2020年明治安田生命J1リーグ第27節 清水エスパルスvsセレッソ大阪 レビュー【濃くなる色、消えゆく色】

1.スターティングメンバーと配置

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・清水のシステムは1-4-4-2

 システム、メンバー共に前節と同じ

C大阪のシステムは1-4-4-2

 こちらもシステム、メンバー共に前節と同じ

2.C大阪の攻撃と清水の守備について

 前半、ボールを握ってチャンスを作っていたのはC大阪。清水は神戸戦のような積極的なプレスは見せず相手のボランチ周辺を抑えるような守備でした。

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セレッソの攻撃は

1)清水の2トップ周辺でフリーの選手を作る。

2)フリーの選手が対角線上のフィード。

3)サイドバック裏へのランニング

4)清水のディフェンスラインとボランチを押し下げてバイタル周辺のスペースを使ってシュートへ。

こんな感じの攻撃パターンが多かったです。

(清水の2トップ周辺でフリーを作っての対角線へのフィード)

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(ディフェンスラインとボランチを押し下げてバイタルにスペースを作る)

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  C大阪はボールを敵陣に運ぶとボランチも清水陣内まで押し上げてきます。かたや清水はボランチが下がってしまっているのでセカンドボールも拾いづらい状態になっていました。

3.清水の攻撃とC大阪の守備について

 C大阪は、清水が後ろでボールを持つとサイドの高い位置に追い込むようにプレスをかけてきました。

 清水はサイドバックまではボールが回ってもそこで詰まって竹内やヘナトが中盤で上手く絡めません。

 その結果、サイドの後方から前にポンと預けるようなボールが多くなっていました。

 ただ狙いは明確で、前節同様に相手のセンターバックの脇から裏を狙っているのが感じられます。

 しかし前半に関してはそれが単調であまりチャンスには結びついていませんでした。

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4.収支プラスとなった清水の選手交代

 清水は後半の頭から後藤と金子に代わって鈴木と中村がピッチに入ります。前にポンと預けるようなボールが多かったので、受けたボールを収めて運べる選手に代えたのではないかと思います。

 後半の早々にヘナトのスーパーゴールが決まります。これは采配関係なくヘナトが凄いとしか言いようがありません。しかし清水の先制ゴールで少し試合が慌ただしくなったように感じます。その意味ではその後の流れに影響を与えたゴールでした。

 後半もC大阪の守備の狙いは基本変わってないようでしたが、鈴木、中村が入ったため中盤でワンクッションだけボールが収まるようになりました。

(例. 鈴木を経由してCBの裏狙い)

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 中盤にボールが入るようになれば攻守の切り替えも中盤で起こります。ヘナトのゴール後、少しオープンだったことからヘナトが引っかけてカウンターの場面が増えてきました。

 C大阪は58分に柿谷とブルーノメンデスを投入。柿谷が左サイドに流れながら清武と共にチャンスを作り、右は坂元が浮いて仕掛けてくる形を見せてきます。

 67分にC大阪は右サイドを突破した坂元のクロスを清武が決めて同点。その前にも何度か右サイドを崩されていたようにサイドハーフに入った中村の守備対応がぼやけたのは交代後のマイナス面でした。

 しかし86分に中村の勝ち越しゴールが決まります。前目でボールを持って個人の技術とアイデアを発揮できる中村ならではのゴールでした。中村は自らの力で交代策の収支をプラスにした形です。

 最後はアディショナルタイム、前掛かりになったC大阪のボールを奪いカウンター。ティーラシンが粘って出したボールをカルリーニョスが決めて3-1で清水が勝利しました。

5.さいごに

 今節も平岡監督の采配で流れを引き寄せ勝利に繋げた形になりました。前半の内容を見ての適切でわかりやすい修正でした。

 狙いどころを明確にしてシンプルに早めに使っていくこと、ポジショニングに無理に制限を加えず選手がコンビを使いやすい距離感でプレーしていることなど、前節から1週間を経てより平岡監督になっての変化が表れていたように感じます。

 それが選手の力を引き出したと考えればこの勝利は運ではなく新体制で引き寄せたものだったのだろうと思います。