プレビュー【2022年明治安田生命J1リーグ第31節 清水エスパルスvsジュビロ磐田】  

 台風15号の影響により延期された静岡ダービーが10月22日に行われる。傷跡はまだ完全に癒えないが、まずは無事試合が開催されることを喜びたい。

 さて現在17位のエスパルスと18位のジュビロ。お互い厳しい順位での対戦となる。降格か残留か。この試合の結果が両チームの未来に大きな影響を与える。かつてないほど緊迫感漂うダービーと言えよう。

両チームのここまで 

(ホーム)清水エスパルス 

17位/勝点32/7勝11分13敗/得点40/失点48

直近試合の戦績(1勝1分3敗)

〇京都(1-0)、●広島(0-2)、△湘南(1-1)、●福岡(2-3)●川崎(2-3)

 

 ゼリカルド監督就任以降、上昇気流に乗ったかと思われたエスパルス。しかしここ4試合は勝ちがない。リードを奪っても追いつかれるなど詰めの甘さが目立つ。一時は中位も狙える位置にいたが現在は17位に順位を落としている。

 

(アウェイ)ジュビロ磐田

18位/勝点28/6勝15分け11敗/得点31/失点54

直近5試合の戦績(1勝3分1敗)

△柏(2-2)、●札幌(0-4)、△C大阪(2-2)、△鹿島(3-3)、〇横浜FM(1-0)

 ジュビロもシーズン残り9試合での監督交代に踏み切った。現在最下位ではあるが、直近5試合の勝点はエスパルスを上回る。札幌戦は大敗したが、横浜FMにはウノゼロで勝利。チーム状態は決して悪くない。

ジュビロ磐田についての予習

 直近5試合では複数得失点での引き分けが多い。この数字からは得点力はあるが守備が弱い大味なチームの印象を受ける。しかし実際は組織的に攻守を行うまとまったチームだ。

守備面の確認

 ジュビロの守備は高い位置からのプレスは抑えめ。5-4-1の守備組織でスライドとカバーを献身的に行う。

 中央を塞ぎ、サイドに誘導。誘導したらしっかりスライドとカバーを行いサイドで奪取を狙う。ハーフスペースに縦パスを差し込まれる場面はあるが、ボールサイドに人を寄せて相手に自由を与えない。

 横浜FM戦を見ても、割り切って守られたらボールは持てても崩し切るのは難しそうだ。

 反面、前にプレスに出ていくと守備組織がばらけてスペースを空けてしまったり、スライドがずれたところを突かれる場面も散見する。

 おそらくこれは守備で無理の利く選手が少ないことに起因しているのではないだろうか。 

 そこで個人がさらされないようにできるだけコンパクトなブロックを作り組織的な守備を行いたいはずだ。

 しかしラインが下がり過ぎると長い距離をカウンターで刺せる馬力のある選手が少ないため得点の可能性が低くなる。かといって前に行き過ぎるとスペースを空けてしまうジレンマだ。

 つまり攻守のバランスを解決するための選手層の薄さに悩みを抱えているように映った。金子が重宝されているのは守備の強度と前に出ていく力を評価されているのだろう。

攻撃面の確認

 後ろで繋ぐ意思は見せるが、無理には繋いでこない。後ろで持った時は少し動かし、右ウイングバックの鈴木雄斗やワントップの杉本に入れていく。

 杉本のポストプレーで時間を作り、シャドーの山田やボランチが絡みながらサイドに展開する。そしてワイドからクロスを上げて中で合わせるのが主なチャンス構築パターンだ。

 クロスに対しては、逆サイドのウイングバックやシャドー、また頻繁に後ろからセンターバックも1枚上げてくる。なのでクロス対応のみならずこぼれ球に対しても警戒が必要だ。

 また、ウイングバックは単独で突破するタイプではなく、内側の選手との連携でサイドの高い位置を取っていく。

 この関係を作るため最前線の杉本は上下左右広範囲に動いてボールを受けるのも特徴だ。杉本のポストとシャドーやボランチとのコンビネーションにしっかりプレスをかけて自由にさせないことが重要になるだろう。

予想スタメン

エスパルス

 川崎戦では前への推進力を重視したスタメン構成だったが、この試合は従来のスタメンで挑むと予想する。ただし権田のコンディションによってはキーパーが大久保に代わるかもしれない。

 ジュビロの守備はそこまで激しくはプレスにこないので、こちらはボール保持はできるはず。しっかりボールを握れるメンバーでジュビロの守備組織を動かして崩していきたい。

ジュビロ

 ジュビロのスタメン予想はあまり当てにしないで欲しい(笑)

 ミドルゾーンで構えてしっかりプレスにいくと考えると、横浜FM戦のメンバーは安定したバランスを見せているように見えた。

 チアゴサンタナ対策でセンターバックに対人の強い大井、また前半で途中交代した山田のコンディションに問題があればジャーメイン良など人選の変更は大いにあり得る。

 いずれにしても流れを見ながら早めに交代策を取ってくると思われる。得点を奪うには前線にパンチのある選手が必要で、エスパルス以上に90分でどう戦うかのプランが重要になるだろう。

最後に個人的な注目ポイントを

 まずボールを握るのはエスパルスだと思う。しかし後ろで保持しても前に中々付けられない流れはあり得る。

 持てるからと言って無理に間に縦パスを差し込むだけでは対応されてしまう。

 それでも焦らず、サイドチェンジを交えたり、ボールを縦横に動かしてスライドを何度も繰り返させてずれを作ることが必要だ。実際、ずれを作られ逆サイドや後方から飛び込まれる形はここ数試合でも何回か見られた。

 また前の馬力ではエスパルスが上だ。マッチアップ次第ではどんどんサンタナに入れて押し下げるのもありかもしれないし、サンタナカルリーニョスでのカウンターは最大の得点チャンスだろう。

 守備では、杉本へ入るボールをボランチセンターバックで挟み込む、相手中盤にプレッシャーをかけて杉本との連携を遮断できるかどうか。特に松岡の活躍に期待したい。

 またジュビロの右ウイングバック鈴木雄斗とエスパルスの山原のマッチアップも注目だ。高さでは完全にミスマッチ。ジュビロはロングボールのターゲットとして狙ってくる可能性が高い。鈴木雄斗は高さだけでなく、クロスの供給、中外とポジションを取っての繋ぎ、逆サイドからのクロスに対してゴール前に入るなどジュビロのキーマンの1人だ。ここを山原が抑え込めば優位に試合を進められるはずだ。

 直近ジュビロの試合を見れば後半、スコアが動く可能性が高い。ジュビロは選手交代でよくも悪くも組織のバランスが大きく変化するからだと思われる。いずれにしても試合は最後まで予断を許さないだろう。

 

 だらだら長くなったが以上で終わり。勝手な予想をしてきたが、こんなことを書きたくなったのもダービーが特別な試合だからだ。絶対負けたくないライバルとの特別な試合。この特別な試合を熱い気持ちを持ちながらも思い切り楽しみたいと思う。