニッチケディラセンターバックのためにパスコースを作るように、より注意深く賢くプレーする必要があります。

この先、このラインアップで注目していくこと

 このシステムと選手構成での課題は何だろうか?ユベントスはこの形でまだ4試合しか試合を行ってない。それは深刻な問題ではないが、今後発生すると思われる潜在的な課題を推測しそれについて検討していく。

 彼らがさらによくなるために出来ることがいくつか考えられる。まず最初がディバラだ。私は彼のプレーが良くないとは思わない。むしろ良くやっている。しかし皆の彼に対する期待はとても高い。何故なら多くの人達が彼は絶対的な世界クラスのプレーヤーになれるはずと信じているからだ。私はディバラはまだ自分の役割を完全に解釈していないのではないかと感じている。彼はもっと得点を奪いたいと思っているだろう。そして時にはシュートをフリーで撃つために余分なドリブルや走りをしてしまう。しかし、それでは相手は彼の動きを簡単に読んでしまうだろう。このシステムではディバラはスナイデルのようにプレーすべきだ。スナイデルは常にライン間のスペースを出入りしてパスコースを探し、ドリブルやシュートの前に相手の守備を崩そうと試みる。私はディバラはとても良いプレーヤーだと思う。しかし彼の動きが相手に予測できないようになれば、このシステムは爆発的になってくるだろう。

 2つ目の課題は、もしアレグリが起用する前線の大駒にくらべるとると、ベンチメンバーが少し軽いことである。次に攻撃的なメンバーとして考えられるのはマルコ・ピアツァとプリメーラティーンエイジャー、モイーズケンだ。アレグリはピアツァの育成を急ぐ必要がある。私はアレグリを批判してはいない。ピアツァは長い間試合に出ていなかった。彼はまだ未熟で、ユベントスはピアツァが試合感を取り戻すまでいくつかのポジションを試している。しかし今。ピアツァをフィットさせるためにリスクを冒す必要がある。またケンにもっとプレーさせる必要があるかもしれない。マンジュキッチイグアインが試合に出れないか、負傷しているか、または主要メンバーが疲れている間に、彼らがプレーする試合を追いかけることになるかもしれない。

 3番目の問題は、チャンピオンズリーグに復帰して試合が週に2回になった時、今のままプレーし続けるのが不可能になるいうことだ。アレグリは4-3-2-1を使わなければならない。また4-2-3-1でプレーする前にサブの選手を起用するかもしれない。私の意見としてはストゥラーロをもっと起用すべきである。多くの人が彼をあまり好ましくないと思っている。彼の技術の低さとパス能力の欠如は明らかだ。しかし彼は他のミッドフィルダーにない利点を一つ持っている。彼はフィジカル的に守備が強く、優れた戦術的センスを持っている。この例を考えてみよう。

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 守備局面で彼が4-4-2のウィングのポジションをとる時、相手へプレスをかけるように任されている。しかし彼はボールホルダーに対していつでもプレスをかけるだけではない。彼は味方がしっかりと周囲のスペースを消している時だけプレスをかけに行くのだ。チームメイトが理想的なポジションに入ると(パスコースをふさぐことができている時)、彼はプレスを開始する。彼は常にボールを保持できる選手ではないが、ボールホルダーに対して十分なプレスをかけて、味方がボールホルダーから奪取することを容易にするという仕事をする事ができる。

 この種の戦術的能力を持つ選手はなかなかいない。戦術的な意味をまだ身につけていないレミナとポジショニングを比較すれば明確だ。また、ストゥラーロはしばしばボックス内でフリーになれる場所を見つけ出すートリノ戦、またはローマ戦でのいくつかのチャンス、ボローニャ戦でのPKなどのように。彼はそれらのチャンスをどれも決めてはいない。しかし、私はそれは信頼と経験の欠如からきていると考える。それは彼がそのような状況で常にボールを強く打ちすぎるという事実が示している。 彼は技術的に悪くはない。しかし経験と自信が必要なのだ。

 しかし、彼が攻撃面がより良くなるかは大きな問題ではない。アレグリは彼をもっと使うべきだ。そうすればユベントスは守備の時に全選手を自陣の深い位置まで下げて守る必要がなくなる。彼とマルキージオケディラピアニッチと一緒にプレーさせれば中盤の抵抗力を高め、4バックへの負担を緩和することが出来る。イグアインマンジュキッチ、ディバラの守備負担も減少する。 トマス・リンコンもいるが私達は彼のプレーをほとんどまだ見ていない。

これまでのアレグリのパフォーマンス

 4-2-3-1フォーメーションの採用はアレグリに多くの賞賛を与えることとなった。しかし批判もある。我々の多くは彼はもっと早く3-5-2フォーメーションを放棄するべきだったと思っていたが、彼はあまりにも保守的でチームも上手く行ってなかった。
 
 リーグでの4つの敗戦はすべて3-5-2でプレーした時のものだ。私は彼らが異なるシステムでプレーした時に認められたゴール数を比較する。

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 事実、3-5-2でプレーしている時が1試合あたりのゴール数が一番低くなっている。したがって、ユベントスは3-5-2の時が一番結果が悪いという意見と一致している。しかし、我々が注目しなければならないことの1つは、リーグでの4つの敗戦はみっどウィークでの試合であったということだ。彼らが2つの試合(インテル戦とジェノバ戦)を落としたのはチャンピオンズリーグでセビージャと試合をした後であるということだ。さらに彼らは10人でリヨンと戦って勝った後の試合でミランに敗れた。彼らはアタランタとミッドウィークにコッパ・イタリアの試合をした後、フィオレティーナに負けた。

 ユベントスは6年間ほぼ3-5-2でプレーしている。セリエAのチームは全てこのフォーメーションの長所、短所を知っている。特に意外な要素はない。したがってユベントスはこのフォーメーションで試合をする時は完璧に近いパフォーマンスをする必要がある。そしてそのような集中力でミッドウィークの試合を行った後、次の試合まで選手達が100%のフィジカルとメンタル状態を維持できるとは限らなかった。それを想定していなかったのはアレグリの責任だ。

 しかし全体的にユベントスのパフォーマンスは悪くない。ここで今年のユベントスと過去9年間のセリエA優勝チームの得点、失点、勝点を比較してみる。

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 もしこれらのパターンが成立するならばユベントスの勝点は94ポイントに近づくことになる。アントニオ・コンテ監督の最終年である3年目の全てを成し遂げた偉大なチームを除けば、最も多くの得点と勝点を得ることが出来る計算になる。しかし一方、モウリーニョインテル以外のチームの中では一番ゴールを許している。したがって今年のパフォーマンスはこれまでのユベントスと比べて悪いわけではない。アレグリの戦術が悪いとは言えない。でなければ彼らはより多くの得点や勝点を得ることが出来ないだろう。唯一の反論としては、ユベントス保有している選手であれば、もっと多くの得点と勝点を挙げられるのではないかおいう点だ。しかしこれを検証するのは不可能だ。いずれにせよ、過去10年で2番目に高い数字を残そうとしているチームを批判するのは少し難しいと思う。

 彼の4-2-3-1は賞賛に値するだろうか?私は賞賛に値すると思うが、それはただシステムや選手構成を変えたという理由だけでない。重要なのは、彼が今シーズンにした仕事だ。チームの進歩を振り返ってみよう。まず標準的な3-5-2システムがある。その後、彼はゆっくりと新しい選手を組み込んでいき、さまざまな戦術(ディバラをライン間でプレイさせる、4-4-2の守備体制、カウンタープレッシング)を導入する。その後4バックに変更してより多くの戦術を導入(ビルドアップのスタート時の3バック併用、イグアインをトップで起用しマンジュキッチをサイドに開かせる...など)する。それらについて考えると、彼が行ってきた全てが現在のチームのやり方を可能にすることに繋がっており、私はこれらの仕事は賞賛する価値のある物だと信じている。

アレグリのコーチング哲学

 アレグリのようなコーチを時折特徴付けることがある。彼のコーチング哲学を説明する最も簡単な方法は他のコーチと比較することだ。私達の最愛のコンテは、モウリーニョ、ファビオ・カッペロ、またはペップ・グアルディオラのようなタイプに属している。これらのコーチはやっているサッカーのタイプは異なっている。カッペロのチームは強制的にトランジションを起こすためにプレッシングを行う。モウリーニョのチームは対戦相手のエラーを利用するために非常に迅速なトランジションサッカーを行う。グアルディオラはポジショナルを用い、ゲームを支配するために11人での攻撃的サッカーを行う。だが、彼らは規律を要求するコーチだという点では共通している。規律はプレーヤーが様々な段階で非常に複雑なタスクを実行するために必要なものだ。コンテのフットボールもこれと同じだー試合中に繰り返されるあらかじめ決められた動きがみられる。

 アレグリは、マルチェロ・リッピカルロ・アンチェロッティのようなコーチに近いタイプだ。彼らは守備の規律を要求するがーまあ、守備の時に守らないことなどないだろうが)ー彼らの攻撃は、より多くの読みと反応が必要となる。したがってこれらのコーチにとって攻撃の局面中はシンプルさが必要とされるだろう。リッピとアンチェロッティのチームはシーズン毎に違うフォーメーション、違う戦術でプレイする。選手の事前に決められた動きは限られている。彼らは常に最も創造的な選手に魔法のプレーを発揮させる。攻撃の局面で唯一事前に決定されている戦術は、ファンタジスタがどこで相手にダメージを与えることができるかを見つけ出すことである。

 アレグリがリッピがユベントスで成し遂げたことを達成できるよう、みんなで望むこととしよう。