2021年明治安田生命第9節ヴィッセル神戸vs清水エスパルス"保持、非保持局面と失点場面についての簡単なメモ”

試合結果

ヴィッセル神戸1-1清水エスパルス

得点

74’エウシーニョ(清水)

88’古橋享梧(神戸)

ノエビアスタジアム神戸/屋内/気温19.1度)

スタメンと配置

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選手交代

清水 75’竹内(河井)、75’金子(中村)、75’後藤(鈴木唯)、88’ヴァウド(奥井)、90+1’福森(原)

神戸 60’初瀬(藤本)、60’増山(中坂)、82’櫻内(山川)

 

清水保持局面

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・清水の保持時は中村が降りて宮本がアンカーの3センターのような配置。

・宮本は基本2トップ裏にポジション。味方の保持に合わせて絶えずポジション修正していた。2トップを引き付けたり、2トップがプレスに動けばフリーになってボールを受ける位置に動いたり。宮本やその他選手も細かいポジション修正はスムーズになっていた。

・神戸は2トップとSHがかなり積極的なプレスをかけてくる。また内側低めで受ける中村にはCHの郷家も出てくる。そこでプレス時の神戸は山口蛍が中盤1枚で他は前後分断気味になることが多かった。

・清水は後ろでボールを動かして神戸を前に引き付けて裏のスペース狙っている。または中盤にできるスペースで中山や鈴木唯人が受けている。

・降りてきた中村が受けて右に決め打ち気味にサイドチェンジが何度か。中盤逆サイドにフリースペースができやすいのは事前にスカウティングしていたか。

・基本的には上記のように相手陣内にフリースペースを作って早めの攻撃が多かった。清水の現在地を考えると現実的かつ効果的な手法だったのではないだろうか。

清水非保持局面

・相手の後ろでの保持に対してまず中央への縦パスを消すのはこれまで同様。やみくもにプレスにいかず2トップのどちらかが後ろのスペースを消し、もう1枚がサイドを限定しに行くのが基本の動き。

・SHは前を気にしながらサイドへもいける中間ポジション。相手SBにボールが出たら縦を消すポジションに入り強くプレスをかけていく。

・CHにボールが入らない神戸は山口蛍がCBの左脇に降りてきていた。山口が降りると左SHの井上がCHの位置に入ってくる。

・清水は神戸の上のような可変の動きにも山口から中へのコースをまず消す。限定したらプレスに出て奪う。神戸は清水のファーストディフェンスを迷わす動きをあまりしてこなかった。したがって清水は比較的高い位置からプレスにいくことができていた。

失点場面について

 どう修正するべきだったのかはわからないが、個人的に気になったところを記していく。

 まずこの時間帯、神戸はロングボールを多く入れてきている。特に左SB奥井と神戸の右SH増山がミスマッチでそこにボールが入っていた。

 ロングボールが入り、それを起点にサイドからクロスを入れられている。そのためか宮本、竹内は少し後ろを埋める意識が強く感じられる。CHの埋める意識が強いと1列目と2列目の間が空きそこをフリーで使われやすくなる。ここまでが下地として考えたこの時の状況。

 失点場面のスタートは清水のカウンターが終わり相手キーパーが山口にパスを出したところ。この時プレスにいったサンタナの後ろで山口がボールを受けている。少なくとも前半は2トップ裏のCHにボールが入ることは無かった。チアゴは後ろに向かって前にきてくれとジェスチャーしている(少し前の場面でも後藤が後ろに向かって前にきてとジェスチャーしていた)。ここも中盤選手の後ろを埋める意識が影響したのではないだろうか。

 ライン間からライン上に降りてきた古橋に山口が縦パス。ここに竹内が対応しているが少し間を空けて縦パスを警戒するような動き。ただ横方向への制限は効いておらず古橋は2列目の前を右(清水の左サイド側)に横断。ラインの前で横断されると縦軸がずれやすい。宮本の脇から増山に縦パスを出された。ここでも2列目前がわりとフリーなのが気になるところだ。

 そこからクロス。クロスがファーに流れたが折り返されシュート。これが決まって神戸が同点に追いついた。

あとわずかの残り時間。神戸は攻勢を強め、清水は守り切れば勝利。そして神戸は長いボールでの陣地回復を狙ってくる。そこで清水の中盤が前を制限する意識が薄れた可能性は考えられる。

同点後、奥井→ヴァウドの交代。そして原を左SBに回す。これは中央の強度を高めるだけでなく奥井と増山のミスマッチを解消しロングボールによる後退を防ぐ狙いがあったのではないだろうか。

 以上が私の見解だ。では実際、どんな対応をすべきだったのか。それはわからないし、簡単にCHが前に出ろと言ってもピッチ内には複雑な状況があるだろう。しかし同じような状況になったとき何らかの修正が見られることを期待したい。それが見られるならこの試合の勝点1も前向きなものと言えるかもしれない。