エスパルスvsレイソル エスパルスのコーナーキックからの得点

エスパルス1点目のコーナーキックについて。


レイソルはゾーンの守備。

並びは以下の通り。

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大谷をニアに置いて北川を監視。ジョンス、江坂、ポギョン、クリスティアーノの4人が柏では競り合いに強いメンバーだと思われる。その4人がニアにボックス型を作っていると見ることも出来る。いずれにせよニアの方から強い選手を並べているのだろう。

中川、小池がショートコーナー対策とカウンター要因。

清水の配置は以下の通り。

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キッカーは金子。右利きなのでアウトスイングのキックになる。セオリーとしてはニアで合わせる場合とファーからの折り返しはインスイング。正面から叩くように合わせる時はアウトスイングが有効と言われている。

ボックス内には6人。北川をニアに、残りの5人はファー側に弧を描くようにセットしている。

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金子のキックは北川に向かって越えるようなボールが蹴られる。北川がニアで合わせるように前に出ると大谷、江坂が北川をマーク。パクジョンス、クリスティアーノの間にスペースができる。

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そのジョンスの前のスペースに向かいフレイレが入って行く。パクジョンスはフレイレと競り合う。これでニアの4人の内3人が消える。

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パクジョンスがいたスペースにテセがクリスティアーノの死角から入ってヘディングシュート。ニアよりだが正面から叩きつけるセオリー通りの形。

このコーナーのポイントはパクジョンスという相手の一番強いところをフレイレで潰して、テセというこちらの一番強いところをフリーにしたこと。北川とフレイレのスペースを作りだす動き、金子のキックの精度、テセのヘディング。

見事なデザインから、ゾーンの守備の弱点を攻略した完ぺきなコーナーキックからのゴールだった。

明治安田生命J1リーグ第11節 清水エスパルスvs柏レイソル レビュー

・柏の攻撃と清水の守備から見てみましょう。

柏がボールを握り攻撃の局面を作り出す、清水がセットして守るという時間が多い前半でした。

 柏はCBとボランチの4枚で清水のファーストディフェンスを剥がし、2トップ裏または左右の2トップ脇をビルドアップの出口として狙っていました。

 それに対するのは清水のファーストディフェンス。清水の守備は442。テセ、北川の2トップは相手のCBをマンツーで見るのではなく、2トップ裏の相手ボランチへのコースを切るといういつも通りの守備を見せます。もし2トップ裏に通されればボランチの河井か竹内が前に出て潰しにきます。これは清水がチームとしてまず中央のコースを消す守備をしているということを表しています。そしてサイドハーフの初期設定は中盤の位置で44ブロックを形成。

 ということで柏は2トップの裏でなく主に2トップ脇を出口としてボールを前進させていきます。

 数の論理はピッチの真理とは別ですが、観戦の理解の補助には役立ちます。柏のビルドアップ隊が4人。その内3人で清水のファーストディフェンダー2人を数的優位ではずして、1人がビルドアップの出口でボールをもらう、というように見ることもできます。

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 例えば中山、パクジョンスと大谷で2トップを左側に寄せて、2トップ脇の右側に移動したキムポギョンに出すみたいな形。その他には大谷が降りてCBが左右に広がる、中山が2トップ脇に運ぶというのも1つの形です。ファーストディフェンスの外し方が上手いのが柏のビルドアップの特徴でした。

 キムポギョンが左の2トップ脇を取った時を例に考えてみましょう。
 
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 2トップ脇の相手に対して清水はサイドハーフの白崎が斜め前に出て対応します。サイドにいた白崎が内側にくるのでサイドの入り口が空くことになります。

 サイドが空いて前進しているSBの小池にパスが出ます。SBには二見が出て対応。二見がサイド側に出るのでフレイレとの間、ハーフゾーンが広がります。柏の大きな狙いとしてはこのハーフゾーンを広げて利用するということだったと思われます。そして最終的にはハーフゾーンを狙うことで中央の守備をずらして江坂と中川の動きでスペースを作りシュートに結び付けていきます。

 右であれば伊東が突破力を活かしてクロスやカットイン、また伊東がサイドに張って中を小池がアンダーラップで入ってきり、中を締めたら大外のサイドをドリブル突破などの方法が考えられます。しかし清水は左のSBに守備力の高い二見を起用しており伊東は上手く押さえることが出来ていました。


 左のクリスティアーノは自ら突破というより、強さを活かしてポイントになり亀川を衛星的に使ったり中央の江坂、中川にパスというプレー。自分はやや下がり気味の位置でミドルを狙うようなポジションを取っていました。


 清水はサイドハーフのプレスがややずれる時がありましたが、SBとCBのギャップをボランチがカバーなどスライドとカバーの動きで44ブロックの中は埋めることができていました。
 
 しかし柏は清水の44ブロックの手前にボランチとクリスをミドル要因として用意します。完全に崩してのシュートは多くありませんでしたが、際どいミドルシュートで何回か清水のゴールを脅かしました。


 下はクリスティアーノの得点場面の少し前。


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 竹内がディフェンスラインの中央を埋め、ハーフゾーンに抜けようとした江坂を金子が一瞬カバーに向かったところ。亀川がオーバーラップするとクリスは少し引いた位置取りをしています。清水の中盤が後ろのカバーにいくことで出来たスペースでミドルシュート

 清水の失点は事故のようで、事故でない、柏の計画に織り込まれていた形からのシュートだったのではないかと僕は考えています。

・清水の攻撃と柏の守備を見てみましょう。

後ろから繋いでいく柏の攻撃でしたが、清水は逆に長いボールを直接テセに入れていきます。テセへのロングボールをフリックして航也がディフェンスラインの裏を狙うというのがファーストプランのようでした。

 
 柏はフリックで裏を狙われるということでテセにはCBでなく中盤の選手が対応します。柏の左サイドでは体の強いクリスティアーノが下がってこれに対応しますが、クリスが勝っても柏の左の前方には選手がいなくカウンターに移行できないという状態でした。柏の後方にはあまりフィジカル勝負の得意な選手がいないということもありロングボール勝負では清水が優勢でした。

 清水のもう1つの攻め手は相手の攻撃をカットしてからの攻撃。後方での保持と同様、ここでもカットしてからの第一選択肢はテセ。テセに当てることで中盤を押し下げてその落としをフリーでボランチがもらいます。ゲームメイクできる竹内、河井を中央でフリーにさせるのはターゲットの当てる攻撃と並んで、清水の攻撃の特徴の1つになっています。サイドハーフが絞って受けて相手のブロックを真ん中に寄せてサイドを空ける→サイドバックのクロスのようにポジショニングとボールの動かし方でスペースを作って使っていきます。


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 柏とは目に見える形は違えど、スペースを作って使っていくという原理は同じです。

 上手くファーストディフェンスをずらして攻撃の機会を作り出していたのは柏でしたが、先制したのは清水。コーナーをゾーンで守る相手の守備を利用しフレイレで釣って、死角から入って頭で合わせたテセのゴールでした。

 すぐ追いつかれるも、スローインからテセがフリック、航也がディフェンダーを振り切ってゴール。スローインからでしたがこちらは再三狙っていた形からの得点でした。
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 ちなみに、これはfootballlabのプレー分布図です。柏は2トップ脇からサイドと清水の442ブロックを囲むようにプレーの頻度が高いのが読み取れます。

 一方清水は最後尾と中盤よりやや相手陣内のサイド側が濃い色になっています、おそらく後方からのボールをテセがサイド寄りの低めで競り合ったためとサイドバックの攻撃によりこのような分布になったと思われます。

・後半の流れを振り返ります。

 お互いの主な狙いは上に述べたので後半は流れを振り返ります。

1.清水の保持が増えた理由。

 前半は柏が保持する時間が長く続いていましたが、後半になると清水も攻撃の局面を増やしてきます。理由の1つがリードされた柏が急所に入れようとするボールが増やしたこと。前半は江坂にボールが入る機会がほぼありませんでしたが、引いて受けに来たり、直接後ろからと江坂を狙う攻撃が見えてきます。この中央を狙う攻撃を清水がカットして攻撃に繋げます。

 もう1つの理由として考えられるのは清水の守備がはまってきたことです。清水の守備は人につけていく守備ではないので前と後ろとのプレスのタイミングが合っていることが重要です。ここが合ってきたため、後半は柏が2トップ脇から簡単にサイドへ侵入できなくなっています。中盤で奪うとリードしている清水は急ぐことなくボランチ中心に相手の空いている場所を使い攻撃を仕掛けていきます。

 基本的な攻撃の狙いは前半と変わらずですが、相手からボールを奪いマイボールにする機会が増加したことが後半清水が攻め込むことができた理由だと思われます。

2.後半の交代カード。

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 柏は63分にハモンロペスを投入。前線の火力を増やしていきます。さらに大谷に変えて手塚、江坂に代えて小泉。ボランチ2枚をバランス型から攻撃的にしてキムポギョンをトップ下に上げます。攻撃にかかるとボランチの1枚もボックスの中に侵入させ、サイド-ハーフゾーンだけでなく中央からもねじ込みにきました。

 対して清水は北川→デューク、金子→石毛、二見→松原。どちらかというと疲労を考慮した交代。しかし85分に松原が入るとシステムを4141に変更。

 前線はテセの必死のファーストディフェンス。中央に人数と火力を増やした柏に対抗してブロック中央に竹内をアンカーとして置き、マークがずれて中央でフリーを作らせないためシステムをマッチアップ状態にします。
 
 アディショナルタイム含めて残り9分でしたが、清水がこのまま守りきり、2-1で待ちに待ったホームでの勝利を収めました。

・雑感

正直言うと現地観戦では、柏が押し込んでいたが運よくリードできた前半、後半は逆に柏が焦って清水が落ち着いて保持できたというように見えていました。しかし見直すとお互いに描いた設計図に沿って試合は進んでいたという印象です。


 柏のプレスと清水の後ろでの保持力、また柏の守備と清水の前線の特徴。この辺りを考えてのヨンソン監督のプランだったのではないかと思います。両チームのやり合いは互角の展開でしたが、結果的には清水のプランが実を結んだ試合でした。


 少ない時間ではありましたが4141システムを実戦でつかえたり、後半プレスのタイミングがあってきて柏に前半ほどポゼッションを許さなかったりと前向きな動きも見られ、結果だけでなく今後に向けて明るい兆候はあったと思います。

 
 長い連戦になりますが、この良い兆候を形にするためにもできるだけ多くの勝ち点を積み重ねていきたいですね。

ハリルホジッチ解任

日本代表のハリルホジッチ監督が解任されました。

かなりの衝撃を受けました。非常に残念で悲しいです。

この解任は完全にどうかしているのでツイッターでもっと悪態をつきたかったのですが、詳しい人がさんざん言っているので止めときます。黒幕のつるし上げみたいになってきてるのも好きじゃないですし。

選手、協会の黒幕や陰謀論が事実だとしてもそこはどうでもいい(よかないけど)。僕は今回の件で日本サッカーの未熟さが一番気になってしまいます。

必ず湧いてくる「俺たちのサッカー」なのですが、まだそこをぐるぐるしてるんかと。世界のサッカーは(この言い方もどうかと思いますが許してくれ)すでに日本のサッカー界とは違う文脈でサッカーを解釈し始めてるんじゃないかと思います。

俺たちのサッカーという物は理解できるし、それはそれでいいんです。でもあくまでそれは見える形の1つであって、そこに至るにどうサッカーを解釈するか、どうやってそれを実現するかを掘り下げているのかと。

僕はしょせんネット戦術君、しかも低レベルな人ですがちょっと心配になってしまう。世界に差を離されているどころか、すでに違うパラレルワールドを必死にグルグル回っているのではないかと。

噂される一部の選手はおそらく監督を解任したいとか主導権を握りたいと考えているわけではないのでしょう。真っ直ぐに自分達の正義を貫いているだけだと思います。ワールドカップで結果を出すために真剣なんでしょう。また協会の人も全員が自己の利益のためというわけではないはず。それなのに毎回繰り返してしまう、残念さ、悲しさ、不安。

そもそも会長が解任理由のひとつに選手の意見をあげるなんて、組織の体としてもサッカーの解釈としてもイカれてるとしか思えないわけです。

もう、代表という一番の上澄みにだけ期待を丸投げするのは無理。これじゃあ、たぶん誰が監督になっても見た目は変わっても出てくる結果はたいして変わらないはず。

結局は日常の日本サッカーが謙虚に地道にレベルを上げていくしかないのではないかと。視野を広げて行くしかないのではないかと。それは育成であり、日本のアマチームであり、プロチームであるJリーグであり、メディアであり、ファンであったり。

ということで今回の代表の最悪のへっぽこさを見て、より一層サッカーを見て、考えていこうと思いました。

僕が何かを変えようというわけじゃないんですけど。ただファンとして色んな見方や楽しさをみんなと共有していきたいなと。見方が広がれば楽しさも変わってくると思うので。もうちょっと見たものを上手く表現できたらいいんですけどね。そこは努力していきたいと思います。


ポジショナルプレーについて書かれた記事 まとめてみました。

ポジショナルプレーとは何ぞや?

ということで、ポジショナルプレーについて書かれている記事をまとめてみました。

【1】とめ@はんなりサッカー(@tome beta)さんのブログTake it easyより





【2】Victory の記事より



【3】footballistaの記事より


【4】Numberwebの記事より


【5】れうす(@gin3421)さんの記事



【6】その他、興味深かったブログ記事。

じぇふとも(@jef9)さんのブログ じぇふともあれこれ より


ポジショナルプレーにとって大切な位置取りに関する理論、5レーン理論についての解説。的確にしかも簡潔にわかりやすく説明されてます。

ゼルビアライフのTanalife(@TanaLife)さんのブログ  TanaLifeの町田ゼルビアブログ より

ポジショナルプレーを通して自分の応援するチームをより深く、楽しく解説されています。僕、この記事すごく好きです。


ここまで読んでポジショナルプレーのことが何となくわかってきました。

そこで、ポジショナルプレーとは何ぞやと問われれば、

「チーム全員の適切な位置取りによって、全ての局面で優位に立って試合を支配しようとする考え方」

見たいな感じでしょうか。一言で言い表すのは難しいですね。

また新しい記事があれば読んで勉強してみたいと思います。

2018年明治安田生命J1リーグ第4節清水エスパルスvsベガルタ仙台~エスパルスの守備を中心にレビュー

札幌戦に引き続き3バックのチームとの対戦。この2試合を見る限り、3バックのチーム相手でも442を崩さずしっかりセットして守るというのがヨンソンエスパルスの基本的な守備方法のようです。

お互いのシステムをそのまま噛み合わせると、

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この配置。中央、ハーフゾーン、サイドと5レーン上全ての場所で仙台の選手が浮いている状態です。

これに対して清水は特定の選手やスペースを見るのではなく、選手の立ち位置やスライド、カバーの動きなど周りとの関係性でスペースを埋める守備をします。

3バックに対しては、マークが噛み合っている時に比べると2トップがちょっと引き気味の位置にセット。中央のレーンをしっかりガードしながら中盤と上手く連動した守備ができる距離を保ちます。

1人がボールを持つCBの前に立ち縦パスを牽制、もう1人は2トップ裏の相手ボランチを消すようなポジションを取ります。中央のレーンを消すことを強く意識しているようで、2トップ裏を消すため細かくポジションを修正したり、中盤の高さまで相手を追ったりといった動きが見られます。

サイドハーフはやや絞り、ボランチはボールサイドにスライド(中盤は逆サイドのサイドハーフ含め全体でボールサイドにスライド)。相手のシャドーがいるハーフゾーンを塞ぎます。

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サイドハーフはボールが2トップのラインを越えた辺りから中を切りながらプレスを開始。サイドレーンのWBにボールが出たらサイドハーフはスライド、サイドバックと挟み込んで奪いにいきます。

この時のサイドハーフの動きは重要で、それを補助するためにも2トップは低めにポジションして相手が使える2トップ脇のスペースを縮めているのではないかと思われます。

そして、サイドバックが開いたことにより出来るギャップはセンターハーフが下がってカバー。

ボールをゴール前に放り込まれても、高さのあるCB2枚がはじき返します。

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奪ったらサイドのスペースに出ていくサイドハーフまたは、中央の前にいるFWのポストを起点にカウンター。守備時に布陣が大きく崩れていないのでそのまま前方に出て素早くカウンターに移行できます。

ポストの落としを受ける位置にボランチが、絞って間を繋ぐ位置に逆サイドのサイドハーフが入ってきます。

裏抜けを狙うFWが相手のDFラインを、サイドバックが相手のWBを、中央に人を集める形が相手のダブルボランチをピン止めするのでその脇が空きやすくなります。

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そのボランチ脇から金子がミドルシュートを決めて清水が先制。シュートがゴラッソだったのは確かですが、金子のコメントを読むとここのスペースを認識していたようなので清水はこの構造を理解して攻撃していたものと思われます。

前半は保持するも決定的な場面までには至らない仙台、固い守備で相手の攻撃を防ぎ、鋭いカウンターを繰り出す清水という構図でした。仙台に保持は許しましたが、カウンターの形を何度も作り先制点も奪えました。清水としては概ね納得のいく前半だったのではないかと思います。

しかし、あまり相手のビルドアップに余裕を与えると、押し込まれ過ぎて守備の破綻につながる恐れが出てきます。前半終わり頃はそんな予兆があったので、後半はいける時はハイプレスを織り交ぜて押し返そうというのがヨンソン監督のハーフタイムの指示の意図だったと思います。

清水は後半に入ると、相手が後ろで距離のある横パスを繋ぐ時やバックパスをした時、つまり相手の保持が安定していない場合には北川がスイッチとなりハイプレスをかけるようになっています。それにつれて仙台の方は後ろから直接最前線にいれるような長いボールが増え始めます。

仙台の保持を遮断して、跳ね返しからカウンターという場面を作り出し清水が狙い通りペースを握り返します。

一方、仙台がこの長いボールを意図的に出していたのか蹴らされていたのかはちょっとわかりませんが、前からプレスする清水、長いボールを入れる仙台の構図は清水のブロックにスペースを作る原因の1つになったような気もします。

仙台は富田に代えて西村を投入。西村をシャドーに入れ、野津田をボランチに配置します。多くの人が指摘している通り、僕もここは流れが変わるポイントの1つだったと感じました。

見方はそれぞれですが、僕には奥楚が2トップ裏に固定、野津田が2トップ周辺で1枚を剥がすようにちょこちょことボールを引き出しては戻すといった作業をしているように見えました。

プレスを意識したことによるボールへの噛みつき、どこに付くかの判断の迷い、運動量の低下もあって2トップの守備が緩くなっているように見えました。何度か2トップの間を割られて奥楚にボールが入ります。
2トップの後ろを使われると清水のボランチはそこを消さなければなりません。前を消しにいくと今度は後ろのカバーが出来なくなってきます。

さらにボランチに入った野津田はゴールに向かうような配球をするため4バックがゴール前に集中しがちになります。

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70分にキーパーが弾いたボールを阿部に拾われ同点弾を決められます。DFラインが下げられてボールに集中したところをその前のスペースに入った選手にシュートを撃たれるという似た場面が直前にもありました。清水目線では不運もありましたが、仙台目線で考えれば狙った形で奪ったゴールだったと言えるかもしれません。

1-1で試合は終了。前回対戦も同点で結果は同じですが、内容には前進を感じられました。

昨年は受けて耐えての同点でしたが、今回は試合の流れを見ながらプレスをして押し返すなど、こちらからゲームをコントロールする姿も見られました。この駆け引きは昨年あまり見られない姿でした。

セットした守備だけを切り取れば、2トップやボランチの動きに多少の違いはありますが、基本的には昨年と大きくは変わらなく見えます。これは小林前監督から上手く引き継げてる部分です。その仕組み自体に間違いはないと思いますが、それだけだとどうしても受け身になり相手に押し込まれてしまいます。

そこにプレッシングやカウンターで陣地を取り返し、ポゼッションで相手を押し込む形が今年の上積みだと思います。まだまだ未完成だと思いますので今後に大きく期待していきたいと思います。

2018年新生エスパルスの攻撃についてのメモ

こっちのブログが本体です。今シーズンもどうぞよろしくお願いします。

2試合見てボールの運び方が去年と変わったなと感じたのでちょっとメモしてみます。

ボールを保持する時はこんな配置になっているような気がします。

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まだ442のチームとしか対戦してないので何とも言えませんが、サイドハーフが絞って、他は微妙に相手と噛み合うような形です。

シュートに至る形でよく見られるのが

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フォワードが相手のサイドバックセンターバックのギャップに抜ける形。水色で囲った場所、ぺナ角辺りからのクロス、突破からのシュートなどですね。金子と石毛のポジショニングがペナ角を空けやすくしているというのは、まあわかるとこですね。

なので一番シンプルな攻撃は、センターバックが相手の2トップ脇を運んでギャップに抜けるクリスランや航也にロングボールを送るという攻撃です。実際ちょいちょい見られます。

次に後ろから運んで行く場合。全体の配置の中にユニットでの崩しのパターンが組み込んである感じです。

去年だと竹内がセンターバックの左側に落ちて、起点になっていました。今年は基本的にセンターバック2枚が後ろ。これをボールの位置や相手の動きに応じて、センターハーフサイドバックが補助するような形。そして1列目を越えて河井、竹内がゲームメイクの中心になるのですが、相手も中央は警戒しているのでサイドバックも組み立ての役割を担うことになります。

この時、相手の2列目の前にセンターハーフ2枚、そして逆サイドに松原が同じ高さに並んでいるのですが、これが大切な形となります。

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ソッコから立田にボールが渡ったところ。センターハーフの河井、竹内と立田が横並び、河井をマークする相手のセンターハーフを挟んで斜めのコースに金子とその奥にクリスランが重なるように位置しています。

もし水色のマーカーの選手が金子へのコースを塞いだ場合、立田は河井に横パスを出します。同ラインでボールを横に動かすのはレーンを変えて相手の横圧縮をずらす効果があります。河井は竹内、立田と横に逃しつつレーン変換する選択肢を持ちながらゲームメイクできるわけです。(もし相手がボールサイドのスライドして中にコースがなければ松原に展開して突破。それっぽい言葉で言えば左サイドのアイソレーションですね。)

次に水色のマーカーの選手が河井にプレスした場合。その時は逆に金子にパスを通すコースができることになります。
そして金子、クリスランが斜めに並んでいますが、金子がフリーならばそのまま金子。金子にマークがついていれば金子がマーカーを引き連れて動くことで、クリスランへのパスコースを作ります。

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この形ですね。さらにボールが入った場所からまたユニットでの形を作って最終的にシュートに繋げます。

河井、竹内がボールを持った時も、このような中盤ラインで組み立てる選手、間に入るサイドハーフ、奥のフォワードのユニットでの前進は同様に見られます。
1つ飛ばして奥に通すパスは様々な場面で頻繁に見られます。これはユニット攻撃の一つの形です。

この他にも航也が中に入って金子がサイドに出るなど場所、人を変えながら
ユニットでの攻撃を繰り出してきます。
基本的には、ワイドに張って相手を広げてフリースペースを使うというより、相手が噛みつきやすい配置からユニットでの崩しの形を使って中央を崩し、センターバックを動かして裏、ぺナ角を取っていく攻撃の傾向があるように見えます。そのためサイドハーフを中に入れてボールが入った時の選択肢を増やします。

サイドハーフの役割というのも去年と変わっていて、センターハーフの位置まで降りて組み立てに関わったり、相手を背負って縦のくさびを受ける場面はあまりありません。内側向きの半身で受けで崩しの局面に関わることが多いです。これは個人のプレーの特徴もあるでしょうが、そういうプレーになるようなチーム全体の配置、ボールの循環になっているのだと思います。金子や石毛のサイドハーフはこれに沿った起用なのかもしれません。

後は、ボールが前に行った時、センターハーフが前に出ていく動きが、切り替えでのセカンドボール奪取に影響してるんじゃないかとか、ちょいちょい適当に思ったことはあるんですが、まだよくわからないし、ごちゃごちゃするので取り合えず今回はこんなところで。