2019年 明治安田生命J1リーグ第13節 清水エスパルスvsベガルタ仙台

 

文章を整えるのが大変なのでメモ書き程度に。繋がりなく羅列気味ですがお許しを。

 

まずスタメンと初期の配置。

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・前半、清水の攻撃

 

仙台はマークの受け渡しをあまりせずに強く人についていく守備。清水の攻撃にはその特徴を利用しようという意図が見える。

 

金子が相手のSBを引き連れ中に入り、北川がクロスするようにサイドに流れる。そこでフリーでシュート(11:15)。

六平がサイド奥に侵入。対面のCH椎橋がマークでついていく。椎橋が動いてできた中央のスペースに松原がカットイン。ドグにスルーパス(15:30)

 

北川と金子のクロスする動き、SHが引いてそのスペースへCH(主に六平)が侵入する動き、CHの空けたスペースへサイドバックが中へのドリブルなど。相手マーカーを引き連れてのスペース作りとそこへ侵入する動きの組み合わせ。

 

清水はサイド奥のスペース狙っているのが強く感じられる。数的優位もサイドで作ることが多い(CB+SB+SHor北川)。人に付いてくる仙台の守備を動かしてサイド奥からのクロス。それが保持からの攻撃では大きな目的となっていたと思われる。

 

清水の1点目(4:40)も同様の動きから。

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(赤矢印→人の動き、黄色矢印→ボールの動き)

エウシーニョの中央へのドリブルで石原を引き付け二見へ。松原が吉尾を開かせること中村へパスコースを作る。中村からサイドチェンジ。受けた金子はフリー。左SH石原はエウシーニョについているので、永戸はカバーが無い状態で金子と1対1。右SB蜂須賀は中村について中盤まで上がっている。そのためセットした状態からにも関わらずクロスに対してゴール前にはカバー無しでCB2枚がのみという状態だった。

 

前半終了間際の3点目も北川、金子が左SB永戸を引き出し、その裏でエウシーニョがボールを受けている。その前のエウシーニョの動きを見ても相手のSB裏を狙っていたというのはあながち外れではないと思う。

 

・前半、仙台の攻撃

 

仙台の保持は2CBでスタートしたり、CH下ろして3枚でスタートしたり。CHは後ろに降りるときもあったが、SHが第2レイヤーに降りて入れ替わるようにCHが前に出て行くこともあった。全体のバランスでどこかが動いてもサイド、ハーフスペース、中央と相手守備ブロックの間、間にポジションをとっている。

 

清水の守備は大分戦と同様、サイドに限定してパスの出口を塞ぐ。ドウグラスがサイドを限定して、SHがサイドレーンを塞ぎ、北川がアンカー管理。降りてくるSHにはCHがついていく。

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 結果的に、詰まった仙台は開始から20分過ぎまでは早めに2列目を越えるようなパスが多い。

 

そこからトップが1枚引いて受けて内側に入ってくるSHに落とす。逆のSHとFWが裏抜けしてSHからスルーパスとか。

SBは突破よりサイドに引っ張って中央広げて間のスペースを使う。または裏抜けへのアーリークロス。前半の仙台はハーフスペース攻略を狙っているようだった。
 

しかし仙台は24分辺りから清水のファーストディフェンスを回避できるようになっている。

 

目的地は清水の限定サイドと逆側のスペース。逆に持っていくために中央を管理している北川をずらしたい。そのためのCH降ろしの3バック化、HVの運ぶドリブル、SHとCH松下で2択を迫るなど。限定がずれたら右HVから左HVへの飛ばしのパス。

 

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清水の守備は始めのプレスを交わされると、後ろでブロックを形成するがそこの移行に弱点を抱えているように見える。人は下がってくるが上手くスペースを埋められていない。24分過ぎに仙台がファーストディフェンス回避できるようになってから、明確に仙台が保持して清水ゴール前まで迫る場面が増えていく。

 

清水は逆サイドに振られるとHVにはSHを、SBにはSBのように対面の選手がプレスに出て行く。基本的にセットより前に行きたい守備の狙い。清水はここで取れればカウンターチャンスだが、交わされればゴール前まで運ばれる。仙台は相手ゴール前までのルートは見えているがミドルレンジのパスがずれることも多々あり、お互いにチャンスを作り出すという前半の流れだった。(3-2で清水リード)

 

・後半の流れ

 

後半、仙台は清水のSB裏狙いが強く見られるようになっていた。エウシーニョを前に引き付けてSHやFWが裏に流れる。中央への縦パスからもハーフスペースへのスルーパスでなくサイドにはたいてSB裏に流れることが多い。

 

清水のカバーはFWが流れたらCBが、SHが裏抜けしたらSBがと対面の選手がそのままついていく形。やはりヨンソン監督時より人を見る意識が強まっている。

 

60分。3-3と追いつかれた直後エウシーニョから立田に交代。サイドバック裏攻撃への対応。同時に守備時のプレスラインがやや下がったようだ。ファーストディフェンスが回避されていた、そこから撤退する時のスペースを突かれていたなら始めからセットしましょうということだろうか。

 

62分。北川を右に回して4141。プレスを回避されて中盤以降を固めたいときは人を増やすやり方は大分戦と同じ。スライドとカバーでブロックを作るのは得意ではなさそう。

 

仙台は2トップが縦並びになって一枚が竹内を見てる形。後は嚙み合わせ通り。

 

66分に中村に代えて西澤。西澤入ると再びプレスラインを高めに。守備ではCBにドグとIH(金子、六平)の1枚が前に出てプレス。アンカーの竹内が前にスライド。SHがどこまでスライドするかはいまいちはっきりしない。やや気持ちプレス気味でアンカー周辺でスペースができやすい。仙台は2列目あたりのスペースからの前進ルート自体はわかっている様子。

 

プレスがはまる、または相手がプレスに慌ててミスればチャンス、繋ぎ切られれば相手のチャンスという慌ただしい展開。ジャーメイン入れてスペース狙いは理解できる交代。

 

清水は北川を右に張らせて残り前線4枚で中央崩す。金子と交代した西沢は積極的に突破、カットインからのシュート。指示はおそらく相手の4‐4‐ブロックを破壊しろ。そこで仙台が4-4で中央固めたら北川サイドのアイソレーション。突破からのクロス。結果的にこれが決まり終了間際の勝ち越しゴール。最後は清水が押し切った形。

 

・最後にひとこと

 

お互いに明確な攻撃の意図を持っている。しかしお互いに守備の弱点もありそこを明確な攻撃の意図で突いているという試合だった。

仙台は保持して攻撃することがチーム作りの土台となっていそう。そこが上手くいく、いかないかが重要そうだなという印象(勝手な印象だが)。

清水のファーストディフェンスを回避するところや、その後のボールの動かし方を見ると背骨はしっかりしているチームというのは感じられた。

 

清水は篠田監督就任して2試合目だが、おおむね前節大分戦と同じパターンの試合展開。こういう采配をするんだなというものは見えてきたような気がする。

SBの中へのドリブルやSHとCHの入れ替わりなどはヨンソン監督時にも見られたが、より整理されていたように見える。ベースとして持っているものを整理してプレーさせること、相手の特徴をスカウティングして試合に生かすことは上手そう。

ただプレスの外され方やその後のボールの運ばれ方も大分戦同様だった。基本攻撃でも守備でも前向きで行くことで選手の思い切りのいいプレーを引き出している。しかもそれが篠田監督のやり方と合致している。大分、仙台とも後ろから保持していくタイプのチームだった。そうでない相手に対してどんな試合展開になるだろうか。次節以降に注目していきたい。