第95回全国高校サッカー選手権大会 青森山田vs東海大仰星より

ちょっと前に藤枝明誠東海大仰星の試合について呟いたのですが、いまいち自信無し。その試合は録画を保存してなかったので、こちらの試合で仰星の守備中心に確認。自分に見えた範囲で。

東海大仰星の攻守の形を見てみましょう。

・仰星の守備の形。

仰星は442ゾーンの守備。横巾をコンパクトにして中央閉鎖。サイドに誘導して2列目に入った辺りでSH、SB、CHで囲いこむ。

44ブロックを作ることを強く意識している。ネガトラ時のプレスバックが非常に素早い。

1列目の守備は2トップのみで行っていた。44ブロックの形を崩したくないのだろう。2トップ脇のスペースも中盤が出ていくようなことはせず2トップがスライドしてカバー。

2トップは献身的だが深追いし過ぎに見えた。ブロックを固めたい44と前の2枚の間が開きやすい。

単純な個々の1対1は青森山田に分があるよう。複数人で囲いこめないと突破される場面が。

・仰星の攻撃。

ボール保持からでも、ほとんどの攻撃が速攻。

相手ボールを奪うとDFのギャップ(SB-CB、CB-CB間)に前線が飛び出し、素早くパスを入れる。相手の守備が整う前の攻撃を狙っている。

後方からのビルドアップは可能性を感じない。FWへのロングボールがほとんどだがポストに当てた後が繋がらない。

②仰星に対する青森山田の対応。

・ファーストディフェンスを剥がす。

守備時には451(4141)の青森山田。ビルドアップではアンカーの6番をCBの間に落とし3バック化する。CBを左右に開かせ、さらにGKもビルドアップに参加する。仰星の2トップは時折GKまでプレスをかけてくる。左右と低い位置まで仰星2トップを釣り出して中盤ラインとの間にスペースを作ることが出来ていた。

・2列目以降の攻撃。

前半の青森山田の攻撃はトップに直接当てるか、サイドをSH、SBでのコンビネーション。基本的には藤枝明誠が見せた攻撃と同じように見えた。

2トップ裏と2列目の間にポジションする10番は配球出来る選手。ここに入るとボールの出し入れ、空いたスペースへの配球が見られる。ただ前半は仰星の中央へのプレスが厳しく余裕を持ってプレーする機会は少なかった。

・先制点の場面。
 
仰星の2トップがGKまで追い掛ける

アンカー6番住永、10番高橋が裏でフリー

たまらず仰星2列目が前に出る

仰星2列目、3列目の間が開く

2列目が前に出たことで最終ラインが1対1にさらされる。6番からSH14番にロングフィードに対して仰星SBが1対1、ヘッドですらしたボールを青森7番と仰星CBが1対1

サイドにこぼれたボールをオーバーラップした青森SB三国がドリブルで運んでシュート。の流れ。

青森山田の守備。

青森山田も切り替えが早い。セットして守るよりプレスをかけ続ける形。仰星の攻撃が縦に一方向だったのでプレスの網に引っ掛けやすいようだった。

③以上を参考に藤枝明誠戦を考察し直します。
 
どのような戦術でもデメリットというのがどこかに発生するものですが、仰星は2トップの守備範囲が広すぎるというのがその1つでした。明誠は上手く仰星のファーストディフェンスを外せませんでした。青森山田のように相手の特徴を見ながらそこを利用するというプレーをした方が良かったのではないかと思います。
 
仰星は低い位置からのビルドアップは得意そうに見えませんでした。中盤当たりまでで奪って切り替え局面を狙うというのが得意な形です。藤枝明誠がファーストディフェンスを上手く外せなかったため、仰星は得意な高い位置からの逆襲という形を作りやすかったようです。
 
仰星はボールを奪うとDFのギャップを狙います。明誠の2失点目もそこ(SB-CB間)を突かれています。明誠は相手キックオフからにも関わらずSBが開きすぎて、持ち込まれた時は追いつけない状態でした。守備の時は選手間の距離を縮めるという意識が薄いか、相手キックオフの時は守備状態という意識が欠けていたのではないでしょうか。
 
仰星は後半になると守備の圧力が下がるというのは、青森山田戦も藤枝明誠戦も同じでした。見た目通り明誠にとって後半がチャンスだったのは間違いないと思います。
 
個人の技術、守備意識、切り替えの意識など青森山田はレベルの高いチームでした。しかし藤枝明誠も攻撃技術は高く決して弱いチームではなかったと思います。もう少し相手を見たサッカーが出来ればより自分達の形に持ち込めたはずです。少し気になったのは、青森山田は強いチームですが、ピッチ全体を使いながら自陣から相手ゴールまでのルートを作って前進していくような攻撃をしているようには見えませんでした。それは明誠も同じです。局面の打開を重視する大榎さん時代のエスパルスのサッカーに近いものも感じました。個々やチームとしての局面打開の能力はさすがに高かったですけど。戦術はチームよりけりですが、最低限の法則のようなものはサッカーにも存在します。そこはユース年代でも抑えて置いた方がいいのではないかと思います。
 
そろそろ静岡のチームが勝ち上がる姿を見たいものです。今年一発目のサッカーネタでした。