トレーニングマッチ 清水エスパルスvs藤枝MYFC

 藤枝MYFCとのトレーニングマッチの様子が清水エスパルス公式のインスタライブで配信されました。クラブのご配慮とても有り難いです。

 トレーニングマッチは45分を2本。メンバーは1本目、2本目で入れ替わりましたが公式戦と同じ前後半で90分の形で行われました。その内の1本目の内容を取り上げます。中断期間が続きレビューもご無沙汰なので、私自身のレビューリハビリも兼ねてまとめてみたいと思います。

 

藤枝MYFCの組織的な守備

 トレーニングマッチ1本目。清水の基本システムは4-2-1-3。開幕戦と同様のシステムです。メンバーもCHが西村から岡崎に代わった以外は開幕戦と同じです。

 藤枝の基本システムは3-5-2。非保持時には5-3-2となります。

 藤枝は清水がボールを持つと高い位置からプレスをかけてきました。2トップがプレスに行くとDFラインもしっかり押し上げてきます。

 藤枝の2トップは前に積極的に出てきますが、あまり横には追いかけていませんでした。中央を塞ぐのが彼らの役割だと思われます。そこで清水のCBが広がった時などサイドの高い位置には中盤の選手が前に出てプレスをかけてきます。藤枝の中盤はミドルゾーンのサイドに運ばれた時も横スライドで対応するので、縦横とかなり運動量を求められる守備タスクでした。

 そしてボールを自陣まで運ばれると即座に帰陣。3バックと3センターで中央に厚みを出したブロックを築きます。誰かが釣り出されたらすかさずスライド。中央にスペースを空けないようしっかり統制されています。しかも、それを維持する運動量もあり見ていて「崩すのは大変そうだな」と思わさせる守備組織でした。

 

清水の5-3-2攻略

 清水の5-3-2攻略は「脇から脇、そして中央で縦パス」。

 まずCBとCHが絡んで藤枝の2トップ脇にボールを運びます。CHが中央に降りてCBが開いて2トップ脇で受ける、またはCBが2トップを引き付けてCHが2トップ脇に流れて受ける、などです。

 すると2トップ脇で受ける選手に対して藤枝の中盤が1枚前に出てきます。このように2トップ脇で受けて藤枝の3センターを1枚引き出す。これがスタートです。藤枝の3センターが前に出てきたら次はそのスペースに清水のSBが入ってボールを受けます。藤枝の中盤ラインの脇で清水のSBがボールを持つ場面がよく見られました。

 試合中にベンチから

「エダ(左の中盤)が見るか?それともナス(たぶん左CBの那須川)?」「エダは難しい?じゃあナスが出て絞ろう」

という声が聞こえました。これはおそらく清水のSBが持った時に中盤がプレスバックするか、DFラインから1枚前に出て見るかの指示だと思います。つまり藤枝の3センターが動いた時に清水のSBがフリーになるのが気になっていたのでしょう。

 清水はフリーのSBに入れて相手の守備を動かし中央にできたスペースにボールを入れて縦パスやDFラインへの裏へのボールを狙っています。2トップ脇から3センター脇に動かしスペースを作り、中央から縦パスがまずこの試合で意識していた狙いだと推測します。

 また相手の中盤が中を締めてきたらサイドにスペースができるので、WGにつけてサイドから攻略を狙います。ただWGの単独での突破力はないので相手と1対1になると詰まることが多かったです。

 それより注目されたのはWG、トップ下、SBが絡んでスペースを作り、ラインを横切るように中央に入れていたプレーです。ワイドでは縦への突破だけでなくユニットでスペースを作り中にパスコースを作るプレーを求めているのかもしれません。

 全体的には相手のシステムやプレスの仕方を見ながらボールを動かしている様子は見え、悪くない印象でした。もう少し一つ一つのプレーに速さや強度があればなと感じましたが、そこは伸びしろと考えましょう。

 

相手がボールを持った時

  こちらは軽く。清水は前からプレスをかけ続けるのではなく、高めにセットしてから守備に入っていました。セットした時の守備では大きなピンチはなく、これまでの公式戦2試合と比べてもかなり安定していたと思います(相手の攻撃力との相関もありますが)。

 ピンチはCHの縦パスをカットされる時が多かった印象です。トレーニングマッチということで意識的に縦パスを入れていたのも原因だったかもしれません。

 それでもネガトラ対応で大きく崩されることは少なかったと思います。

 最後に個人的に気になっていたWGの守備位置について。ボールサイドでは下がってスペースを消す、逆サイドは内側高めにポジションを取るが基本のようでした。クラモフスキー監督が守備でも常にゴールを狙うと言っていたことに繋がっているのでしょう。どちらかというと西澤より金子の方が常に中寄りのポジションだったように見えました。西澤はワイドアタッカー、金子はセカンドストライカー的な役割が強いのかもしれません。ここはただの想像です。

 

まとめ

 大枠の形はリーグ戦と概ね同じに見えました。開幕戦で基本的な形はできていたと考えていいでしょう。

 結果は藤枝の組織的かつアグレッシブな532ブロックを崩しきれず0-0でドローでした。しかしながら、532でセットする相手をどう攻略するかの意図は見えました。またそこからのカウンター対応も大きな問題なくよい積み上げになったと思います。

 主導権を握るサッカーと言えど、サッカーは対戦ゲームです。毎回違った相手のサッカーに対してプレーをしなくてはなりません。ルヴァンの川崎フロンターレや開幕戦のFC東京とはスタイル、戦術の違うチームと対戦し経験値を積み、攻略の意図が見られたことはとてもポジティブだったと思います。