主に徳島の攻守の振る舞いに注目する。
メンバーとフォーメーション
徳島の基本システムは3-5-2。非保持では5-3-2になる。徳島は前節から3バックシステムを採用。それまでは433や中盤ダイヤの442を採用していた。
磐田の基本システムは442。もしくは山田がトップ下の4231。
保持局面
徳島の保持は3バック+アンカー(白井)でビルドアップスタート。
対する磐田の非保持は442。ファーストディフェンスは2トップの1枚がアンカーを抑えて、もう1枚がプレスに出てくる。左右のCBへはSHが出てくることが多かった。
磐田のプレスに対して徳島は左右のCBから内側のIHとワイドのWBへのルートを作っている。しかし主なルートはワイドで空いているWBへ。徳島の起点の多くはWBとなっていた。
徳島のWBに磐田はSBを当ててくる。しかし距離があるため徳島のWBは時間と空間を得られていた。この時間と空間を使いWBは前を向く。そこからWBが1対1を仕掛けることもあるが、起点になってスペースへボールを送ることの方が多かった。例えばSBの裏にIHやFWが流れてそこに出す。
または内側に入ってくるIHや柿谷を使っていく。
磐田のSBのプレスが速くWBが前を向けない時は、SB裏にFWを走らせる。または中央の森海渡に直接当てていた。磐田のSBが前に出てくると前線は1対1の関係になっている。
狙いとしては、両ワイドのWBを起点とすることで相手の守備を広げる。そしてSBの裏やミドルゾーンに広がったスペースを使っていくことではないだろうか。
徳島の中盤3枚には磐田がマンツー気味に噛み合っているため、中央からの崩しはあまりなかった。中盤の選手はキープやターンが上手く、プレスを交わして前を向けることもあるが、奪われてネガトラ移行されることも何度かあった。
ただ徳島2点目は低い位置で動かし磐田を前に引き出して、降りてきた杉本が受けたところからスタート。そこから疑似カウンター気味に中央のスペースに走り込んだ玄、左のワイドに開いていった柿谷とボールが渡り、技巧的なカットインからゴール。中央スペースを中盤の選手が使って決めたゴールだった。
この形も一つの狙いではあるだろうが、この試合では崩しの局面はサイドからハーフスペースの辺りから行うことが多かった。
WB、IH、柿谷などが絡んで、ハーフスペースの裏を取ったり、カットインしてきたり。また左WBのルイズミケサダはクロスの質が高く、左ハーフスペースに寄せて、空いたサイドからケサダのクロスも何度も見せた崩しの形だ。
非保持局面
磐田の保持は2CBとアンカー上原のような形でスタート。SBははじめはそこまで高く上がらずCBからのボールを受けられる位置。ボランチの遠藤はボールを引き出すように割と自由に移動している。
対する徳島の非保持は5-3-2、もしくは柿谷が中盤をフォローするように下がって5-3-1-1。CBにはそこまで強く行かずにまず中央をふさぐ。ボールがSBに入ったら早い段階でWBが出ていきプレスをかけていた。
これでサイドの前を塞ぐと、中盤3枚がボールサイドに強くスライドしてきて出しどころを消す。この時、柿谷は中盤のラインの前辺りまで引いて、空いたスペースを埋めるようなポジションを取っていた。
↓ プレッシングをかけていく時。
↓ セットした時
WBが前に行けない時は、5-3-1-1のような並びでセットして、SBへはIHがスライドしていく。
磐田はサイドから間に顔を出すボランチやSHに入れようとしていたが、徳島はその内側に入れたボールを奪い所に設定しているようだった。
最終ラインの挙動を見ると、藤川や山田が引いて受けると追撃傾向はあるが、それで出来たスペースへのスライドはあまり行わない。CBはゴール前からあまり動かしたくないようで、動いてできたスペースは基本中盤がカバーする約束事のように見えた。
そのため、左右に振られて中盤のスライドが間に合わないと、CBとWBの間が空き気味の時がある。リアルタイムで見ていて、特に後半DFラインのギャップを簡単に使われているなと感じたが、おそらくここが原因なのではないだろうか。中盤のスライドが間に合わない場合、CBが晒され気味なのは少し気になった。
ポジトラ局面
徳島は下図の青丸のような奪い方を狙っていたように見えたが、その時に森海渡は中央の前に、柿谷は3センターの前にいるのですかさず前に出ていける。
磐田が前進を狙う時にボールより前に人を送りこむ傾向もあったためか、同サイドで囲んで奪う、そして中央またはSB裏を使ってカウンターの形は再現性があるように見えた。
徳島の3点目は、サイドバックにプレスをかけると同時に渡がセンターバックを、杉本が上原へのコースを消している。これで完全にパスコースがなくなり、松原はパスミス。それを柿谷が拾ってゴールを決めた。同サイドで窒息させるプレスと真ん中で浮いているFW。再三見せていた形からのゴールだった。
ネガトラ局面
基本はWBを起点にしていたのと、後ろと中盤に3枚‐3枚をそろえているので、ネガトラで致命的な穴は感じられなかった。
後半の入りで、後ろから簡単に縦に入れて奪われ、ひっくり返されるようにカウンターを食らった場面があった。
全体的にフィジカルが強い選手が多くないようなので、奪われところをサイドにするか、すぐに囲めるよう陣形を整えながら押し上げるように前進を図った方がいいような気がする。
CK
2失点はいずれもCKからだった。
CK守備はニアゾーンに1枚(柿谷)、中央のゾーンに1枚(森)。後はマンツー。
1失点目は外山がマークを外している。2失点目は桜井が松本昌也を見ていたようだが、捕まえきれずほぼフリーでシュートを打たれた。詳しくはわからないがバイタル辺りにいる相手へのマークが少し甘いような気がする。